眠れない夜のヒーロー
「お笑いと音楽は眠れない夜のヒーローである。」
これは私の数少ない持論の一つだ。
どうも私は睡眠というものと、あまり良いお付き合いができていない。気絶するようにコトンと眠る日もあれば、その逆で、全く眠れない夜もある。
大切な日の前日などは必ずと言って良いほど眠れない。気が張りつめているのか、はたまた興奮状態にあるのか…遠足前の小学生のように、いつまで経っても、大人になっても、上手くコントロールできないでいる。
また、心がモヤモヤしていたりすると、考え事がとどまることなく一人歩きし、そのまま夜が更けていくこともしばしば。
次の日が楽しみすぎても、不安すぎても眠れない。繊細でけったいな睡眠事情である。しかしながら、それも自分の愛すべき個性の一つ。決して嫌なことでもない。
そうして持論へと戻るが、
お笑いと音楽は眠れない夜のヒーローである。
眠れない夜は総じて孤独だ。身体的にも、精神的にも。そんな時、側にいてくれるのは音楽だ。感傷的になった心に寄り添ってくれるものや、勇気づけてくれるもの、パッと明るく照らしてくれるものや、元気をお裾分けしてくれるもの。色々あるが、より一層、下へ下へと誘ってくるものもある。しかし、それで良いのだ。海の底まで沈んでいくようなあの感覚も、1人で浸りたい夜には心地良く、こうして無駄な時間が過ぎるのも悪くないと思える。全ての音楽に様々な効果があり、いらない音楽など、この世に一つも存在しないのだ。
そしてお笑い。どんなに辛くしんどい時でも、面白いものは必ずあり、そして笑えるのが人生だ。これまで幾度となく救われてきた。その素晴らしさをまだ上手く言葉で表現できない自分がもどかしいが。とにかくお笑いは最高なのだ。当たり前のことだが笑うのは楽しい。面白いものを見るのは楽しい。たとえひとりぼっちでも、真夜中、時間も忘れてバカ笑いするひとときは間違いなく幸せだ。テレビや劇場、YouTube、そしてラジオなど、様々な場所から、笑いという名の幸せを届けてくれている芸人さん達には感謝してもしきれない。
最終的に笑えればそれで良いやと思えるようになったのも、何事も面白がって楽しもうと思えるようになったのも、お笑い趣味がきっかけだ。今の性格や人格形成において一番大きく影響を受けているかもしれない。悔しいことも悲しいことも、いつか笑いにしてやれという、根からの関西気質も多少はあるかもしれないが。
音楽やお笑い以外にも、現代は娯楽に溢れている。本や映画、アニメやゲームなど日々様々なエンターテイメントが、人々を楽しませ、人生をより豊かにしてくれている。私だってその恩恵を受けている。本やアニメも大好きだ。映画だってよく観ている。しかし、それらが手につかなくなる時もある。
人は調子の良い時にはいろんな物事を楽しむことができる。それこそ流行りのドラマや映画などにもついて行けるだろう。しかし、本当に調子の悪い時、自分の余裕のない時に、それでも楽しめるものを見つけてほしい。
私にとってのそれが音楽とお笑いなのだ。ひっそりと眠れずにいる夜、私を孤独から救い出してくれる。明日への勇気をくれる。紛れもなくヒーローだ。
皆誰しも眠れない夜はあるだろう。そんな時、お酒を飲んで乗り越えるも良し、ゲームの世界に没頭するも良し。とにかく、無条件に手放しで楽しめるもの、自分にとっての"ヒーロー"を見つけてほしい。そうすれば、眠れない夜も少しは変わってくるだろう。
長年けったいな睡眠事情と寄り添い、うまいお付き合いの仕方を手探りで模索した者より。今どこかで眠れない夜を過ごすあなたへ愛を込めて。
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