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世界で2番目に大きなシカをサファリで見る。

 今回は、先月2箇所のサファリパークで見てきた大きなシカ、ワピチについての話をしようと思います。最後まで、是非お読みください。

1.ワピチとは。

 鯨偶蹄目シカ科シカ亜科シカ属に分類され、ニホンジカと近縁。そして、ヘラジカに次いで大きなシカ。それがワピチです。

 アメリカアカシカやキジリジカという別称がある他、北米ではエルクとも呼ばれていますが、欧州ではヘラジカを指す言葉です。欧州人が北米に渡った時、大きなワピチをヘラジカの一種と勘違いしたためにエルクと呼ばれるようになったらしいです。

 別称にある通り、北米大陸の中部を中心に生息していますが、中国の北東部・南部やモンゴル、シベリア南部にも分布しています。かつてはヨーロッパに分布するアカシカと同種とされていましたが、遺伝子研究により、現在は別の種とされています。

北米大陸ではかつて広く生息していましたが、その後乱獲されたことがあったため、一度は減少。現在では保護されていますが、絶滅した亜種もいます。
かつて、横浜の金沢動物園では、ワピチのユーラシア大陸の亜種、カンスーアカシカを展示していたことがありました。資料館ではカンスーアカシカの角(真ん中の大きな枝角)を見ることができます。

2.ワピチを見に行こう!

 現在、ワピチを飼育しているのは、HPで確認できた限りだと3箇所のみ。そのうち2箇所がサファリパークで、マイカーや園内バスで回りながら見られます。

2-A.富士サファリパークの場合。

 富士山の麓にあり、随所から富士山を望みながら動物たちを観察できる。それが富士サファリパークです。サファリゾーンとふれあいゾーンの2つがあり、ワピチがいるのはサファリゾーン内、山岳草食ゾーンです。

山岳草食ゾーンの風景。真ん中奥に、ワピチたちが見えます。

 山岳草食ゾーンのゲートを入ってしばらく行くと、ワピチたちが集まっているのが見えてきます。老若男女多数の個体が森の中を模した空間で暮らす様は見応えがあります。

ワピチのオスたち。エルクという別称をもつもう1種のシカ、ヘラジカとは分布が一部重複しています。
ワピチのメスたち。首あたりの剛毛は雌雄ともにあり、冬には特に発達します。

 たまに車に近寄ってくることがありますが、流石は大型のシカ、メスでも車のすぐそばを通り過ぎていく時の姿は迫力満点です。

道路を行く、ワピチのメス。サファリパークでは、動物が道路に出てくることは結構あるので、誤って事故を起こさないよう注意しましょう。

2-B.群馬サファリパークの場合。

 群馬県南西部、富岡市にある群馬サファリパークでは、アメリカゾーンにワピチがいます。アメリカの名は伊達ではなく、アメリカバイソンと同じ空間で飼育されていて、その様はさながら北米の原野に迷い込んだかのようです。

アメリカゾーンの風景。左側にワピチたちが、右側にはアメリカバイソンが見えます。ちなみに、アメリカバイソンは富士ではワピチと同じく山岳草食ゾーンにいますが、いる場所はワピチとは別の場所なので、同じ空間で見られるのは群馬ならではの光景です。

 アフリカゾーンを一旦出た後と、アジアゾーンのゾウの展示場を過ぎたあたりの2回観察する機会が存在していて、どちらでもあの大柄な姿を楽しむことができます。

遠くに見えるアメリカバイソンをバックに、昼寝の時間。
アジアゾーンを出た後では、岩山をバックに暮らす姿が見られます。

 専用のバスに乗れば、ワピチに餌をあげることも可能なので、あの大きな姿をより楽しみたいならば、ありかもしれません(無論、見るだけでも充分楽しめます)。

群馬の山々を背景に過ごす様子も、見どころです。

3.まとめ。

 かつては、旭山や釧路、大森山や姫セン等といった数々の動物園で飼育されていたワピチ。しかし、今では限られた場所でしか見られない存在となっています。

 先にも触れた通り、ワピチはニホンジカに近縁な動物ですが、それ故に万が一野に放たれた場合、簡単に交雑してしまう可能性が存在しています。また、在来の植生への悪影響も懸念されているために特定外来生物に指定されている上、検疫上の問題もあるため、簡単には輸入できない動物の1つとなっています。

オスは年齢を重ねるほど、立派な枝角を生やしていきます。

 なので、多数の個体が群れを成して暮らしている様子を見ることができるのは、個人的には貴重な経験の1つだと感じます。もしも富士や群馬に行く機会があれば、大きなシカ・ワピチにも注目してみてはどうでしょうか。きっと新たな発見があるかもしれませんよ。

 今回は以上とさせていただきます。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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