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911二機目突入を耳打ちされても、ブッシュ大統領は『私のヤギさん』を読み続けた ブッシュ家への資金提供者サウジ王家、ビンラディン家を気遣いながら マイケル・ムーア映画「華氏911 それは自由が燃える温度」前編

ロバート・F・ケネディ・ジュニア(真実のアンソニー・ファウチ)もオリバー・ストーン(JFK、オリバー・ストーン・オン・プーチン)も、そしてマイケル・ムーア(ボーリングコロンバイン)も筋金入りの左翼ですが、今やグローバリズム全体主義が世界を暗雲で覆おうとしている中で、これらの反グローバリズムあるいは反権力の立場の人たちはその確固たる信念と現状を打破する突破力において、保守を自認する親グローバリズムの似非保守よりははるかに頼りになると思います。今こそ真正保守と真正左翼が自由と民主主義を守るために手を結ぶべき時です。
 
というわけで、社会派映画監督マイケル・ムーアの「華氏911 それは自由が燃える温度」の初見の感想を2回に分けてお送りします。
 
かつて私が興味深く読んだ下記の本、映像で、ある程度知っていた米国の病巣ではありましたが、それらがダイジェスト版のようになっていて、話によってはより深化していました。
翻訳本「不正選挙 電子投票とマネー合戦がアメリカを破壊する」(マーク・クリスピン・ミラー編著)
翻訳本「対テロ戦争株式会社」(ソロモン・ヒューズ著)
翻訳本「ブラックウォーター 世界最強の傭兵企業」(ジェレミー・スケイヒル著)
映画「9/11:爆破の証拠―専門家は語る」(AE911Truth=911の真実を求める建築家とエンジニアたち)
 
辛辣でありながらユーモアもあり、大胆でありながら抑制的なとても巧みな腕を持つ監督だと思いました。父子二代の大統領を輩出したブッシュ家と仲間の閣僚らエリートによるテロの脅威を利用した他国民、自国民に仕掛けた戦争であることを見事に描いています。テロの脅威をCOVID-19の脅威に置き換えれば、これが今も続いていることに気付き、愕然とします。今こそ必見の映画です。
16日は各ワイドショーが<不倫口止め事件でトランプ氏出廷、大統領経験者で初の刑事裁判被告人>と大きく報道していましたが、刑事裁判被告人どころか戦争犯罪人たちを見逃しておいてよく言うもんだと思います。
さて映画の内容ですが、今回は前半の大統領不正選挙から911当日まで、次回は後半の911以後のディストピアとイラク戦争を取り上げます。
 

始まりは不正選挙、一族のチームプレーで大統領の座を盗む


冒頭はゴアVS子ブッシュの2000年大統領選です。圧倒的優勢なゴア候補でしたが、FOXニュースがフロリダ州で子ブッシュ候補の勝利速報を伝えるや他の全米ネットワークテレビ局も追随し、ゴア候補は敗北宣言しました。FOXニュースの当選判定責任者はジョン・エリスで子ブッシュとフロリダ州知事ジェブ・ブッシュのいとこ。子ブッシュ陣営はデータベーステクノロジーという会社を買収し、敵側らしい者(アフリカ系)を選挙名簿から削除。「最高裁にいるパパ(父ブッシュ)のお友達が正しく判定してくれる」。そして2001年1月6日、上下両院本会議で投票結果を開票・集計する際の映像では、各州のアフリカ系下院議員が次々と異議を唱えますが、上院議員の協力がなく、ゴア副大統領の木槌で虚しく議事は進行し、子ブッシュ大統領が決定しました。
 

ブッシュの仲間の戦争屋たち


子ブッシュの支持率は早々に低下し、911までの8か月で子ブッシュは42%を休暇に充てたそうです。「ワシントンにいなくても仕事はできる」と嘯いて8月一杯はテキサス州の牧場で過ごします。
次に子ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツ、アシュクロフトらネオコン(戦争屋)の面々、ブッシュ政権の閣僚たちが会見や声明発表前のメイクアップの様子が流れます。子ブッシュら多くがにやにやして薄気味悪いのですが、特に印象的だったのが国防副長官のウォルフォウィッツです。何の会見前かはわかりませんが、べっとりとなめたくしを自分の髪に通し、お付きの若い者のつばと自分のつばで笑いながら髪を整える様は不快かつ不気味でした。
 

911二機目突入後も大統領は『私のヤギさん』を読み続けた


そして画面は暗転。音声のみで911をしばらく伝え、見上げる人々の様子だけを伝えます。お決まりのWTC崩壊シーンは使いません。
 
そのとき、子ブッシュはフロリダの小学校に。一機目突入の知らせを聞いた彼は写真撮影を優先、二機目突入で首席補佐官が耳打ち。
ナレーションは<判断の付かない彼は、護衛官も来ぬまま、子供たちと『私のヤギさん』を読み続けた。>
彼は用意周到ではなかったのです。▽FBIのテロ対策資金をカットした▽8月6日に渡された安全保障報告書も読んでいなかった(表題は“ビン・ラディン米国本土攻撃を決断”)
ナレーションは<付き合う相手が悪かった?>と問いかけ、これまで付き合ってきた相手の映像が出てきます。▽1983年パパの友達ラムズフェルドが大量の武器を届けたフセインか?▽州知事時代にテキサスへ来たタリバンか?▽それともサウジ人か?
 

全面飛行禁止の最中サウジ人142人が出国


911を受けて米国は全面飛行禁止となります。そんな中サウジ人が飛行機で帰ったとは知っていましたが、マイケル・ムーアが示した搭乗名簿によれば、6機の自家用ジェットと24機の旅客機でビンラディン家の24人を含む合計142人のサウジ人が出国を許可されました。バイロン・ドーガン上院議員(航空小委員会)は「政府上層部が許可した」と言います。
 
さらに、ブッシュ家とビンラディン家を結ぶ接点は子ブッシュ空軍時代の友人ジェイムス・バスで、会社を次々と潰す子ブッシュに投資するのは、ジェイムス・バスを通したサウジマネーで、バカ息子に投資する旨味は父ブッシュ大統領のコネ、証券取引委員会の追及を免れたのは、パパの友人ジェームズ・ベーカーの友人弁護士のおかげでした。
 

軍需で儲けるカーライルとブッシュ家、ビンラディン家の密着


911後に儲けた企業は米投資会社カーライル。ブッシュ父子がカーライルのために働き、ビンラディンは同社の軍需部門に投資する。911の朝はワシントンのリッツカールトンホテルで投資家会議が開かれていました。911の6週間後カーライルは、ブラッドリー戦闘車を生産するユナイテッドディフェンスの株式を公開、12月には1日で2億3700万ドルの利益を上げたそうです。ビンラディ一族が手を引いた後も父ブッシュはカーライルの上級顧問に2年留まったそうです。
 

国民の40万ドルかオイルマネーの14億ドルか


マイケル・ムーアは視聴者に問いかけます。
<大統領の年棒40万ドル サウジ王家からの投資14億ドル 君はどっちが好き? ブッシュは毎朝サウジへの便宜を考える。僕や君ではなく>
そしてブッシュ家と仲間たちとサウジ王家の親密な映像がこれでもかと流れます。
 
後編は次回に続きます。

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