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『VOCをどう分析すればいいですか?』の問いは落とし穴


コールセンタージャパンでも特集

コールセンター、コンタクトセンターの業務に携わる方々とすると、VOCという単語は、一度は聞いたことがあると思います。コールセンタージャパンの2024年4月号も生成AI時代の『VOC』整理と活用という特集が組まれており、拙いコメントではありますが私のコメントも掲載いただいております。

コールセンター業界で、VOCというワードが出てきた歴史は古く、正確には把握しきれないですが、Google検索にヒットする以後の歴史だと・・・1996年くらいからはWEBページが存在していそうでした。

歴史は古い・・・!

定期的にホットになる話題なのだな、と再認識。

そもそもVOCとは何?

VOCとは、Voice of Customer の略で、カスタマーサービスやカスタマーサポートの文脈では『顧客の声』、つまりサービスや製品に対する意見や感想、不満など、顧客が発した意見を指すことが多いです。

コンタクトセンターに寄せられるお問い合わせ(電話やメール、チャット)だけでなく、顧客満足度調査などのアンケートや、Xのポスト、Instagram、TikTokなどのSNSの企業アカウントに投稿されるコメントなども含みます。

主にこの3種類がメイン!

VOCを理解することで、顧客の困りごとやボトルネックの把握、サービスに対する反応を理解することができます。

基本的には、テキスト化された非構造データが主で、ラベリングなどの方法で定性データとした扱われることも多く、コンタクトセンター内だけなく、マーケティングや製品の部門と共有され、サービスや商品の改善活動のためのヒントとして扱われます。

アンケート(自由記述式を除く)以外は、基本的には非構造化データであるVOC。分析難易度が異常に高い!!

VOCを把握することで、何らかのアラートをキャッチできることもありますし、たった1件の問い合わせから新しい製品や企画のアイデアの種が生まれることもあります。

生成AI前のVOC分析は、だいたいこの3つを主目的とした分析がほとんど

このとおりVOCを活用することで、様々なメリットを享受できること自体はイメージがつくのですが、実際はそこまでうまくまわっていないケースがどうやら多いようです。

VOCの利活用がうまくいっていない?!

VOCの利活用をしようとしているコールセンター/コンタクトセンターの現場では、どうやら高いハードルが存在しているようです。

高いハードルを超えたものだけが、VOCの果実を得ることができる!

『VOCを収集、分析しているが形骸化している。惰性でレポーティングしている』という一瞬は盛り上がったが継続的な意味合いが見いだせずに収束していくケースや、『他部署に共有したが、いい反応が得られず、なんのための活動かわからなくなった』などのケースもよく見聞きします。

どちらのケースも目的が置き去りになっているため、施策としてのVOC分析だけが独り歩きしていることで起こっている点が共通しています。

意外と多い!『何のためにやっているのか?』に答えれない状況はやばい!

私は、問いの立て方として、『どうVOCを活かすのか?』という着想から広げていくのは危険であるとすら思います

チーム内で、このテーマで議論が始まると危険信号・・・。

理由は、VOCをどう活かすか?が経営や部門、はたまた顧客戦略において重要な問いになることがほぼないからに尽きます。

VOC活用の失敗パターンを避けるために『施策の猿真似』をやめる

問いとしては、『現状のサービスは、顧客にどのように伝わっているのだろうか?顧客の口から発せられる意見と我々の認識にギャップはあるだろうか?』や『直近の製品改良の意見をいち早く把握しておきたい。どのようにキャッチアップすればいいだろうか?』などの問いがまず先にきて、適切な課題設定をします。その後、課題にマッチすると考えられる施策としてVOC分析が手段としてどうなのか?、という流れになるべきだと思います。

いつでも発生する負けパターン『手段の猿真似、手段の目的化』

他社の発表などで『VOCの活かした方大公開!』などのセミナーなどを見てしまうと、問いの設定と課題の設定をすっとばして、いきなり施策から入ってしまいかねないので無目的な失敗パターン、落とし穴にハマる状況になりやすいです。私もVOCの活用セミナーは実施したこともありますし、コールセンタージャパンさんのコメントで施策バカなコメントをしたばっかりで恐縮ですが・・・。

『VOCをどのように分析すればいいか?』という問いが浮かんだら、やばいやばい、と思って我に返ってください。それは本質的な問ではなく、施策実行のTODOの洗い出しです。上位の問いがない場合は、落とし穴にはまること間違いありません。

常に光りそうな黄色信号。自問自答、大事。

出発点は、いつでも『(私達の)コンタクトセンターはどんな目標に向かえばいいのか?』『現状はどうなっていて、目標とのGAPは何か?』『どの課題が一番インパクトが大きいか?』などからスタートしましょう。そこからスタートできてないと徒労になります。

VOCを本当に活用したければ、どうVOCを活用すればいいのか?という発想の起点はやめましょう。

まとめ

長くなりましたが、最初はお伝えしたかったことは別にあったのですが、書き始めたらあらぬ方向に結論が行ってしまいました。ただ、本質的なお話だと思います。ぜひ皆様も気をつけてくだい。

とはいえ、『目的や仮説っていうけど、、、どうしたらそれを設定できるの?』という質問もあるかなと思います。

以下のような類のもので、あんまりピンとこない場合はいったんVOC分析のことは忘れてもいいように思います。

『見える化自体が目的』くらいには、引っかかってほしい!という願いあり。

何か、ご意見・ご相談ございましたら、何でもおっしゃってください。

SNSでメッセージ、お待ちしております。

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おまけ〜生成AIは強烈なインパクト〜

本来であれば、コンタクトセンタージャパンの特集に合わせて、生成AI時代のVOC管理について専門的に書きたかったのですが、施策の話ばかりすると結果的にこの記事を読んで下さる方々の害悪になりかねないと思ったので自制しましたが、本文に書いてある問いの設定、課題設定がうまくされている方もいらっしゃると思いますので、少しだけ施策チックな話題に触れておきます。

実はVOC関係の施策はシンプルです。(1)データの取得方法・量・タイミング、(2)データの前処理、目的に応じたデータの加工/アウトプットの作成、(3)後工程との連携(CRMへの登録、分析基盤への登録、特定部署へのリアリタイム通知etc)の4つを整理すれば実行の道筋が見えてきます。特に(2)目的に応じたデータの加工/アウトプットの作成については、生成AIが登場で劇的に変化しました

音声認識、テキスト要約などの『データ加工』が生成AIで見違えるレベルに到達

弊社でも様々な施策を行っていますが、本当に強烈なインパクトを感じます。音声データ→テキスト化のWhisperの能力、その後のGPT等のデータ加工力は、毎回アウトプットを見るたびに信じられない思いがします。現時点ですでに私のスキルのはるか上のレベルです。

課題設定がしっかりとできている!という方は、ぜひフル生成AIのVOC管理についてお話させてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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