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ビジネスの"考える型"を身につけるには


 もしあなたが仕事で作成する文書について、上司や同僚から「わかりづらい」「結局何がいいたいの?」と言われた事がある人は、本書が役に立つかもしれません。また、自分の考えをうまくまとめて言葉として表現したいといった悩みを持つ方に、本書は入門書として役に立つでしょう。

 あなたの書く文章がわかりにくい原因は、「伝えるべき考えを明確に表現し構成する」という、考えるプロセスそのものにあるのかもしれません。

読者の疑問にしっかり答える形で書くとはどういう事なのかを、かみ砕いて文章にされているのが、本書です。下記、そのtipsを少し紹介してみましょう。

1. 文章の構成を考える

いきなり文章を書き始めないで、構成を考える事です。

自分が伝えたい主メッセージがあり、その下に主メッセージの判断根拠となる理由/説明が、事柄別や時系列に3つ書かれてある図を書いてみましょう。一つの箱の下に3つの箱が並列して並んでいるイメージです。まずは、これに従って、実際に書き出して、考えるだけでも大分違ってきます。(ピラミッドの構造)

3つの判断根拠が正しく主メッセージを説明しているかを確認するためには、3つの判断根拠のメッセージの前に、「なぜそう判断するかと言えば」の一文を加えて、文章を読んでみる事です。

さらに3つの判断根拠の箱それぞれに対して、2-4つの詳細説明の箱があります。そんな図をフレームワークとして使ってみるのです。下記を意識しましょう。

・ピラミッドを作るときは縦と横の関係を無視しない。
・縦の関係は論理の帰結(上が結論、下が根拠/説明)。
・横の関係は、論理付け。

良い文章は、一見しただけでピラミッド構造が思い浮かぶと言います。その後に、ピラミッドのメッセージをそのまま文章にしてみるのです。

主メッセージを文章にするときには、曖昧な言葉を極力排除することを心掛けましょう。

具体的なメッセージが出てくるまで、So Whatを繰り返します。

2. 読み手の疑問は何かを考える

そもそも、読み手が本当に求めている事はなんでしょうか。実はこれがずれている場合が多いです。


読み手が求めている事をクリアにしていくその手法のひとつが、OPQ分析です。

O(Objective):読み手が目指している望ましい状況
望ましい状況。読み手が現在の状況に至った経緯があり、その中でより良い状況を求めている。Oは、読み手が考えている達成すべき目標や改善後の姿を指す。

P(Problem):現状と「O」とのギャップ
「読み手」にとっての解決すべき問題の事。困った状況のみをさしているのではない。

Q(Question):「P」に直面した読み手が、その解決に向けて自然に抱くだろう疑問
書き手の疑問を押し付けないように注意します。

以上を踏まえたうえで、A(Answer): “読み手の「Q」に対する答え”を探ります。
大切なのは「Q」に忠実に答えること。OPQの流れを無視するような答えを提示しないこと。
また、上記OPQを考える際には「レール(トピック)」を意識することも大切です。つまり、同じモノサシで比べているかどうか、です。次の例の違いがわかるでしょうか。

悪い例:
O: 在庫を削減する
P: 売上が低迷しているのが問題
Q: 売上を増大させ、在庫を削減するにはどうすればよいか。

良い例:
O: 在庫を削減する
P: 在庫が急増した
Q: 在庫を削減するにはどうすればよいか。
A: 在庫を削減するためには、・・・がベストである

良い例:
O: 売上を増大させる
P: 売上が低迷している
Q: 在庫を削減するにはどうすればよいか。
A: 在庫を削減するためには、・・・がベストである

悪い例では、在庫削減の話と売上低迷の話が混在して語られています。
上記文章を読めば当たり前のように感じられるが、いざ自分の文章が同じ罠にはまっている事には、気づかないものです


3. 仕事でわかりやすい文章を書くために、明日から試せること

明日から試したい場合には、仕事でメールを書く際に次を意識してみるとよい。


「感謝の言葉にPDF」

ひとは、感情の動物です。論理だけでは決して人を動かす事はできません。いきなり本文に入らず、1/2行で感謝の言葉を述べてみましょう。理由はふたつあります。


第一に、主メッセージが読み手にとって好ましくない場合、いきなり主メッセージから始まれば相手の気分を害してしまう可能性もあります。


第二に、読み手だけでなく、実は書き手も追い立てられるようにメールを書く場合が多いです。自分の気持ちが焦っていれば、つい相手への敬意を失い、自分勝手な文章を書きがちです。メールは、感情をも運んでしまうツールであると言えます。最初の感謝の言葉を述べる事で、冷静にその後の文章を綴る気になれるのです。

P (Purpose statement):主メッセージ部。「しりてが」なしの単文で表現し、補足があれば別の文章にして続ける。

D (Detail):主メッセージの理由、判断根拠、説明、具体案。
PとDでピラミッドを構成する本文となる。いくつかある場合は箇条書きで。

F(Follow-through) :今後のアクション
「提案における今後のステップ」のように、具体的に記す

・ピラミッドは極力シンプルに。複雑にしない。ピラミッドにわかりきったことを書かない
・読み手のOPQを書き留める(読み手の立場にたつとは難しいもの)
・10分以内に終わらせる

ライティングは考えを表現することであり、書いた人の思考スタイルが如実に現れる、と言います。文章は、書けば書くほど、考えを研ぎ澄ますことが出来ます。まさに継続が力になる分野であり、成長を実感できるため、とにかく毎日実践を積んでいきましょう。

是非興味がある方は、本書を読んで頂きたいと思います。



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