見出し画像

20年間探していた女性を見つけた話

小学生の頃、学校の図書館で繰り返し読んでいた本があった。

小学生の頃の私は捻くれており「小学生向けの本って、ポップなイラストに説教滲ませてる感じがして好きじゃないんだよな〜」
なんて思っていた。カス。

その割には本を読むのが好きだったのでよく図書館には通っていた。そこで『運命の本』と出逢うことになる。

その本はこれまで読んできた子ども向けの物語とは違い、静かで淡々とした雰囲気が漂っていて、挿絵もカラフルではなく何故か緑色ばかりが使われており
初めて読んだ時から何度も何度も借りては読後の清々しさに魅了されていた。

サイズも文庫本くらいで、この本で私に何かを訴えかけるというよりは
「雨の日にたまたま隣人の綺麗な女の人の家に上がらせてもらった」みたいな、そんな不思議な体験をした後のような気持ちになるような本だった。

その本、久しぶりに読んでみたいな…
そんなわけで数年ぶりに『その本』を買ってみることにした。

のに!!!!!!!!!!!

やばい!!!!!!!タイトルが何一つ思い出されへん!!!!!!! 


何なら今となっては内容もそんなに覚えてへん!!!!!!!!!!!!


~~その本のふんわりとした記憶~~
・緑の服を着た『ミドリさん』という隣人のお姉さんが出てくる
・主人公(男の子)がミドリさんのお家に行くと、カーテンから何から部屋の中身が全部緑色だった
・途中の挿絵も全部緑色でシンプルなイラスト

という3点だけは覚えているので
『ミドリさんの部屋』みたいなタイトルだった気がする……
と思い「ミドリさん 児童書」で検索すると

今日マチ子さん作の「ミドリさん」が出てくるのだが
私の記憶の中のミドリさんは

(スーパーの広告)

なんかもっとこんな感じの顔をしていたはずなのだ。

そこから、人生のどんなタイミングでネット検索しても私の探している「ミドリさん」は出て来ない。
※ちなみに「ミドリさん カーテン」で検索すると園芸用の本ばかり出てくる。

中学生になっても、高校生になっても、大学生になっても頭の隅の方にモヤがかかった『ミドリさんの本』の記憶があって
いつからか「ミドリさんと再会すること」が自分の人生のタスクに組み込まれてしまっていた。

タイトルが思い出せない本や漫画を探せる「あやふや書籍」などの有難いサイトにアクセスしても一向に見つからないので、だんだんとあの本を読んでいたのはこの世の中で私だけなのではないか…という感覚に陥ってくる。

ていうか〜?!
そもそも、通っていた小学校の図書館には卒業生の作った本なども置いてあったので?!
もしかしてこの世で1冊だけだった可能性も微レ存?!?!

通っていた小学校に連絡してみようか?
⇨その小学校はかなり前に改装しているので本が処分されてしまっている可能性もあり、それに莫大な本の中から見つけられる気がしなかった。

(まぁでもいつか見つかるでしょw)などと放置しているうちに成人を迎えアイドルになった私は、とあるファンの方に「誕生日何か欲しいものない?」と聞かれた際に
「ミドリさんの本を突き止めてほしい」とお願いするレベルにまでなっていた。
その方は何度も色んな「ミドリさん」を見つけては教えてくれたのだが、私の知っているミドリさんに辿り着くことはできなかった………

そんなこんなでアイドルも卒業し、YouTuberになった私にはインターネット上にたくさんの友達ができた。

「今なら、フォロワーの中にミドリさんの本を知っている人がいるのでは…?」
と何度も考えた。

でも「急に何?!?!?!」ってならんか?!
あとリスナーさんみんな親切だから絶対調べてくれるし、有難いけど本当に申し訳ないし、その上で見つからなかったら私だけでなく
多くの「ソウカ………」というがっかりが広がりそうでちょっと抵抗があった。

パソコン周りのことはすぐにポストで質問できるけど、十数年追いかけた女性のことを聞くのは自分の中での重みが違ったのである。

でも昔流行った本かもしれないし、月日が経つにつれてその本を覚えてる人は少なくなっているかもしれない。
あの本と出逢ってからは既に20年の時が過ぎてしまった。ミドリさんへの想いは強くなるのに私の中での記憶は薄れていく。

いやさすがにもう、フォロワーに聞こう。
この数万人の中に知ってる人がいなければ諦めよう。

まあでもその前に、一応もう一回ネットで検索するか…

『ミドリさん 児童書』

いつもと同じ検索画面。
スクロールして目に入るのは、何度も検索結果で見た児童書の表紙たち。そこに関連する本も全部見たなぁ。知らない本屋さんの「緑特集」のブログも覗いたり、何年こんなこと続けてるんy…

?!!?!?


