ジャズ・コンポジション「トーナルハーモニー」
バークリー音楽大学の教授が執筆したジャズ・コンポジションを書くための理論書をコツコツ読み進めていきます。
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ジャズハーモニーの歴史
ジャズハーモニーはほとんどの場合、トーナルかモーダルの2種類に大別されます。Charles MingusやCecil Taylorなどが試みたアトーナル(無調)な手法はフリージャズと呼ばれますが一般的ではありません。
1950年代中頃までは、ほとんどのジャズ作品はトーナルなもので、そこにテンションを積み重ねたものでした。
1950年後半になると、George RusselやMiles Davisなどがモーダルな手法を取り入れ始めました。また4度や2度堆積のような新しい響きもこのころに探求されてきました。
メジャートーナルハーモニー
トーナルハーモニーにおいて、Ⅰコードはハーモニーの中心の役割を担い、Ⅰコードを中心にハーモニーが展開されます。プライマリードミナントレゾリューション(ⅤからⅠへの解決)、プライマリーサブドミナントレゾリューション(ⅣからⅠへの解決)が最も頻繁に使用されます。
トニック、サブドミナント、ドミナントのトニックコードは、それぞれ構成音の共通性が高い代理のコードが存在し、それらをエイリアスと呼びます。
トラディショナルなジャズハーモニーにおいては、ドミナント7thにリレイテッドⅡ-7コードを先行することがよくあります。いわゆるツーファイブですね。それぞれのダイアトニックコードをトニックとする、Ⅱ−Ⅴのコードは以下のようになります。
またこれらのドミナントコードには、同じトライトーンが含まれエイリアスとしての役割を持つ代理ドミナントコードが存在します。
例えば、C durにおけるドミナントG7の代理ドミナントはDb7になります。
シーファというトライトーンが共通していますね。
それぞれのダイアトニックコードをトニックとする、代理ドミナントによるⅡーⅤのコードは以下のようになります。
また、それぞれのダイアトニックコード間を半音変位させてつなげる、パッシングディミニッシュコードが存在します。
これらのコードはrootlessセカンダリードミナントとも解釈できる(C#dim7ならrootlessのA7b9)ので、半音上のコードへのドミナント的なプログレッションを形成します。
マイナートーナルハーモニー
マイナースケールもメジャーと同様に、Ⅱコードがサブドミナントのエイリアス、Ⅲコードがトニックのエイリアス、Ⅵのコードがサブドミナントのエイリアス、Ⅶのコードがドミナントのエイリアスとして機能します。
Ⅱ−Ⅴ進行も同様の規則で作成できますが、ハーモニックテンションとして♭9thが使用される点が異なります。またそれに伴ってⅡコードも♭5thの音が用いられます。
またナチュラルマイナーだけではなく、ハーモニックマイナー、メロディックマイナーでも同様にⅡ−Ⅴの進行を作成することができます。
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