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シャープの「洗濯機に広告配信」サービスに見る広告への理解と誤解
シャープは広告の立ち位置を理解しているか?
Your News Onlineに「シャープの「洗濯機に広告配信」サービス、消費者にメリットなさ過ぎて話題に」という記事を掲載した。
シャープが公表した「洗濯機に広告配信」というサービスを見て、企業の広告への理解が消費者のそれと致命的に違っているのではないかと感じたからだ。
広告が企業の利益を左右するほど重要なものであることは言うまでもない。そのために企業はこれまで多額の広告宣伝費を使い、テレビやラジオ、新聞や雑誌などに広告を掲載してきた。
そして企業は当然ながらネットにも多数広告を出稿している。ネットを見ている人ならば、誰でも毎日嫌というほど見ているとおりだ。
そう、多くのネットユーザーにとって広告なんてものは見過ぎていて嫌なものだ。消せるなら消したい、見ずに済むなら見たくないという人が多いだろう。
ネット全盛期の広告とは
ニュースアプリやネット記事に広告が掲載されるのは、コンテンツを視聴するための料金代わりとして渋々受け入れられている。
みんな、無料でサービスを利用する対価として、広告を嫌々ながらも見ているのである。民放テレビのCMを仕方ないものとして受け入れているのと一緒だ。
動画サービスやソーシャルゲームで「広告非表示」が課金対象となるのは広告を見たくない人が多いからだ。
そんな中で、企業はネットの広告を見てもらうためにユーザーに対してインセンティブを提供している。
例えば楽天は広告を視聴すると楽天ポイントのもらえる自社アプリ「R Point Screen」を提供している。
「ジャンププラス」や「ピッコマ」「LINEマンガ」などのマンガアプリは広告視聴で一話無料やコインの提供を行っている。
一部のソーシャルゲームは広告視聴によってアイテムの獲得や時短、ガチャといった報酬が用意されている。
この時代に広告を見てもらうためには、見るための納得できる理由が必要なのだ。
シャープの洗濯機は広告を見るに値するか?
翻って、シャープの洗濯機は広告を見てもらうための納得を得られるだろうか?
洗濯機には広告などないのが当たり前だ。そこに広告が足されるのは純粋にマイナスである。
広告が流れる代わりに同スペックの洗濯機よりも割安ならば買う人はいるだろう。
広告が表示されるたびにポイントが貯まるなら、水道光熱費が割り引かれるなら、広告を受け入れる人はいるだろう。
広告が他のユーザーにはないクーポンを定期的に約束してくれるなら喜ぶ人はいるだろう。
だが、最初のキャンペーンこそあっても、シャープはそうしたメリットを消費者に説明できていない。
「ユーザーの属性や洗濯機の種類、搭載機能などの細かな条件からターゲティングが可能」としているが、そうしたターゲティングを行った広告ですら邪魔だと思われているのが現状である。
有益な広告のはずだから、ユーザーは大喜びで広告を楽しんでくれるだろうと考えるのは余りにも牧歌的過ぎる。
大きな話題になり、歴史に残る広告もあるかもしれない。だが、広告は邪魔者であるという前提を忘れてはどんなユーザーも納得はしないだろう。
このサービスがシャープの黒歴史とならないことを祈るばかりである。
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