ジャズ・コンポジション「モーダルハーモニー」
バークリー音楽大学の教授が執筆したジャズ・コンポジションを書くための理論書をコツコツ読み進めていきます。
出典はこちら
モーダルハーモニーとは?
1950年後半以降、多用されたメジャーやマイナーではない、モードを用いたハーモニーのことです。
モードは、メジャースケールの始点をずらしたものと捉えることができます。
各モードスケール上に、ダイアトニック7thを形成することができます。
例えばCドリアンスケールの場合、以下のようになり、マイナーと差を出しているのはラの音です。これをキャラクタリスティックノートと呼びます。
4度ヴォイシング
3度インターバルを堆積したヴォイシングはしばしば、メジャーやマイナーといったトーナルなサウンドと認識されてしまいます。
そのためモーダルなサウンドを維持するために4度ヴォイシングによって、クォータルトライアドを作ることが有効です。
Dドリアンのクォータルトライアドは以下のようになります。
また、4度ヴォイシングは転回形でも3度を生じさせないので、トーナルな響きを避けることができます。
モーダルなベースノート
モーダルな音楽を確立する最も重要な要素は、モードのトニックをベース音に用いるということです。
また、ベースノートにトニック以外の音を使用することにより、トニックでないことを強調し、トニックへ進行するプログレッションを作ることができます。
モーダルアプローチコード
モーダルな状況においては、半音によるクロマティックアプローチコードや、全音によるパラレルアプローチコードを効果的に使用することができます。
パラレルアプローチとクロマティックアプローチを組み合わせてダブルクロマティックアプローチを用いることも非常に効果的な手法です。
Dドリアンのトニックにアプローチする譜例は以下のようになります。
いくつかのパラレルアプローチコードは、アプローチ先のダイアトニックと共通の構成音を持ちます。
上記の例だと、1小節目のパラレルアプローチコードは、Dドリアンの2つめのコードですが、2小節目のパラレルアプローチコードは、Dドリアンには含まれていないコードです。
この前者のコードのことを、ダイアトニックアプローチコードと呼び、これを効果的に利用するとモード感をより一層強調することができます。
モーダルメロディ
モーダルなメロディはクロマティックやダイアトニックにでないアプローチノートが使用される時以外は、通常ダイアトニックが用いられます。
キャラクタリスティックノートが強調される傾向にあり、多くのモーダルメロディでは長い音価を持つ音と短い8付音符のグループとが交互に現れるケースが良く見られます。
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