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麻雀ミリオネア第3戦の感想文(千羽師匠視点)

・プロローグ

5月某日。
麻雀スリアロチャンネルのスタッフ、あらいさんからLINEの着信があった。
「Vtuberの千羽黒乃さんが挑戦している、麻雀ミリオネアという番組に出演してほしい」

千羽黒乃さん(画像は千羽さんのTwitterアイコンより)

「千羽黒乃」
Vtuberの知識はほぼゼロに等しい私でさえ、名前は聞いた事があるくらいだから、さぞかし有名なのだろう。
(さぞかしどころの騒ぎではない事を、その時の私はまだ知らない)

私ごときでもお役に立てるなら喜んで…、と言いたいところ。しかし、
「千羽さんが5月末の第3戦で負けた場合、しもでさんの出番は無くなります」
「出番があったとしても、負けたらギャラは無しですよ」
ですって。

スケジュールを調整させといて、仕事がバラシになってしまう可能性が50%近くあるうえに、ギャラが無くなる可能性が50%くらいある。仕事とみるなら割に合わない事この上無い。
しかし、Vtuberとこういう形で対局するのは初めて。金銭的期待値よりも好奇心による精神的満足度の方が上回ってしまった。
麻雀の期待値にはウルサイのに、人生においては期待値だけで動かない。これが麻雀打ちというものだ(多分違う)。

・システムと対戦相手

というわけで、敵情視察も込みで観てみようかな。

ちなみに動画はこちら。
動画のついでに私の拙文を眺めてもらえればコレ幸い。

ルールは、Mリーグルール。
システムは、半荘3回戦でトータル上位2名が勝利という、いわゆる「トーナメント戦」である。
ここで曲者なのが、トーナメント戦というシステム。競技団体に所属している選手でも戦い方に苦労するのに、ネット麻雀を主戦にしているプレイヤーにとっては、あまり馴染みの無いシステムなはず。
とはいえ、ここまで2回勝ち抜いているのだから、実力はあるんだろうね。
(千羽師匠がどれほどの実力や実績の持ち主なのかを、その時の私はまだ知らない)

さて、今回の対戦相手は…。

新井啓文プロ(画像はTwitterアイコンより)

みんな大好きけーぶん先生。
第38期最高位にして、現在もA1リーグで活躍中。
最近だと、Mリーグの新チーム「BEAST Japanext」のオーディションのファイナルに進出。
ここに来て、再び脂が乗ってきたプレイヤーだ。

大浜岳プロ(画像はTwitterアイコンより)

ここ数年は人狼プレイヤーのイメージの方が強いが、麻雀もなかなか侮れない。
第18期雀竜位を獲得した実力者でもあるのだ。

武則輝海プロ(画像はTwitterアイコンより)

現在はRMU所属だが、以前所属していた麻将連合で将王を2回獲得している。
麻雀プロ歴が30年以上の大ベテランにもかかわらず、Vtuberの世界にもチャレンジするなど、気持ちが若い。

対戦相手3人ともタイトルを獲得した事があるという、歴戦の強者揃い。
今回ばかりは、流石の千羽さんでも厳しいんじゃないかなぁ。


1回戦は仕事中でリアルタイムでは観られなかったので、スコアだけ載せておこう。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

大浜プロが圧勝。
しかし、千羽さんも悪くない位置。
実はアーカイブで1回戦も観たのだが、1回戦の感想はそのうちどこかで述べるとして、2回戦以降にリアルタイムで観ていた感想を書いていく事にする。
3回戦トーナメントは2回戦以降の戦い方を見るのが面白いのだ。
※2回戦と3回戦の感想文は、選手視点の動画を見ていない状態で、麻雀プロ団体LIVEチャンネルでリアルタイム視聴していた時のものです。悪しからず。

・お手並み拝見(2回戦)

起家から、武則→大浜→新井→千羽の順。
東2局、千羽さんの5巡目の手牌。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

一見、変化の多さとタンヤオの移行も見ながら9sを切る人も少なくないと思うが、ここは打5m。
好形への変化は少し落ちるが、トイツのドラを使い切りやすい。それともう一つの理由がコレ。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

ツモ7sや8sでイッツーが見える。いざとなればチーテンも取れる。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

その後、8sを捕らえてリーチ。
アガリにはならなかったものの、見事な手順。


南2局。
新井プロのリーチを受けて、一発消し&チーテン…にはなるが、

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

9pは一応ワンチャンスとはいえ、新井プロの捨て牌プラス宣言牌が8pであるなど、69pの待ちを否定できない。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル


