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《孤城の悪女》

 とある城の中、一人の女がいました。王はいません。王の椅子にふんぞり返って座ってます。偉そうに。けれど、偉いわけではありません。他に座る者がいなかっただけです。

「食事の時間です」
「じいや、これは嫌いだり前から言ってるだろう」
そういうと女は食事を床にぶちまけました。掃除するのは勿論じいや。こんな奴に食事なんて出さなければいいのに。そのへんの雑草でも食ってろって感じですね。

 ある日、城の中に見慣れぬ者が現れました。その女の指示で捕らえられました。捕らえるのは勿論じいや達。その女は何もしません。
「捕らえましたよ」
「うん?どうしてそいつは生きている?」
「は?」
「首をはねろと言っているのだ」
この女は何もしません。血で汚れるのが嫌なのか。それとも自らの手で決定を下すことができないんですかね。

 月日は経ち、そういう女の言動は知れ渡りました。
「お前の弟、殺られたのか?」
「あぁ、ただ用があって入っただけで」
「あいつじゃないか?」
「「「「「あの女を捕らえろ!!」」」」」
夕方の広場には一人の女の首が飾られることになりましたとさ。

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