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トップガンを目指して(2)

 「仕事を人生にするな、そんな価値はない。」映画『ホワイトハウスダウン』から。この映画もっと前に見ておくべきだった。
ドン・パチ映画評論家としてはこの映画はベスト3に入る。ダントツベスト1は「人生は大人になっても辛いの?」の『レオン』。最近見直したのですがナタリー・ポートマン、メチャうま!子役大成せずと言うけどその演技は衰えず。『ブラックスワン』身震い止まらない演技。いや、本当にすごい。映画のお話はこれくらいにして写真のお話し。
 トップガンのになるには1回や2回、かっこいい写真を撮ったからと言ってそう簡単には昇進できない。トップガンになれば本人が多少ドジ踏んだと思った写真も「さすが、〇〇さん、カッコいー」と言ってもらえるがこっちは一度でもドジったら即退場だ。最悪の条件で連続でカッコいい写真を撮なければならない。その上、先輩たちはほとんどリスクの少ない、天候に左右されないスタジオ撮影。雑誌の構成上ロケ(屋外)での撮影が必要になってくる。天候のリスクを背負わされてのドッグファイトだ。
ロケ撮影は天候が鍵を握っているけど広告と違って天候予備日などない。雨だ振ろうと槍が降ろうとその日に撮らなければならない。その為ロケハンは念を入れる。雨が降り出したら場合、近くにアーケードのような雨を避けられる場所があるのか。撮影時間帯に太陽がどの位置にあるかなどをチェックする。テスト生は「雨が降ってきたから明日にしましょう」なんて事はできない。この撮影は横浜新港埠頭のレンガ倉庫。理由は宇があり雨が降っても大丈夫。しかし問題が一つあって北向きで曇るとかなり暗い。ストロボで撮っただけではありきたりでドッグファイトには勝てない。
 発電車と5kwと3kwのスポットタイトを用意してフィルムはタングステンタイプを使って4x5に長玉をつけて撮影。バックと白いパンツの影の部分にブルー担っているのはライトにフィルターをかけたのではなくタングステンタイプのフィルムを使っているので外光を感じてブるーになっているのだ。トップガン目指して寝ずに考えたライティングもその号の出た翌月にはコピーされる。そしてまた新しいライティングを考える。
 仕事を人生にしても結局は得るより失う方が多いのだとこの歳になってやっとわかった。

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