というわけで、ここから1pのトイツ落とし。1pもスジとはいえション牌。安全とは言い切れないが、9pに比べれば危険度は天地の差。

その後、6pが通って9pがほぼ安全牌になったということで、大浜プロから4mポンして打9p。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル


イーシャンテンのままだが、テンパイチャンスが広がる。こういうのをしっかり反応出来るのは凄いなぁ。

結果は新井プロのツモアガリ。
しかし、千羽さんの最後までサボらない麻雀は見応え十分。

そうこうしているうちに、2回戦終了。
そして、ここまでのトータルスコアはこう。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

順位点が大きいMリーグルールとはいえ、これは千羽さんがかなり有利。
3番手の武則プロとは92.2pの差。
これは武則トップ・千羽ラスでさえ12.2pの差をつける必要がある。
武則プロがトップでも、千羽さんが3着だと32.2pもリードしないと追いつけない。
プロ勢としては苦しい展開だが、せめて千羽さんを少しは苦しめてほしいと願うばかり。果たして3回戦はどうなる?

・アガリと差込みの両天秤(3回戦)

東3局。
まだ東3局とはいえ、ラス目の千羽さん。
果敢に仕掛けて58pテンパイから掴んだドラの4m。これをツモ切り。
何事も無く通過が理想だが、次善としては大浜プロによるポンかロン。
千羽さんとしては武則プロとのトップラスもしくは武則プロの大トップは避けたいところなので、大浜プロがトップになる分には有利に戦えるからだ。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

しかし、ポンしたのはよりによって武則プロ。これはかなり悪い展開。
そして引いてきたのは3p。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

武則プロは4mポンから打7p。となるとアタマは5p・6p・8pあたりが濃厚。
そして、危険度がそこそこなスジは58m・36p・25s・36s。危険度が低いスジは36m・58s。
ただし、5pか6pがアタマだとしたら、36pはほぼ通る。ギリギリ勝負しても見合うと判断してツモ切った3pに、敢えなく武則プロからロンの声がかかる。
この12000直撃で「武則トップ・千羽ラス」。
トータルポイントでは、武則プロ32.0、千羽さん2.0と、逆転どころか30000点もの差がついた。
本来であればかなり絶望に近いように見えるが、トーナメント戦という特殊な戦いにおいては再逆転の材料が2つある。

武則プロはトップじゃないとキツい
先述の通り、武則プロがトップなら「千羽さんがラスで12200点以上のリード」という条件。
これが千羽さんが3着に浮上すると「32200点以上のリード」が必要になる。
さらに武則プロが2着になってしまった場合だと「千羽さんがラスで52200点以上のリード」が必要。
という事は、武則プロの勝利のシナリオは「ほぼ自分がトップである事」が前提のなるのである。

新井プロはスーパー大トップが必要
ここまでトータル最下位の新井プロの条件は、
「自分トップ千羽さんラスでなおかつ75000点以上の差をつけて、さらに武則プロよりトータルを上回る」
という、絶望オブ絶望な条件。
新井プロの南場の親が流れてしまったら、新井プロは普通のアガリに向かう進行が出来なくなるような条件になる可能性が相当高い。
現時点では千羽さんは大きいラス目ではあるが、大振りをせざるを得ない新井プロを逆転して3着に浮上するというのは十分可能性はある。

とはいえ、このような事を意識しながら戦うのは、並大抵の難易度ではないのだ。
ここから先、千羽さんがどのようにクリアしようとするのかが見ものとなる。


南1局、親の大浜プロからの3巡目リーチを受けて、一発目。
ここからの千羽さんは何を切ったか?

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

普通ならば、唯一の現物の4s、次が続かないから9mのどちらかである。それならばわざわざ記事にしない。
千羽さんの一打は…、なんと6m

これには観ていた私も思わず、
「うおおっ、マジか!」
って声をあげて驚きましたよ。

しかし、改めて考え直すと、この状況に限ればかなり有効かも。
千羽さんの立場としては、武則プロより大浜プロにトップを取ってもらう方が助かる。
理由は先程述べた通り、武則プロはトップじゃなくなると、少なくとも52200点差以上リードしないといけなくなる。
という事は、6mが一発放銃で満貫クラスであれば、一番困るのは武則プロなのである。

しかし6mは通ってしまった。
かといって、その後の進行を見ると、メンツを崩してまでの差込みには向かっていない。
大浜プロへの放銃でもOKだが、通りまくって自分の手牌が整ってきたら、自分のアガリで3着浮上の足掛かりを作るという、まさにアガリと差込みの両天秤
こんな言葉、使った事も無いし、聞いた事も無いわ。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

