好き嫌い・得手不得手

私は学生時代、とにかく数学に苦労した。テストの点数も悪く成績も悪かった。

理系を目指すものとして致命的なんだけれど。

何しろ「センス」がない。

では嫌いだったか。

その真逆。

好きは好きだった。

だから、何しろ勉強だけはした。

テスト勉強の時、数学に割く時間はともかく長かったと覚えている。

学業を終え就職し、もういい加減経つけれど。

まぁ、多くの社会人がおそらく同じことを思うことであろう通り。

大人になり、生きている過程では。

矛盾。理不尽。

多くのひずみを抱えながら。しかし給料を得ないと生活が成り立たないから。
歯を食いしばって生きている。
そういう人が多いのではなかろうか。

私は就職して以来。

会社からの業務指示の一環でいろいろ資格試験を受けることとなったのだけれど。
数年前、ようやくその呪縛から解き放たれた。
もういい加減、好きなことをやらせてくれ。

そういう気持ちで、前々から興味を持っていた「無線技士」の資格に挑戦することとした。
ひとまず、「第一級陸上無線技術士」にチャレンジするか。

まぁしかし。ご存じの方も多いと思うけれど。
これは無線技士の資格の中でも一番難しい試験の内の一つ。
大学工学部一年生レベルの数学なら「できて当たり前」前提で試験問題が作られている。

私にとっては「無謀」レベルだったんだけど。
しかし、ともかく一度やると決めた以上、カメの歩みながらコツコツ、高校数学からやり直し。

しかし、勉強を進めて思うのが。
確かに、難しい。苦労する。
でも。

数式には「矛盾」がない。
解けば答えは出るし、その答えは誰も覆すことができない。

なんか、そこに気が付いて。
数式を解くことで、日々、会社で感じる理不尽、矛盾に対する悪い気持ちが洗い流されていくような、そんな気持ちになり。

そもそも、今の私のレベルでいつ「受験」できるレベルまでいけるか、見当もつかないんだけれど。

足りない頭にうんうん頭を抱えつつも、この、純粋で穢れのない数式を解く時間が、会社でけがされてゆく心を洗い流してくれている、そんな気持になり。

今日も鉛筆をノートに走らせ、数式を解いていく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?