待って何この画像

待って

これ、、、、、、

ミドリさんじゃね?!?!?!?!?!

この画像を見つけた時の興奮はもう二度と体験できないと思う

緑色だけが使われたイラスト。
ポップすぎないこの挿絵の感じ、この文の感じ……

関連画像まだある、えっもうこれやん!!!!

ついに見つけたぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!WWWWWWWWWWWWWWWWWWWWW


本のタイトル何?!?!

『雨ふりマウス』
文・竹下文子さん 絵・植田真さん(2000年発売)

アリス館

えーーーーー?!こんなタイトルやったっけ?!?!
マジで記憶にないしタイトルにミドリさん関係ないしそりゃ辿り着けんわ

あと作者の「竹下文子」さんを見てハッとしたのだが
私の本名も「竹下」なため、当時名前が「竹下」の方の本を読みまくっていたことを思い出した。(例:竹下龍之介さんの『天才エリちゃん』シリーズ)
ここにヒントがあったのか…!!

何故この本が急に検索に出てきたのか?
おそらくGoogleの技術が発達し、本文の「ミドリさん」を見抜いてサーチに引っ掛かるようになったのだと思う。現代の技術発展に感謝MAX……


古本屋にある『雨ふりマウス』をすぐ注文し、
ついに、十数年ぶりの再会を果たした…!

それがこちら。

うおおおおおおおおおおお・・・・・・・・

一番に思ったことは

「でかくね?」


えっ文庫本くらいのサイズじゃなかったっけ?

「迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について」と比べてみました


いや全然記憶と違うやん
お前が「なんかデカい本って子どもっぽいんだよね笑」って言ってきた本たちとサイズ変わらんやん
自分の記憶は今後一切アテにしないことにした。

本を持って手が震えるなんて経験は初めてやでェ………
そっと表紙をめくってみた。

マジで声が出た

ミドリさん!!!!!!!!!!!!!


想像してたミドリさんのまま!!!!!!


(ライフの広告とミドリさんの比較)

割と記憶通りでワロの助~~~~~

そんなわけで20年ぶりにミドリさんとの再会を果たしてかれこれ1ヶ月近く経つのだが、これを書いている現時点でまだ読むことができていない。


そんなわけで、覚悟を決めて今から読んでいこうと思う。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜~【実況】~~~~~~~~~~~~

※ちょっとだけネタバレを含むかもしれません

・やばい1ページ目のミドリさんとの出会いの時点でやばい最高すぎる、ミドリさんやっぱり緑の服着てたんか、、、

・ていうか児童書だから当たり前だけどひらがな多いな
これを大人向けだと思ってたその頃の自分可愛すぎる

・これ5月の話だったのか~~~今の季節にピッタリすぎる~~~~~もはやすべてを運命だと思ってしまうな ロマンス詐欺に気を付けよう 

・挿絵の全てに記憶がある~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


・主人公の名前「ミキトくん」っていうのか…ミキトくん頭いいな…
ミキトくんが賢いから読んでるうちに「大人向けの本」だと錯覚してしまったのか…?

・途中の挿絵の入れ方斬新すぎる……………!

・ミドリさんにからかわれたい人生すぎる

・ミドリさん、全然隣の家のお姉さんじゃなかった

・カーテンの描写も全然違った

・これ…確かに説教じみてないけど建築の大切な話や…!!!!

はあ~~~~~~~~~~~~~~~~読み終わりました

清々しい…………

別に悲しくも無い、特に感動的ないい話でもない、不思議体験って感じで
いや~~~~~~コレですわ……………


あの時、チェキ会の度に「このミドリさんじゃない?」と探してくれたきゃすさん(ファンの方)ついにあの本見つけましたよ~~~!!!(これ読んでないと思うけど、その方も多分同じくらい感動してくれると思う)

そんなわけで、同じ『ミドリさん』を探している人がこのnoteに辿り着けばいいなと思い書きました。

人生の中で「これだけはやらないと」と思っていたものが1つ整理され、今本当にスッキリとしています。

皆さんの探している何かが見つかりますように。チャオ

(シ)