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【ドラマ】「鎌倉殿の13人」三谷さん向田邦子賞受賞!

5月23日に優れた脚本作家に贈られる「向田邦子賞」に三谷幸喜さんの「鎌倉殿の13人」が選ばれたというニュースが報じられました。私事ですが「自称三谷ファン歴20数年」でして、さすがにサンシャインボーイズの舞台は生では拝見できていないのですが、「やっぱり猫が好き」「古畑任三郎」あたりからのファンです。さらには全作品は読めていませんが、向田邦子さんのファンでもありまして、大好きなお二人を記念した素晴らしい賞を受賞されたということで、今回は気の向くままに「鎌倉殿」を中心に三谷さん話をしていきたいと思います。まずは例によって三谷さんの名スピーチから。

三谷は、壇上で賞状や副賞(300万円)を受け取り、「ほんっとうにうれしいです」と歓喜。「向田さんは憧れであり目標。向田さんのシナリオを読み返し、どうしたら向田さんに近づけるかを考えながら書いてきました。種明かししますと、御所に集まった御家人達のせりふは、向田さんの『寺内貫太郎一家』の石職人たちの会話を、(北條)政子と実衣の姉妹の会話も『阿修羅のごとく』からのいただきです。いつもお世話になっております」と告白し、会場の笑いを誘った。

スポーツ報知(5月23日)配信版より抜粋

さすが、三谷さん。向田さんの傑作ドラマを挙げながら、受賞の喜びを伝えています。たしかに政子と実衣の会話は「阿修羅のごとく」風でもあったよな、と思えるから不思議です。後半の「鎌倉殿」は毎回登場人物が亡くなっていく、かなりディープな内容でしたが、前半は北条家のホームドラマといったテイストで、あちこちに笑いがあり、登場人物それぞれのキャラクターがしっかり描かれていて、毎回楽しませてもらっていました。だからこそ、その分、佳境を迎えてからは相当しんどかったです。では、その北条家の面々による三谷さんへのお祝いのコメントです。

「役者としてこんなに役者冥利に尽きる現場はないなと思いましたし、それも本当に一人でひたすら折れることなくここまで書き続けてくださった三谷さんのお仕事というのは、素晴らしいものだなと思っております。そんなすてきな『鎌倉殿の13人』を作っていただきまして、どうもありがとうございました。そして本日は受賞おめでとうございます」(小栗旬さん)

シネマカフェ cinemacafe.net(5月24日)配信版より抜粋

「初めての大河ドラマがこの作品で本当に幸運だと思っています」(新垣結衣さん)
「三谷さんのおかげでとても楽しい時間を過ごすことができ、今日『鎌倉殿』のメンバーと再会できたことも感謝しております。ただ先ほど大泉さんが『俺はいつ北条家に戻れるんだ』とぼやいていたので、そのフォローだけよろしくお願いします」(小池栄子さん)
「ほかのドラマに別の役で出演しているときも『時房』でツイートされていました。愛されるキャラクターをありがとうございます。」(瀬戸康史さん)

ステージナタリー(5月24日)配信版より抜粋

今回の授賞式にはそれこそ「鎌倉殿」オールスターといってよいほどのメンバーが集結したようで、その集合写真を見ると、もちろん三谷さんの人徳、そして恐らくチームワークの良さ、仲の良さのようなものが感じられ、記事を読んでいるだけなのに、どこか懐かしく、そしてニヤついてしまいます。たしか、ドラマ放送中にキャストが集まってトークショーが行われ、さらに別の日に本当は会場のみのはずが、視聴者からの熱烈な要望により再度放送されるというのも異例。それだけファンも盛り上がっていましたし、何よりキャスト陣の一体感のようなものが感じられたように思います。続いて、「三谷組」の皆さんのコメントです。

