刀ステ一挙放送を見てへし切長谷部に落ちた話

本題に入る前に、私の刀剣乱舞遍歴を整理しておこうと思う。

私が刀剣乱舞に出会ったのは2年ほど前、友人と一緒に、自宅で鑑賞会を行った時であった。刀剣乱舞が好きな友人が、花丸を見せてくれた。

私がまず気になったのは歌仙兼定だった。大学時代に和歌の研究をしていた私は、三十六歌仙が由来の刀と知り、彼にたいそう惹かれた。すごく綺麗で美しい刀剣男士だと思った。
燭台切光忠も好みだった。声もビジュも最高だった。しかも料理が上手なのである。ハイスペック過ぎる。好きにならないわけが無い。
友人の推しである薬研藤四郎にも興味が湧いた。彼だけは子ども姿の短刀の中でも色気がある。そこにドキッとした。
この三振りは、今でも私の推しである。

ちなみに、この時のへし切長谷部の印象は、主が大好きなダサジャージ男である。
ダサいジャージを着ている男が、主、主、と主の世話を焼き、出陣出来ないとなると悔しがる。この刀は本当に主が好きなんだなあとは思ったが、かっこいいとか好きだなという感情は全く無かったのである。

2020年1月5日、花丸を見て刀剣乱舞に興味を持った私は、ゲームをプレイしてみることにした。
はじまりの刀はもちろん、最初に興味を持った歌仙兼定である。歌仙は文系のわりに発言が物騒で、ガタイもいい。私はそんなところを愛しく思い、美しく強い歌仙にどんどん惹かれていった。この刀を強くしたいと思った。ゲームもとても楽しく、新しい刀が増えることにわくわくした。

諸事情により、歌仙に近侍を任せたまま、ほとんどの時間を現世で過ごす時期もあったが、二年間の本丸生活で、短刀六振りを極めた一人前(?)の審神者となった。現在、歌仙は修行中で、審神者就任二周年の記念日に、帰還予定である。

前置きが長くなってしまったが、ここからが本題である。

刀剣乱舞に出会ってから半年程経った頃、アマプラで 映画「刀剣乱舞」を見た。刀剣乱舞の2.5次元に興味はあるが、なかなか手を出せない臆病者にとっては、アマプラで見れるというのは良いきっかけであった。
三日月宗近が、これまでゲームで見ていた三日月宗近そのもので衝撃を受けた。薬研はとってもイケメンで足が綺麗だった。刀剣男士が生きていると思った。2.5次元ってすごいなと感動した。
この時の長谷部については…。とてもかっこいいし、日本号との絡みもおもしろかったのだが、しかめっ面の、主大好きダサジャージ男の称号のままである。

それから1年近く経ったある日、DMMで 舞台「刀剣乱舞」の配信を見れることを知った。しかも半額で見られる期間中だった。歌仙や燭台切はどんな感じなんだろう?半額だし見てみよう!ということで、推しの出ている虚伝の再演と義伝を見た。
私が育てている刀たちが舞台上で生きていることに感動した。燭台切は顔も声もスタイルも全てが燭台切でかっこよかった。足が50mくらいあってびっくりした。歌仙は原作よりも雄みが強くてちょっと面倒くさいやつという印象だったが、弊本丸の初期刀である、だんだん可愛く思えてきた。
刀ステは、刀の持つ逸話や刀同士の関係性をわかりやすく描いていた。ストーリーがあるってこんなにおもしろいんだ!と感激した。見応えがあるし刀たちの顔が良い。いつかは他の作品も見てみたいと思った。
虚伝を見て、長谷部が他の刀に嫉妬し織田信長にクソデカ感情を抱いていることがよくわかった。しかし、内番姿はやはりダサかった。この時も、主大好きダサジャージ男のままであった。

それから約半年後の2021年11月、劇場版刀ステを見た。映画館で見る刀ステは迫力満点で、まるで劇場で見ているかのような臨場感だった。燭台切の声がよく響く。歌が上手い。薬研も男らしくて好きだ。推しの刀たちの生き生きとした姿を目に焼き付けていた。
虚伝初演を見るのは初めてだったので、おはぎの宴には笑ってしまった。長谷部がおはぎを詰まらせている。必死に咀嚼するも飲み込めず、「進めてくれ」と口をもごもごさせながら喋る長谷部を可愛いと思った。さっき、ジャージ姿で馬当番をしていた長谷部を見た時にはダサいとしか思っていなかったのに。初めて長谷部を可愛いと思った瞬間だった。

