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アイアンハート (折口雅博 著)

燃えたい、燃える人生を送りたい。
そう、思わせる一冊。

 一度傷がついた評判が世間に広まると、それを回復させるのは、今の日本社会では極めて難しい。日本は成功者を叩いて、ワイドショーを通してお茶の間のネタを提供するのが大好きだ。堀江貴文さんや前澤優作さんをはじめとして、数多くの起業家がその犠牲になってきた。本著者である折口雅博さんもその一人と言っていい。

驚くべきスピードで多数の事業を伸ばし、成功者としてもてはやされるも、メディアに翻弄され、無念の事業譲渡(グッドウィルグループ、コムスン)を経験。説明のための記者会見の内容は断片的に切り取られ、新聞社への説明広告の掲載は7社に拒否される。

それからNYに渡り、高級レストランMEGUの事業を軌道に乗せ、多国間で事業展開。3年で70倍の価値を上乗せして、事業売却。2018年より日本に戻り、起業家支援を行っている。その生き方、奉行不屈の精神、アイアンハートから学ぶことは多い。

事業に賭ける事業家としての生き方や考え方はもちろん、NYに渡ってからの次男の子育て(11年NYに在住し、渡米当時小学生だった次男をサッカーと勉強の文武両道を指導して、大学は名門UCLAに入学、希望のビジネススクールにも進学)に関する後半部も大変読み応えがある。

著者は日本の大企業のベンチャーマインドの変化を感じると記載しているが、果たしてどうだろうか。もはや組織には頼れないのは自明だ、組織(他人)が変わるのを待つよりも、個人として変わっていく方が早い。

本書を読んで、私を含めた一人ひとりの個人が行動を起こす事が必要であり、そのための勇気をもらえる、自分を奮い立たせてくれる本だ。

是非、多くの人に読んでほしい一冊。

以下、心に響いた箇所を抜粋する。

"事業のセンターピンは何か?"

"視点は、顧客目線と経営者目線。"

"自分が客だったらこうあって欲しい――経営者の立場では常に顧客目線で。 自分が経営者ならこうするだろう――顧客の立場では常に経営者目線で。  向き合うべき相手の立場に立って考える。"

"当事者意識を持って考える。いつでも、どこでも、その意識を持ち続けていれば、ビジネスにとって大事な本質=センターピンを見極める〝目〟は自然と養われていくはず"

"航空会社の顧客サービスの本質は、シートの角度。"

"エコノミークラスでニューヨークから中東へ出張するときの12時間フライトは、カタールエアを選んできた。理由はもちろんシートの角度が最も大きく倒れるから。"

"利用者が何を求めているかを考えてみれば良い。とくに長時間のフライトになる場合、機内食の味も設備の充実も大事だが、結局は「身体が楽」なのが一番ありがたいだろう。"

"ディスコのセンターピンは、先にも触れたように毎日にぎわっていること=常に満員であることだった。いつ行ってもガラガラのディスコなど成功しないと考えた。"

"人が人を呼び、噂が噂を呼び、ダイナミックな流れになる。そうなればリピーターも新規客もみな、お金を払って通ってくれるようになる。 その結果、ジュリアナ東京は平日でも1000人以上、週末ともなれば2000~3000人の来場であふれかえる〝伝説〟のディスコになった。" (ジュリアナ東京)

グッドウィル

"最初に考えたのは、「多くの企業が派遣の人材に求めているものは何か」というセンターピンだ。'

"グッドウィルが扱う「軽作業、短期間、大人数」に特化した派遣の場合、そうしたニーズを持つ企業が求めるのは「人材の質以上に、必要な人員をいかにスピーディに、確実に手配してくれるか」だと思い至った。マッチング力である。それをこの事業のセンターピンと見極めたのである"

"介護サービス事業のコムスンでは、そのセンターピンを「居心地の良さ」と見極めた。"

"新人のヘルパーが行っても、ベテランが行っても、誰が行っても雰囲気が良く、お客様に明るくて居心地良く感じていただけるように、介護現場におけるホスピタリティの向上を徹底的に追求したのだ。  その結果、介護保険制度創設後の民間企業による介護サービス参入の先駆けとなり、顧客に支持され、ビジネスとしても成功を収めることができた。"