「38年間三谷さんと一緒にやらせてもらっていますが、『もういいよ』とは言いません。これからもよろしくお願いします」(梶原善さん)
「僕も28歳ごろからご一緒させていただいていますが、三谷さんからは毎回まったく違う役が回ってきます。でも全部どこか“自分っぽい”役で、三谷さんは僕の知らない僕を引き出してくれます。これからも素敵な作品を書いてください。いつでも参加できるようがんばっていきます」(山本耕史さん)
「大学で演劇のサークルに入ったときに観たのが『ショウ・マスト・ゴー・オン』の再演。こんなに面白いものがあるんだと思いました。そこから三谷幸喜さんは憧れの存在で、こうして何度も一緒にお仕事させていただいているのは夢のようです」(大泉洋さん)

ステージナタリー(5月24日)配信版より抜粋(一部改変)

もうこのあたりは三谷作品常連チーム。特に善さんは38年だそうです!いつも明るい元気な役が多かった善さんが一転してアサシン善児でしたので、本当にビックリしました。が、不思議といつしか善児を応援している自分がいました。山本耕史さんは「新選組」の土方歳三に続き、「真田丸」では石田三成。生真面目かつ冷徹な役が多かったのですが、今回は敵か味方か分からぬ「食えない」三浦氏を熱演。ラストの「誰がじじいだー!」は爆笑でした。そして最後は稀代のエンターテイナー大泉洋さん。大泉さんについては次のコメントも併せてご紹介したいと思います。

また大泉は本作の役柄が影響し、ドラマの視聴者から「『鎌倉殿』を観て嫌いになっちゃった」と告げられた出来事に触れ、「そんなときに三谷さんから、『やはりあなたは日本中から嫌われ者になってしまいましたね。でも僕は大好きです』とメールをいただいたのが救いでございました」と明かす。そして「大学時代以来『王様のレストラン』や『古畑任三郎』、ずっと三谷さんの作品で楽しませてもらい育ってきましたし、私のように思っている人が日本中にいると思っています。そんな人たちを代表して、本当におめでとうございます! ありがとうございました!」と力強くメッセージを送った。

ステージナタリー(5月24日)配信版より抜粋

いやー、頼朝さん、だいぶ腹黒いお方でしたよね(笑)。その頼朝さんをあのように演じられるのは大泉さんしかいないでしょう!女好きのダメ男、飄々とした食えない男、そして一転冷酷なボス・・・実際にご一緒したら本当に怖い。それにしても三谷さんと大泉さんお二人がご一緒すると、もはやコンビの芸人さんのようで本当に面白そうです。

三谷作品の素晴らしさについて語ったら、それだけで幾らでも量産できてしまう自信があるので、今後もちょこちょこ触れていきたいと思うのですが、今回、大泉さんが触れていらっしゃるように、私自身も「王様のレストラン」や「古畑任三郎」で育ってきた世代です。三谷さんご自身が幼少期からアメリカのウェルメイドなコメディ作品や、ハリウッド映画、刑事コロンボのようなテレビシリーズがお好きでよくご覧になっていたこともあり、どこか日本ぽくない、というか、やはり独特のセンスの持ち主。三谷さんにしか描けない世界観がとても素敵ですよね。

そして何より(本当はコレが書きたかったんです!)今回は脚本のすばらしさだけでなく、小栗旬さんたちキャスト陣もノッていたんだと思うんです。もちろんこうした空気を座長の小栗さんが率先して作り、製作スタッフさんたちにも伝播し「(せっかく三谷さんが素晴らしい脚本を書いてくださったんだから)いいものを作ろう!」というような「善循環」が生まれたのだと思います。ここからは勝手な妄想ですが、なんとなく成功した作品の場合、こうした「現場がノッている空気感」が伝わるような気がしませんか?三谷さんはご自身も劇団を主宰されていますから、こうしたノリを醸成できるのかもしれませんね。

ただ、「鎌倉殿」をもう一回、見たい気持ちは常にあるのですが、①長い、②重い、③悲しい、という理由により、躊躇っています。ま、トキューサとか時政パパとか、笑えるシーンも多いんですけどね(笑)。

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