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有機農業と循環農業

画像は、土壌の1000倍顕微鏡画像です。動画で無いのでわかりずらいかと思いますが、形のいびつなのは土壌の細粒。以外は微生物です。これはたぶん、全体の1%くらいしか存在しない超優良農地の土壌です!

規制と永続。

言い切ってしまいますが、農水省の定義で云う『有機農業』は規制だらけの農業でしかありません。言葉だけが独り歩きした結果、農水省が定義付けしたのは当然のことですね。

簡単に記せば、日本型の有機農業とは、1)化学的な投入と使用を認めない農業です。

具体的には、化学肥料と呼ばれるものは全て排除。農薬と呼ばれるものも全て排除。そう排他的なる言葉が正解でしょうか?農耕民族であった日本社会は、欧米社会に比べると排除の論理が少ない国家ですね。

当然、農村でも排除の論理は通じません。排除から生まれるものは極めて少ない。今でも、努力を重ねて有機農業を続けておられる皆さんの存在は認識してますが、ハードルは極めて高い!と考えざるを得ません。そもそも化学肥料を直接作物が吸収しているわけではありませんしね。農薬も使っている農家がその害を一身に浴びているわけだし。もっと危ういのは、投入する有機物の中身。そもそも有機農業=有機農産物=安全なわけではありません。農産物を育てているのは、大別すると、自然の四要素。と農家が関わるのは、土壌の四要素です。

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農耕は、病氣と虫との闘いでもあります。高温多湿の日本の氣候で病氣も虫も付かないことは奇跡としか言いようがありません。ゆえに一般化はしにくいままに現在に至っています。本来、有機農業は超大規模収奪農業を続けた米国中西部の農業の反省から生まれたとされています。起こりは大都市NY近郊の小規模農家(と言ってもたぶん数十ha)が始めた農業。農業は、大地と水が必須です。中西部の大規模農業は常に水不足に悩まされ続け、井戸を穿ち大量の灌漑を続けてきた様子(現地に行ったことは無いので全て伝聞に過ぎませんが)。その結果、地下水からの塩類集積が起こり、作物が育たなくった。今はドイツのバイエルン社の傘下になった、モンサントなる会社のことは聴かれたことがありませんか? 遺伝子組み換えした大豆の種を開発し、それだけには、効かない除草剤を開発してましたね。巨大アグリビジネスと呼ばれた企業です。現在は、ドイツバイエル社の傘下になりましたが、これも米国企業お得意の欠陥を隠して売却する手法がとられていた様子。買収後、米国裁判所で多額の賠償判決が出ています。結果、バイエル社の株価は半値にまで下落。まるで日本企業が買収し、後に膨大な隠れ負債が発覚したウエスティング(原発企業)と同様です。その後遺症で日本の名門企業は、有力事業の売却をせざるを得ない状態に陥り、株価も低迷したままです。まぁ騙したやつより、騙された方が悪いんでしょうが・・・。

脇道にそれました。

申し上げたいことは、農業の本質は、土壌中の微生物叢(小さな宇宙)の増減に氣配りするのが最重要課題であることを日本の農業は知っていたということ。不思議でならないのは、顕微鏡も分析機も存在しない時代に、農家はそのことを認識し、営々と田んぼ、畑を耕してきたことにあります。師匠の一人が面白いことを仰せでした。

畑は森に学べ! 田んぼは沼に学べ!  

森は晩秋になると葉と実を落とします。それを無数の野鳥や昆虫が分解し、土に還ります。土のなかでも、小動物が分解し、それをまた、無数の微生物群が樹木の栄養素にして生育をサポートします。春には、新芽が芽吹き、花が咲き、また、実をつける。畑は(田んぼも同様ですが)育った作物を持ち出します。持ち出しに見合った有機物やミネラルを還元しなければならない!と。怠ると連作障害が起きる!とも。

それこそが、自然界の大いなる掟。循環で成立しているのが農の世界!と仰せでした。むろん、それは農に限らずで、農産物を食している皆さんも同様ですね。水の循環、大氣の循環、食の循環、金銭の循環も同様ですね。断ち切れば、どこかで不具合が生じます。先に紹介した、米国中西部の穀倉地帯の塩類集積なんぞは、その典型かと感じます。

収奪と循環の違いですね。

残念なことに、落ち葉なる有機物を供給してくれていた里山は過半が工業団地に置き換わりました。これも時代の要請だったんでしょうね?子どもの頃、この里山は、春には山菜と果実、秋にはキノコを恵んでくれて、子どもたちに自然との相対の仕方を教えてくれていた舞台。

時代は変遷し、有機物は畜産農家が供給してくれてます。畜産農家から供給される有機物は、その過半が穀物由来。ゆえに、落ち葉と同様の有機物。問題は、醗酵! 一時期、様々な名称を付けられた微生物資材が流通したことがあります。これも師匠の一人の言葉が重い。有用微生物だと???ということは無用の微生物が居るのんか? 微生物は旅客機に乗って旅するのんか?九州鹿児島の微生物や、沖縄の微生物が関東のど田舎の微生物と会話出来るのんか? おかしいやろ! と、仰せになり、土着の微生物を増やすことに生涯を費やした。彼は微生物でなく、神様と呼んでいた。『土神さま』とね。神々は、神社だけに居るわけでは無い!自然界のいずこにも存在している。それこそが、瑞穂の国・日本の神髄だ!これを指して『八百萬の神々』と云う。

まぁ異論はあろうが、議論の対象にしようとは思わない。実践している皆さんの実学こそが学問の神髄と考えている。実験室や試験管の中が全て正しいわけでは無かろう! 残念なことに、師匠方は昭和の人間。過半が黄泉の国へと旅立たれている。

とここまで書いて、ヘコタレた。循環農業については、次回以降に(*^^*)見かけなくなった循環農業と里山活用の神髄!なんどもで(*^^*)もう10年以上昔の画像。この方は元氣で居られるか?


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