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思い出の「もの」

思い出の「もの」。

自分の「もの」であれば、自分で大切にする、古くなってもとっておく。自由にできる。

しかし、「他人のもの」であったらどうなるか。

自分のものではない、思い出のもの。

有形・無形を問わず、だれしも何等か、あるものではなかろうか。

例を挙げれば、子供のころに遊んだ公園の遊具、大好きだった人と時間を過ごしたお店、またある人にとっては、「景色」「風景」もまた、そんな思い出のものになるのではなかろうか、と。

お店は、経営者の判断や経営状況、あるいは土地の区画整理、時間がたって失われることもある。
公園の遊具も、経年劣化による更新もあろうし、あるいは、事故が原因で撤去されてしまう例もある。風景も、建物の更新や、土地造成等の地形改変等で根こそぎ失われることもある。

いずれにせよ、自分の管理下にない「思い出のもの」。これは、ただただ、運命に任せるしかない。

路線バスの寿命は10年~15年程度。どんなに長くとも20年もすれば、通常は新しいバスに更新されることが多い。中古として別の地域で使われる場合でも、そう、寿命は長くない。

立川バスに、J717というバスがある。
まぁ、バスマニアの間では有名な古いバスなのだけれど

もちろん、私自身がバスマニアということはあるのだけれど。
J717に対しては、単にバスマニアとして以上の思い入れがある。

このバス。

ちょうど高校生の時に立川バスで主力だった車種で、当時、乗客として乗っていたバスの内の1台。
まぁ、いろいろ事情があって詳しくは書けないけれど、通学途上、バスの中での思い出もたくさんあり。

そんな、時に幸せだった、時に切なかった、青春時代の数々の思い出いっぱいの車種が、青春時代なんて遠く昔に過ぎ去った今の時代になお、立川バスで使用されている。

これは本当に奇跡ではないか。

大袈裟だけれど、そう感じるわけで。

なぜなら、私は今「貨物自動車運送事業」を営む会社に雇われている。
私は貨物自動車を買い、古くなった自動車を売りに出す、という業務を担当している。
バスと貨物車とは違う車だけれど、「ディーゼルエンジン」を積んでいるという点では同じ。実際に、バスと貨物車と、作っている会社は同じ。

古くなったらどんな事が起きるか、大体見当がつく。あの年代の車種を正常に維持すること自体、本当に大変なことなはずなのは想像に難くなく。

それにもかかわらず、バス会社さんが大切に維持していただいている。
大袈裟に思われるかもしれないけれど。

やっぱり、私は奇跡だと感じるわけで。

今後、立川バスさんが、このJ717の処遇をどういう方針でお考えなのか知る由もないけれど。

このバスの活躍している情報をバスマニアの方々の情報網から知るたびに、制服にそでを通していた青春時代を懐かしみながら、その奇跡に感謝をしている次第であり。



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