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日独も攻撃、純益「190億ドル」……~湾岸戦争の複数の真の目的②

1990年9月11日
父ブッシュが上下両院合同会議で、国連の下での国際協力による新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー)が生まれようとしていると宣言します。
 
ウィリアム・イングドール著の「ロックフェラーの完全支配 ジオポリティックス(石油、戦争編)」(徳間書店初版2010年、為清勝彦訳)にその演説内容を書いています。
 
<国連の設立時に思い描かれていたように、こうした混乱の時代であればこそ、国連を中心とした新世界秩序の出番である。我々は、またとない異常な時を迎えている。今回のペルシャ湾の危機は、もちろん重大な問題であるが、それと同時に、このまたとない機会を利用して、協力の時代へと移行することもできるのだ。今まさに、新世界秩序の生みの苦しみが始まっている。それは、今まで我々が知っている世界とは、まったく違う世界だ。>
 
11年後の2001年9月11日
息子ブッシュ政権下で起きた911事件。
父方母方の両祖父から父ブッシュ、息子ブッシュまで三代にわたり、鉄道王ハリマン家、石油王ロックフェラー家に仕えてきたブッシュ家の“面目躍如”です。彼らは呪われた家業から抜け出すことは出来ません。
 
その11年後の9月11日に三つ目の911がリビア第二の都市ベンガジで起きますが、ここでは湾岸戦争の複数の目的を続けます。
 
当初は軍事行動を考えていないと言った父ブッシュ政権は、イラクの侵略の脅威からサウジアラビアを守り、西側の石油利権を守るという表向きの目的でペルシャ湾に派兵します。
 
もう一つの真の目的が顔を出し始めます。敵は統一ドイツと日本でもあったのです。
本書のその部分をまとめると、
<ワシントンとロンドンはプロパガンダと圧力で、イラクを支持する西側諸国を攻撃したが、主にイラクに武器を提供していたソ連とフランスは攻撃の対象ではなかった。攻撃目標はドイツ、東欧とソ連の再建に不可欠なドイツのハイテク産業だった。英米の諜報機関と通じたドイツの雑誌や合衆国上院議員が、フセインがドイツの技術を利用したと、ドイツの技術輸出を攻撃し、ボン政府を慌てさせた。
その結果
<米国のジェイムズ・ベーカー国務長官は、史上最も高圧的な資金調達の任務を遂行した。「砂漠の嵐作戦」を賄う合計545億ドルを確保するために、ドイツ、日本、クウェート、サウジアラビアの誓約を引き出したのだ。>
 
そして、もう一つの目的。これはイギリス・サッチャー側の目的と言えるかもしれません。米英の新世界秩序がドイツ中心の“新欧州秩序”を“破壊”するためです。
<「砂漠の嵐作戦」から三週間ほど経過した二月六日に、ロンドンの「タイムズ」は、「かつて栄えていたベルリン―バクダッド鉄道が湾岸戦争で破壊された。橋、線路の分岐点、操車場への多国籍軍の容赦なき爆撃は、中東まで伸びている数少ない鉄道ネットワークを廃墟と化した」と伝えている。>
 
そして、最後はお金です。
<レーガン政権で国防次官補をしていたローレンス・J・コルブは、四月上旬のワシントンの記者会見で、米国政府は、同盟国の負担金を「予算外」の基金として扱い、国内の予算削減を埋め合わせるために本当の湾岸戦争のコストを意図的に隠していたことを明らかにした。情報筋の推定によれば、同盟国の戦争負担金を計算に入れれば、米国は湾岸戦争全体で、おそらく百九十億ドルの「純益」を上げたとされている。>

 

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