蜃之助

童貞

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ヘッドカノン

僕が五歳の頃、通っていた幼稚園の同級生に「はやと君」という子がいた。彼は僕よりも一回り背が低く、前ならえではいつも腰に手を当てているような子だった。でも、かけっこだけは誰にも負けなかった。  幼いながらに、どうして僕は僕よりもずっと小さな「はやと君」にかけっこで勝てないのだろうか疑問に感じていたことを憶えている。 当時の僕にはまだ、「努力」や「遺伝」の概念が存在しなかったから、僕はただ考えるしかなかった。 なんで僕は「はやと君」に勝てないんだろう、と。 僕と彼には一体どん

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