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【本】労働者の味方をやめた世界の左派政党

(*1)労働者の味方をやめた世界の左派政党(著:吉松崇氏)
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吉松氏の言説に触れたのは書籍「アベノミクス は進化する」(*2)が初めてでした。
その書籍の発刊記念イベントで生講演を拝聴しました。片岡剛士さんが進行を務め、若田部昌澄さん等がご出席されていました。吉松氏は日銀の倒産を心配する人向けに分かりやすく解説をされていました。

今回の書籍では、ピケティの論文を紹介しつつ、歴史や制度を踏まえて分析されています。
ピケティ論文の論旨を次のように要約されています。
“「西欧先進国では左派政党が大きく変質して、もはや『労働者の味方』ではなくなった」ことを選挙の出口調査データを駆使して論証したものだ。
「かつて、先進資本主義国の政治対立とは『もつ者ともたざる者の対立』であり、右派政党が資本家の利害を代表し、左派政党が労働者の利害を代表していた。しかし、いまや左派政党の支持者は労働者ではなく、知的エリートであり、この支持層の変化に伴い左派政党そのものが変質したのだ」”(*1, 6-7p)

ピケティ論文の主張が日本にも当てはまるかを分析されています。移民問題、仏、英、米の政治現象を個別に分析(ピケティ論文では説明できないことを含め)されています。

マクロ経済政策における「緊縮策」の失敗を、1人当たり実質GDPの変化を比較しながら、明らかにしています。
黒田日銀よりも前のデフレ維持の金融政策や消費税増税という緊縮策に触れ、日本の2019年10月の消費税増税を中止すべき、と述べられています。

日本の左派政党へは、欧州の左派政党が人々の直面する課題の変化に合わせて掲げる政策パッケージを大胆に見直す事実に学ぶべき、と。

ここからは、僕個人の感想です。
2019年参院選では、消費税増税を予定通りに行うことを掲げた与党自民党・公明党で改選過半数を取りました。掲げる政策の実現性や実績、国会対応などを見ていれば、日本の野党に任せるよりも「マシ」な方を選択した結果でしょう。

非正規雇用者数が2,162万人、年金受給者数が4,077万人、これらを合計すると総人口の約半分となる日本。逆進性のある消費税と社会保険料で社会保障を支えるという冗談にもならないことが当たり前のように行われています。外国人労働者受入の拡大と相まって、どのような世の中になるか心配する1人です。新宿駅で、宗教団体を支持母体とする政党の方が演説をされていました。
「◯◯党が政治の世界に福祉を持ち込んだ」と、福祉の党をアピールされていました。
その庶民の味方が今や消費税増税を推進する一翼を担っています。
生活や仕事に追われ、結婚や子育てにも余裕が無い独り身の方には、消費税増税は負担増でしかありません。。。

経済が安定していないと、極端な思想や政策が支持されるのではないか、という懸念も消えません。
安倍政権の経済政策は
1)消費税増税という緊縮策
2)教育負担軽減などの財政支出拡大
3)緩和規模縮小を続ける金融政策の継続
( 1の規模は2に比較して大きい)
です。
昭和恐慌のように一気に経済が落ち込み、短期間で回復するよりも、自民党政権を中心に長い期間をかけてデフレや低成長が続く方が、貴重な時間と経済成長を失っていて、実は害が大きいのではないか?と思います。

金融政策(+5.5兆円の財政支出拡大)でデフレ脱却しかかったら、そこは消費税増税2連発だった…

細いパイプしかありませんが、本書などを片手に友人や知人、政治家やその秘書などへ反緊縮を中心に、アベノミクス が不充分な経済安定化と再分配について、これからも語っていこうと思います。知的エリートではない1人として。

(*2)アベノミクスは進化する

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