その後も8m、2mを切りつつ、自分はしっかりイーシャンテン。
結局、大浜プロのツモアガリ。しかしコレもコレで実はさほど悪くない展開なのである。
いずれにせよ、この1局が千羽さんに対する見方を、
「なかなかやるなぁ」
から、
この人、スゲェ…
と、良い意味でグンと変えてしまった。


南3局。
武則プロと大浜プロの仕掛け合戦。
ここでも千羽さんはしっかりと、「武則プロに安全かつ大浜プロにアシスト出来る可能性がある牌」を選び続ける。
これも、トーナメント戦に慣れていないとなかなか出来ない芸当。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル
©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル
©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

結果は大浜プロが武則プロから2000点のアガリ。これはますます良い展開。

そしてオーラス。
千羽さんは流局すればノーテン親流れで勝ち。
一方、武則プロは5200ロンアガリか1000・2000ツモアガリの条件。
千羽さんとしては、新井プロを逆転して3着を目指すか、武則プロからのロンアガリで武則プロの条件を厳しくしておく、というような進行になりそうだ。
4巡目、千羽さんがここから対面の新井プロから4pポン。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

ピンズのチンイツ、かつ上家の武則プロのツモ番を飛ばし、しかも好き勝手打たせない、という三段構え。
その後も千羽さんが縦横無尽に動き回る。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル
©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

この仕掛けに、百戦錬磨の武則プロが混乱しているように見えた。
その後、武則プロは狙っていたはずのイーペーコーも出来ず、ドラも生かせず。
結局終盤に、一発ツモかツモって裏ドラ期待という、苦し紛れのリーチ。
一応、リーチの時点では8pがまだ1枚残っている。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

千羽さんはここでようやくテンパイ。
といっても、14pはどこにも残っていない。
危なかったのは次。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

25p待ちの方がアガれる可能性が…とかスケベ心を出すと、武則プロにロンされる(ただし裏裏以上)のだが、さすがに千羽さんクラスは間違えず、2pツモ切り。
そして最後も2pを切って、ノーテン流局で終了。

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

そして結果はこう。

大暴れの大浜プロをよそに、千羽さんは武則プロとの接戦を制してトータル2位。

いやぁ、末恐ろしい…。
観終わった後の、千羽師匠に対する感想である。
こんなにトーナメント戦の戦いを熟知しているとは…、これは甘く見ていた。
その後、千羽師匠視点の動画を見るのだが、千羽師匠の麻雀の内容はもちろん、麻雀配信者としてのスキルの高さ(咄嗟に出る説得力抜群の語彙力、言葉のチョイスなど)には、驚きを隠せなかった。
私の感想と答え合わせをしてみて、
「しもでとかいうオッさん、なに見当違いな事書いてんねん」
とか言われそうだけど。

そして次の日、仕事が終わってから書店に向かい、「千羽黒乃の強くなる麻雀」を購入。
こちらは雀傑や雀豪(どちらも雀魂の段位)あたりの人に特におすすめしたい一冊。

気がつけば、まるで千羽師匠のファンみたいになっているではないか。おかしいなぁ。

・次回予告!



というわけで。
次は私の出番なのだが。

ちなみに第3戦の放送当日の時点では、実は対戦相手を聞いていないのである。
私と千羽師匠と対戦する残り2人は…。

雀王・浅井堂岐と、最高位・竹内元太…だとぉ?

©️麻雀プロ団体LIVEチャンネル

なんなんだ。
これは何かの決勝戦なのか。
その後のコメントとかTwitterとか見てみると、案の定「浅井たかき」「竹内元太」「雀王」「最高位」「Japanextオーディション頑張って〜」などの言葉ばかりが並んでいるではないか。
しかし、実はG1タイトルの獲得回数は彼らより私の方が多いのだ。知らない人が多いと思うけど。
たまに言わないと、この事実を知られないので、仕方なく言うのだ。自分で言うのは凄く恥ずかしいのは百も承知。

こんな、何かの決勝戦みたいな麻雀ミリオネア第4戦は、6/14(水)18時から、麻雀プロ団体LIVEチャンネルにて生放送!

みんなで千羽師匠とか雀王とか最高位とかワーワー言ってるところでコッソリ勝って、千羽師匠や浅井プロや元太プロのファンに悲鳴をあげさせよう。お楽しみに♪( ̄▽ ̄)

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