ジャズ・コンポジション「フュージョン」

バークリー音楽大学の教授が執筆したジャズ・コンポジションを書くための理論書をコツコツ読み進めていきます。

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フュージョンの歴史

1970年代、ジャズを基調にロックやラテン音楽、電子音楽などを融合(フュージョン)させた音楽をフュージョンと呼びます。

The Beatlesが全盛であった1960年代頃には若いミュージシャンの間でロックとジャズの融合が顕著に見られるようになりました。Herbie Hancockが「Maiden Voyage」「The Prisoner」「Fat Albert Rotunda」などでイーブンノートやロックのバックビートを採用していたり、Freddie Hubbardが「Red Clay」でロック要素を多く取り入れていました。

1960年代後半になると、Miles DavisがJames BrownやSly and the Family Stoneといったグループを重視するファンクバンドに興味を示し始めます。
歴史的名盤と言われる「Bitches Brew」が誕生したのもこの辺りで、オスティナートとリズミック・グループに基づく即興音楽を提起しました。
エレクトリックな楽器も多く使用され、フュージョンを確立したアルバムだと言われています。

フュージョンが台頭してしばらくの間、ストレート・アヘッド(ストレートでアコースティック重視なジャズ)でトラディショナルなジャズの愛好家との対立が起こりました。
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フュージョンのメロディ

ファンク的な要素が強い場合を除き、メロディにブルーススケールが使われることはあまりありません。多くはメジャー、マイナー、モーダルスケールと、時々クロマティックなものが使われるくありです。
メロディックリズムについては、長い音価と短い音価が交互に続く傾向があります。

フュージョンのハーモニー

コンスタントストラクチャーなどの平行移動(パラレリズム)やモーダルハーモニー、クロマティックハーモニーが使われます。
明確なトーナリティやモーダリティーを表さないことも多く、多彩なコードプログレッションが作られます。
通常の3度ヴォイシングはあまり使用されず、4度や5度インターバルや、アッパーストラクチャートライアド、スラッシュコードが多用されます。

純粋なフュージョンでは一般的にトライトーンやドミナントコードを強調せず、オーグメント、ディミニッシュ、ハーフディミニッシュなどもあまり使用しません。それに対して、メジャー7thやマイナー7thは多用されます。
また伝統的なⅡ−Ⅴ、セカンダリードミナントなども避けられる傾向にあります。新しい響きを探求した結果ですね。

フュージョンのリズム

ほとんどのフュージョンチューンは2の倍数の拍子で、持続的にロック由来のバックビートが強調されます。
ラテンミュージシャンの影響も強く受けているので、ラテンパーカッションが使用されることも多くあります。

ウォーキングベースなどの伝統的なサウンドは原則排除され、ベースはドラムのリズムをシンコペートするように動きます。


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