映画館で刀ステを見た日から、長谷部のことが気になるようになった。燭台切の二次創作を漁っていると、長谷部が出てくる話が多いことに気づいた。燭台切の話を読んでいたのに、長谷部のことも気になって、長谷部の二次創作も読み始めた。長谷部の逸話を知ってから彼を見ると、健気な刀だなという印象に変わった。主に好かれようとする姿が可愛いなと思った。

2021年の年末、刀ステの一挙放送を見た。まだ見たことのない作品も含め見れるこの機会、とてもありがたかった。
虚伝の初演と再演を見て、あることに気づいた。最後に番傘を持って主(観客)に挨拶をする際、長谷部がとても優しい笑顔を浮かべていることに。織田信長の恨み辛みを述べ、他の刀に悪態をつき、物騒な物言いをする長谷部が、主に対してはあんなにも優しく笑うのだと…。前に見た時は気にとめていなかった長谷部の姿にキュンとした。

ジョ伝。黒田長政と遭遇した長谷部は、今まで見たことのない柔和で恍惚な表情をしていた。黒田長政と話す時の丁寧な言葉遣い。衝撃だった。しかめっ面の長谷部がこんな表情をするのかと。同時に、黒田長政が長谷部のことを大切にしていたのだろうと思った。下げ渡された先が黒田家で本当に良かったと思った。
終盤で、長谷部が日本号、博多藤四郎とともに三つら星と言われる場面。彼の照れながら笑う姿が可愛かった。私の知らない長谷部がそこにいた。

主に大切にされたくて仕方ない。だから他の刀に嫉妬もするし悪態もつく。コンプレックスの塊で人付き合いが不器用。有能なはずなのに、ちょっとうまくいかない。そんな長谷部を愛しいと思った。主のために尽くす、その思いを審神者である私に向けてほしい。そして、審神者としてその思いに応えたい。舞台上の長谷部が前の主に、思いを寄せたのが少し悔しかった。

またもや長谷部は、挨拶で主(観客)に笑顔を向けた。今までにない晴れやかで嬉しそうな、可愛い笑顔だった。

…好きだ。
長谷部に落ちた瞬間だった。

ジョ伝を見ながら鍛刀していたのだが、顕現したのはなんと長谷部だった。審神者としての能力がありすぎて驚いた。

刀ステ本丸の長谷部に落ちてすぐ、急いで弊本丸の近侍を長谷部に変えた。アッシュグリーンのさらさらな髪。淡い紫の透き通る瞳。鼻筋はすっとしている。へし切長谷部ってこんなにいい男だったんだ。主に向けて話す声は穏やかで優しい。私愛されてるんじゃないかな、と勘違いする程に。戦の時の物騒な物言いも好きだ。ギャップが可愛い。
現在、弊本丸は歌仙が修行中である。歌仙がいないのを寂しく思っていた私に、長谷部は「あいつの不在の間は、俺に何でも申し付け下さい」と声をかけた。何て頼もしいんだ。心が軽くなる。嬉しくて仕方ない。好きになっちゃったなあ。なんか…悔しいや。

悲伝まで見終わってこの文章を書いている。極めた長谷部はとても美しくかっこよかった。過去を乗り越えた長谷部は清々しい表情をしていた。いつか、弊本丸の長谷部が旅に行きたいと言ったら、喜んで送り出せるよう、審神者として頑張ろうと思った。

ダサジャージ男から推しに昇格した、弊本丸のへし切長谷部。この二年間で、私が歌仙兼定に一番愛情を注いできたことは分かっているはずだ。それでも健気に主命を果たそうとする彼に、しばらくの間、この本丸を任せてみようと思う。

非常に長い文章となってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。刀ステを見ていなかったら、私は長谷部を好きにならなかったかもしれません。
長谷部の魅力に気付かせてくれた、へし切長谷部役 和田雅成さんにとても感謝しています。

そして、長谷部、これからよろしく頼みます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?