【本紹介】スタンフォード式 生き抜く力/星友啓
弱肉強食。効率重視。シリコンバレーのお膝元。偏差値の高い世界中の優秀な若者が集まってくる場所。賢い者が全てのような価値観を、スタンフォード大学に対してお持ちの方も多いでしょう。そのスタンフォード大学に、思いやりを専門にする施設があるのをご存知でしょうか。
正式名称は、思いやり利他研究教育センター(Center of compassion and altruism research and education)といいます。2013年に本センターの科学ディレクターであるセパール博士は次のように言っています。
何度となく脳科学や進化心理学等における研究が示してきた事は、"思いやり"がまさに進化の結果生まれた人間の本質であると言うことです。身体の健康だけでなく、人間の種としての成長にも欠かせません。10年ほど前には、少数で、単に興味深い程度だった研究が、今では科学の一大ムーブメントとなって私たちの人間観を変えようとしています。
Empathy(相手の心に共感する力)や利他的マインドを大切に。
これが本書を貫くテーマでいってよいかと思います。正直な所、本書で紹介されている事には取り立てて、読者が初めて聞くような新鮮な話はないかもしれません。「スタンフォード式 ○○」 が 書店の棚を占めていますが、何もスタンフォードに行かなくても大切な事は学べるのです。著者はスタンフォード大学オンラインハイスクールの日本人校長ですが、彼自身の人生の紆余曲折の方が掘り下げて話を聞くには、面白いのかもしれません。
以下、本書のエッセンスになります。
ビル・ゲイツの言葉。
Empathyなしのイノベーションでは意味がない。Empathyはイノベーションと同じ位重要だ。Empathyこそ様々な障害を打ち破り、未来への希望を開拓してくれる力である。
生き抜く力の3つの基本要素
①聞き取る力②共感する力③与える力
①会話に取り入れるとよい 4つのDo
1. Paraphrase : 相手の話したいことを言い換え、確認する
2. Question : 相手の言うことを確認しながら詳しく聞く
3. Empathy : 相手の気持ちに共感を占める示す(その気持ちわかるは禁句)
4. Focus : 相手の話に集中していることを示す
②会話で避けるべき 4つのDon't
1. 決めつける
2. 話の腰を折る
3. アドバイスする
4. 否定する
具体的で明確なコミニケーションをする。慣れた相手だからと、指示や意思疎通を雑にすると、予期せぬ問題に発展する。具体的な説明をせずに相手の想像力に任せきってはいけない。雑な言い方や抽象的表現を避け、具体的かつ明確なコミニケーションを心がけます。
謝罪の際の3つのポイント
・してしまったことが何かを、謝る側がはっきりと認める
・謝る側が謝られる側の苦しみや不都合を認めない、心から詫びる気持ちを伝える
・償いを表したり、問題解決や今後の防止策を提案したりする。
離婚の4騎士(ワシントン大学のジョンゴットマン教授の言葉)
・人格否定する
・侮辱する
・言い訳する
・ダンマリを決め込む
議論でケンカしない心構え4箇条
・感情的にならない
・違う意見がある事を認める
・意見が変わる可能性にオープンになる
・論理的に暑苦しくない(論理の平和的利用を心がけよう)
<論理の平和的利用>
・ルールや正論に終始しない
・ルールや正論を客観的かつ批判的に見つめて相手に寄り添う
・相手の間違いはとりあえず心にしまっておく
・相手の逃げ道を確保する
子育てでは、子供の主体的な学習をサポートする話の聞き方をすると良い
<Paraphrase> 同意しつつ、修正する
○「なるほど、XXという事だね。それで、XXというのはどう思う?」
❌「ダメ。違うでしょ」
<Question>
子供の言動の中で、重要なポイントについて質問する時には、
確認と誘導にオープンエンドの質問を使ってみる。
「XXと言ったけど、どんな意味かもう少し教えてくれる?」
「XXしてみると、次はXXになってしまうかもね。どうする?」
"許す力"(STANFORD大学のFred Luskin准教授)とは
復讐心を解消し、悩み、怒り、悲しみなど自分の心の中の主観的な気持ちを変化させ、心に平和を取り戻すこと。
許し方の9ステップ(著書「Forgive for good」(Fred Luskin著)より)
・自分がどう感じているかを信頼できる人にシェアする
・心が楽になるよう、自分でやるべき事をやると決意する
・最終目標は自分の心の平穏
・苦しみは自分自身の心にある事を知る
・PERT法を使う(POSITIVE EMOTION REFORCUSING TECHNIQUE)
・過度な期待をしない
・傷ついた気持ちからポジティブな目標に視点を変える
・幸せな人生が最大の復讐であることを理解する
・自分で自分の救い主になる意識を持つ
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