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【小説】これまでの公募のまとめ

今年の電撃大賞に向けて自分の応募作品を振り返ってみて次に活かしたいという意図のまとめです。

スケープゴートブレイクアウト(3次選考落選)

2017年第24回電撃大賞に応募した話。これまで小説をまともに書き上げたこともなかったが、突然氷菓のアニメを一気見して「こんな話を自分でも書いてみたいな」と思い立ったのがきっかけ。直近の締め切りを調べたところ約2か月後に電撃の締め切りがあるじゃないと気づき見切り発車で書き始めた。氷菓がきっかけなので出来上がった話もかなり氷菓に似てたし読んでもらった友達からも劣化版氷菓という批評を受けた。

長編小説ってあんな何万文字もある文章どうやって書くんだろう?と思っていたが、困難の分割というシンプルな手法でなんとか書き上げられた。それだけでもよくやったと思う。文量は約120電撃ページ(1電撃ページ=42文字×34行)で増やすも減らすも可能なちょうどいい長さに収まったのも良かった。

問題は謎そのものが面白く描けなかったこと。これは評価シートでも書かれてたし、その謎に対する主人公のリアクションも弱かった。
具体的には『旧校舎のバルコニーに落ちていた黄色い物は何か』『万引き犯は何故高い万年筆を盗らなかったか』など、「何がおもろいねん」な内容だったのでお察し。でも今見返してみると、導入の小謎で出てきたある要素を終盤の大謎でちゃんと拾ってたり、一回オチをつけたと思わせて実はそれは大オチに向かうフックだったみたいなテクもあって結構頑張ってる感はあった。こういう1つの作品としてまとまってるようにうまく仕上げたい。処女作だけど見習いたい部分は意外とある。

論理ネス・アセンション―君を知らない世界からの脱出―(3次選考落選)

2018年第25回電撃大賞に応募した話。『正直村と嘘つき村』『鍵交換問題』『モンティ・ホール問題』などの論理パズルが具現化したオメガフィデスという異世界に転移した主人公達が、ヒロインを救い出す為に頑張って脱出を試みる話。タイトルが今みたらどこかの脱出ゲームみたいで笑える。

意図的に書いたので想定内だけど、世界観とかを説明する上で「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」的な内容になってしまってそういうのはやっぱりよくないんだなと思った。

異世界の要素とかも結構表面的であまりちゃんと描けてなかった。異世界ものはちょっと向いてないのかも……?と考えるきっかけになった。勉強不足。異世界要素に限らずいろんな部分が雑だったので落選で当然というかよく3次選考まで行ったなと思う。処女作もそうだけど僕が選考委員なら1次で落とす。
決定的によくなかったのは、「ヒロインを救い出す」という構造の都合上、終盤までほぼヒロインが出てこない件。ライトノベルとして致命的すぎる。勿論それを補う為に異世界で出会った準ヒロインキャラを用意したけど、読んでもらった人には準ヒロインがメインヒロインに見えたみたいなのもあったし色々うまくいかなかった。

イーサリー・ナンバー・マルチプライ(3次選考落選)

2020年第27回電撃大賞に応募した話。第26回時点で書き上げていたものの、読んでもらった上で「応募に値しない」と考えて応募自体見送った。それを少し内容を更新した上で翌年に応募し、やはり落選となった。

自分で書いた感触としては、これ以降の自作も含めて過去一番よく出来たと思ってる。いつも読んでくれて酷評してくれる友人もこの話についてはかなり面白く感じてくれた。

ストーリーを説明するのが難しいので、あらすじ冒頭を引用しておきます。

 イーサリナムという人間を識別する数字、その数字を基盤とする宗教、数字による特殊能力が支配する社会。数列都市フィボナッハで数理情報屋を営むアルフレッドの元に、フィロソフィアと名乗る幼女が訪ねてくる。見た目は幼女だが、その中身は男性の学者牛男爵であると名乗る。牛男爵はアルフレッドに依頼をする。アレンサムというアンサンブル(共通点があるイーサリナムの人を集めた様々な組織、自治体)に所属しているジャンヌという女性を助けて欲しいというものである。ジャンヌはイーサリナムが悪魔の素数であるという判定を受け、不幸な未来がもたらされることが分かっていた。

論理ネス(略)と同じく、主人公がヒロインを救い出す話。違うのは、ヒロインのジャンヌを序盤中盤終盤ある程度作中に出してキャラを立たせた点。これ自体はよかったけど、いつも酷評してくれる友人曰く「話は面白かったけどヒロインが全くかわいくない」とここだけは低評価だった。

この話は脚本に結構重大なミスがあり、読んでる人は気づかないかもしれないが、圧倒的にこう書き換えたほうがいいという改訂案がある。それもあって、もし過去作をリメイクするならこれを書き直したい。
いわゆる異能力ものだけど、異能力の元ネタが「数字」なのはあまりにも概念しすぎているのでもう少しこだわったほうがよかった。

つらい月曜日を乗り越えるなら(1次選考落選)

