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3月14日 あめのちはれ

 雨の気配で目がさめる。なんとなく暗ぼったい部屋の中、目だけ開き空虚に天井をみつめる。何時だろう?昨夜22時半にはもうベッドの上にいて意識を持っていかれたのでたぶんまだ8時くらいかなぁと思いつつベッドの下に転がっているスマホに手を伸ばす。

 えっ? あたしはおどろいてしまう。10時半過ぎだった。12時間程あたしは意識がなく眠っていたわけだ。なるほど。このまま目がさめることがなく永遠に眠り続けることがいわゆる「死」なのだろう。死後の世界などはない。死ねば睡眠の延長と同じ。だから「死」はとても遠そうでいていちばん身近にいるのだ。気怠い身体を起こし目を擦りながら台所にゆく。コーヒーを飲み新聞を読み洗濯をし皿を洗い床を拭く。毎日のルーティンはきちんとこなしぼんやりストーブにあたりながらぼんやりしていた。まいちゃんの飯を適当に用意して、午後からヘルスのバイトにゆく。濃厚すぎる接触のせいで風俗も暇のそれであり週末だというのに暇だ。ただでさえ風俗はいろいろと感染リスクが高いのにその上コロナなんて付け加わったらそりゃあ客足も遠のく。そんな感染なんてなんのそのとゆう果敢なお客さんがたまにくる程度だ。

 ももちゃんに会いたかったよ。とゆうお客さんが来てくれありがとうございますとぺこりと頭を下げる。お客さんの顔は基本皆じゃがいもにしか見えないけれどこのお客さんはおにぎりの炊き込みごはんに見えた。おにぎりが食いたくなるほどおにぎりの形だった。噛みつきたい衝動を抑えつつちんこに目をむけるとまあとおどけるほどそびえたっていた。ちんこだけは元気だよ。おにぎりはクスクス笑う。あっそーですか。きっもー。まじできもかった。おにぎりは執拗にまんこを舐めた。「俺そうろうだから最後少し触ってくれたらいい」との要望がありだからそうした。擦ったらすぐ射精してしまいまあとまたおどろく。早漏か。あたし的には嬉しい客だけれど、おにぎりははぁとめいいっぱいの嘆息を吐く。

「速いのは昔から?」おにぎりは60歳だったから若いときのことをたずねると、うん、昔からだよと泣きそうな声でこたえる。まあ、あたしはまたおどろいて目をぐるんとまわした。遅い人早い人勃たない人ワキがの人小さい人でかい人。それは皆個性で仕方がない。まあ、遅いよりはいいんじゃないのかな。おにぎりはそうかなぁとニヤニヤしまたあたしのまんこを舐めた。

 五蘊盛苦  肉体と精神がおもうままにならないくるみ。あたしもそうなのだろうか。肉体では感じるが精神は死んでいてもがいている。精神安定が肉体の快楽につながるのならきっともう手遅れである。

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