ショーシャンクの空に
「感想を言語化したくない」と思う映画がある。
『自分の語彙力が足りない』という弱みを隠すために「言語化したくない」と言っているだけなのかもしれないとも思うが、
世の中には言葉で表現できないほどの感動が存在すると思う。
自分にとって『ショーシャンクの空に』はそんな映画の一つだ。
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あれは中学1年生のときだった。
当時、英語の担当だったK先生が中1の僕らに『ショーシャンクの空に』を観せたのだ。
もちろん冒頭のあのシーンも見た。
(主人公の妻と間男のシーン)
中1なので、
「やっちゃってんじゃん!笑」とはしゃぐ人もいれば、
恥ずかしそうに…でも興味津々で映像を覗く人もいた。
そして、芸術作品としてしっかり映画を観られる大人の子達もいた。
『視聴覚室の大きなプロジェクターで映画を観る』という特別な体験も相まって、この作品自体が印象に残っていた。
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K先生は当時24歳くらいだったと思う。
「私が一番好きな映画」ということで観せてくれたのだ。
とても良い授業だったと思う。
ただの映画鑑賞かもしれないが、私の記憶に深く刻まれている。
『一人の人間が好きなものを共有する』というのはある意味で勇気がいる行為だ。
でも、共有された側がそれを受け入れたとき、相手との絆が一気に強まる。
私はお互いが打ち解けるあの感覚が好きだ。
好きな作品が同じだった場合、作品を通してすでに長年会話しているかのような気持ちになる。
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私が「好きな映画はなんですか?」と聞かれたら、おそらく「グリーンマイル」が最初に出てくると思う。
奇しくも『グリーンマイル』も『ショーシャンクの空に』も監獄での話だが、グリーンマイルは何度見ても号泣する映画の一つだ。
私にとっては泣かないのが不可能なのだ。
でも、『ショーシャンクの空に』において個人的に泣くシーンはない。
涙が溢れたことはない。ただただ深く自分の心に残る作品だ。
…今まではそうだった。
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今、札幌は雨が降っている。
しとしとと雨が降り続いている。
『ショーシャンクの空に』を観終えたあと外に出たとき、
主人公のアンディが脱獄したときの雨と重なった。
そこでぶわっと感動が溢れてきた。
初めてあの作品で泣いた。
煩わしいはずの雨に、今の自分にしか感じないであろう特別な意味を感じた。
私はしばらく雨の中でその感動に浸っていた。
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最後に一つだけ『ショーシャンクの空に』の感想…というか、個人的な感動ポイントを述べたい。
あの作品のエンディングでは、
変ホ長調で始まって、短いハ短調を経て、最後はハ長調で終わる感動的な曲が流れるのだが、エンディングを通して1曲だけで締めているのが最高だと思う。
エンディングロールに2曲使う映画が多い気がするのですが、『ショーシャンクの空に』は1曲でしっかりと余韻に浸らせてくれるのだ。
なにも不純物の入らない余韻を楽しませてくれる。
さて、今日はビールを飲もう。
あの囚人たちが屋上でそうしたように。
読んでくださりありがとうございます!!