2020年第27回電撃大賞に応募した話。上記のイーサリー(略)と同じタイミングで応募した。こっちはイーサリーと違って2020年の新作として書いた話。タイトルが自己啓発書みたいだけどなんでこんなタイトルにしたのかは謎。

あらすじとしては、ある日『月曜日』という概念が世界から消えてしまうという事実に気づいた主人公が、神々の世界から来た信徒という存在のヒロインと共にその事実(事件)を解決する話。この話の中では、曜日は神々の世界における『曜神』という存在に紐づいており、月曜日の概念が消えたのは、曜神の一柱である月曜神が殺害されたからである。
ようするに主人公たちが殺神事件を追っていくというサスペンスもの。

明確に問題な点があって、第1章がかなり読むのが辛い内容になってしまってる。これは『なんで月曜日が消えたのか』『なんで月曜日という概念が嫌なのか』を読者に認識してもらうため、主人公の視点でも月曜日は嫌なものなのだということと説明したかった故の作りなのだけどうまく機能してなかった。

上記の点を除けばそんなに悪い話じゃなかったと思うし、処女作とかが通るならこれも通るやろという気もする。
ちなみに確かこれを応募した1,2か月後に新馬場新先生の月曜日が、死んだ。という作品が別の新人章で受賞しており、内容はおそらく大きく違うと思われるが前提になるコンセプトが酷似しすぎているため敗北を確信した。

パラドックス少女の静かなる咆哮(2次選考落選)

2021年第28回電撃大賞に応募した『理崎冬華逆説探偵』(1次選考落選)を改稿して、翌2022年第29回電撃大賞に応募した話。
しばらくファンタジー路線に逃げていたもののストレートなミステリーを書いたらどうなるんやろ?と思い書いたもの。

依頼品をもとに事件の推理をしていく『万能鑑定士Qの事件簿』とか、古本にまつわる謎を解く『ビブリア古書堂の事件手帖』みたいなノリで、パラドックスに関連する謎解きを女子学生が解いていく人が死なないタイプのミステリー。

これについては個人的にかなり気に入っており、それもあって初めて落選作を応募しなおすということをやった。

選評シートでは下記の指摘があって勉強になった。
・心の中の声を描きすぎ
・そもそもパラドックスというテーマが難解
・ミステリーというよりはミステリー仕立ての物語(ミステリーが弱い)

一方で主人公と助手役の関係性は魅力的だったという評価があり、このあたりから「バディものにしたら書きやすいのでは?」と考える変換点になったかもしれない。また、パラドックスが難解というのはおっしゃる通りで、「自分ではそう思ってないしある程度受け入れられる」と思っているものが実はそうではないというものが多く、もう少し万人受けする話を書きたい(思えばイーサリーの素数ネタとかもそうだった)。

ダスク・トゥ・ダウンの陰謀論(0次選考落選)

2022年第29回電撃大賞に応募する為新作として書いたものの、自分で読み返して面白くなさ過ぎて応募自体やめてしまった(応募自体できてないので0次落選です)。いつもの友人にも見せてもらったがひどすぎて途中までしか読んでもらっていない。これを最後まで読んだことがあるのは自分自身しかいない。

話としては、イルミナティという世界的な大企業が幅を利かせ、世界中の人間にマイクロチップが搭載された近未来の世界で、それらすべてが陰謀であると訴える女子大生と、その女子大生に付き合わされる教授のペアがその陰謀に対して解決していくというもの。
ざっくり書いて思ったけど全然面白くない……
世界観の練りこみが甘かった。
サスペンスぽいけど結構がっつりSF要素で、ある象徴的なシーンを描きたい為に長編一本書いたけどそのシーン以外がひどすぎて終わってしまった。

タイトル未定(0次選考落選)

2023年第30回電撃大賞に応募する為に書いていたが、こちらについては中盤まで書いている途中で読み返して面白くないことがわかり、執筆自体断念した。書いている途中での読み返しは危険だということを気づかされた。

ストーリーはダスク・トゥ・ダウン(略)の無念を晴らすため、それを別の形で書き直そうとしたもの。
都市伝説や怪異に悩まされる女子高生の為に天才プログラマーの男が解決する話で、都市伝説や怪異はIT知識で対応出来るのでは?という発想で攻めていくうちに、実はその発想は世界の真実に紐づいていた……みたいな話。ダスクよりはましだけど世界の練りこみや個々の事件の解決手法に粗があった。
執筆を断念した別の理由として本職が忙しすぎてメンタルが死んでいたこともある。

次回に向けて

今までの流れをふまえ下記の方向性で行く予定です。
・なるべく万人にも受け入れられそうなものをテーマにする
・バディかつライトミステリにする
・ファンタジー要素を入れる場合しっかり練りこむ
・SF、サスペンス系は自分の中で地雷なので避ける
・書いてる途中で読み返さない

4月に自信をもって応募できる話が出来上がっているか不安も楽しみもありますが今年は他の創作も本職もそんなに追われている状況ではないので頑張ります。

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