"レストランなら「料理がおいしい」こと、進学塾なら「成績や偏差値がアップする」こと――どんな事業にも外してはならない本質がある。  自分が取り組んでいる事業や関わっている仕事で、倒すべきセンターピンは何か。その事業が事業として成立し、世の中に支持されるためのセンターピンは何か。それを見誤らないこと、見極めて外さないことが、成功への第一歩なのである。"

"目標に向かってあらゆる努力をするという、人生にとって大変重要な教訓を得ることができた"

"私はものごとを判断するとき、その動機や情熱、考え方の正しさを最も重視している。"

 "他愛のないことの繰り返しだが、肝心なのは毎日続けることである。そして、子供が書くことに反論したり説教したりしないことである。褒めるのが基本。"

"次男の文章に誤字脱字があったり〝てにをは〟を間違えたりしていても決して指摘しなかった。それでいいのだ。自分が思う通りに自由に主張しまくる。どんどん書くことが面白くなり、好きになって、うまくなる。"

"つぶさにプレーを記録、その後は次男との反省会でより良いプレー方法のアドバイス。休む暇が無く、正直、疲れるが、息子と一緒の時間は何よりも楽しく、やはり人から見たらニコニコしていたに違いない。"

 "ビジネスでもスポーツでも、そこで勝とうとするとき、存在感のアピールは欠かせない。多くの人が思う以上に大事なことである。大勢の中で、顔と名前が一致して覚えられるのは基本中の基本だ。特性を掴んでくれたらさらに良い。"

"100人以上の父兄が見守る中、私一人が(選考を行うコーチに)握手をしに行くという行動に出る。このアプローチと具体的な行動が、目に見えた差をつけていくことになるというのは、ビジネスでも共通であろう。大きな戦略に基づいて、要所要所で戦術を確実に実行していかなければならない。攻めなければ、みすみす多くのチャンスを失う。みんなにチャンスは、ほぼ平等に来ているはずであるが、ものにするかしないか、成功に近づけるかどうかは、行動するかどうかにかかっている。"

"サッカーというものは、強豪のプロチームでも、リズムが乱れれば一転して大崩れする。他のスポーツにも増して、メンタルのコントロールに手こずる難しいスポーツだ。だからこそ、大逆転もあり、ワールドカップのように人々を虜にする力も持っているのだろう。"

"ここは一つの貴重な経験の場と考えた。ちなみに、現在の『ニューヨーク・タイムズ』のCEOはブラウン大学の出身である。ハリー・ポッターの主演女優のエマ・ワトソンが、合格したケンブリッジやイェールに行かずにブラウンを選んだのは、自由な校風と俳優としての奥を深める文学の環境があることが影響したようである。"

"米国は「なりたい自分を追求する機会」がある国"

 "IDキャンプは個人の能力が評価されるのだが、バーシティゲームは団体への貢献がモチベーションだ。みんなの期待を背負うほど、その使命にやり甲斐を感じるようになる。"

"シカゴ、カーネギーメロンをはじめとするディヴィジョン3スクール8校のスポーツリーグは、ニックネームで「エッグヘッド・エイト」(頭でっかち8校)と呼ばれている。かつては、ジョンズ・ホプキンス大学もこのリーグに所属していたので、ニックネームは「ナーディ・ナイン」(オタク系9校)と呼ばれていた。すなわち勉強にかなりの重点を置いている学校群である。"

"カーネギーメロン大学は、コンピュータ・サイエンスでつとに有名で、四天王(MIT、UCバークレー、スタンフォード、カーネギーメロン)のうちの一角である。"

"大学受験における強いリーダーシップを示す最大のものを得られたのである。今まで何回も、遠路をいとわずにさまざまなIDキャンプに足を運んだすべては、ここに通じたのだ。この安堵感と達成感のもと、目標に向かってあらゆる努力をするという、ビジネスパーソンや人生にとって大変重要な教訓を得ることができた。"

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