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『孟子』29公孫丑上―孟子と公孫丑の対話(6)他人の言葉を理解する

公孫丑はたずねた。

「では、他人の言葉をよく理解するとは、どういうことなのでしょうか。」

孟子は言った。

「偏った言葉からは、その人の心が、何かに覆われてしまっていることを知ることができる。
淫らな言葉からは、その人の心が、何かに依存してしまっていることを知ることができる。
筋が通らない言葉からは、その人の心が、正しい筋道から離れてしまっていることを知ることができる。
逃げてばかりの言葉からは、その人の心が、追い詰められていることを知ることができる。

このような言葉は、その人の心から生まれる。
そして、その言葉は、その人が行う政治にまで、害悪をもたらしていくのだ。
さらに、その政治から影響は広がって行き、さまざまな事がらに害悪をもたらしていく、というわけだ。

さて、もし古の聖人が復活したならば、きっと、私のこの話に納得されるであろう。」

*以上、『孟子』29公孫丑上―孟子と公孫丑の対話(6)他人の言葉を理解する

【原文】
「何謂知言。」曰、「詖辭知其所蔽、淫辭知其所陷、邪辭知其所離、遁辭知其所窮。生於其心、害於其政。發於其政、害於其事。聖人復起、必從吾言矣。」

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*この記事の訳は、原則として趙岐注の解釈にしたがっています
*ヘッダー画像:Wikipedia「孟子」
*ヘッダー題辞:©順淵

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