脳内でのストーカー行為は犯罪になりませんか
■ゴミ袋を漁れば生活の全てがわかる
私がエンドユーザーの声を聞きたいとき、まずクライアントさんに質問をします。
どんな方が商品を買っていますか?
その方が商品を購入した決め手はなんでしたか?
それらの情報は確かにとても有益ですが、これらは全て「結果」に過ぎません。
そもそもなんで商品に興味をもったの?
日常の中のどのタイミングで商品と出会ったの?
他に使っている商品は?
どんなことに興味があって、何をして毎日を過ごしているの?
エンドユーザーについて知るとき、本当はもっとその人自身について切り込んでいく必要があるように思います。
相手の1日の行動パターンを把握するくらい徹底的に。
元ストーカーの人が、「ゴミ袋は宝の山」「ゴミ袋を漁れば生活の全てがわかる」と言っている投稿を目にしたことがありますが、確かにそのレベルでわかれば(もちろんストーカーはしないけれども)、その人が欲しいものを欲しいタイミング用意することもできるよなぁと思うわけです。
■とりあえずクレヨンしんちゃんのリュックはやめた
商品を買ったという結果に基づく話ではなく、その背景を知らないといけない。
どうしてそう思ったのか、まずはその背景を書きますね。
私先日、初めて合コンに行ってきたんですよ。
もうなんか、「あ、合コンってドラマの中だけの話じゃないんだ」と思うくらいには混乱してたので、
え、店って私が決めた方がいい?普段マックしか行ってないけどどうする?
これいつ開催なの?平日??休日???夜がいいのか?夜って何時からですか!!!
一応おしゃれした方がいいの??
いつも背負ってるクレヨンしんちゃんのリュックはやめた方がいい???
顔は??顔はどうしたらいいのもうどうしようもないな顔は!!
と、混乱が混乱を呼び、混乱していました(混乱)。
ちなみに、混乱したという話をしたかっただけなので、この件は本筋と関係ないですし、合コンが終わった今でも、結局何が正解だったのかはわかっていません。
■ぶつ切り以外の調理方法を知らない
会が始まって数分、自己紹介の時間がやってきます。
自己紹介といえば名前と職業言ってよろしくお願いしますが全てだと思ってましたが、
一緒に趣味やら昔の話やらも発表する流れになっていました。
これはもはや自己紹介というより会話です。
相手が言ったことに対して「なんで??」と質問をし、その話題にさらに別の人も乗っかってくる。
例えば「これがおすすめです」と言われたとき、
まっさきに「なんで?」が出てきます。
なんでおすすめなの?
それを知ったきっかけは?
会話の中ではなんの疑問も持たずに出てくるこれらの質問、エンドユーザーに聞けたことないな、とふと気づきました。
エンドユーザーという人物を構成する要素はいくつもあります。大量にあります。
でも、結果だけを受け取っている今の状況では、せっかくの情報も、ただの点と点、ぶつ切りの状態で頭の中にあるように思います。
そしてこのぶつ切り情報のままだと、どの情報が商品購入と結びついているのかわからず、永遠にペルソナは定まりません。
■1話にだけでてきたモブキャラくらいの情報量
先日とある商品に対して、「改めてペルソナを考えてみよう」と思い、
クライアントさんに改めて購入者情報を聞いたり、周りの人に質問したり、Webで調べたりしていました。
そして辿り着いた答えが、
「いろんなペルソナがいる」
でした。
もちろん、その中から1人に決めることはできます。
でも根拠が薄い。
確かにこの人だったら商品を買ってくれるだろうけど、そもそもこの人は現実世界にいるのか?
いたとしても本当に私が想定する日常を送っているのか?
あらゆる事実をもとに作ったくせに、私にはこのペルソナの顔が見えませんでした。
ゴミ袋を漁るどころか、いつどこにゴミを捨てているのかがわからなかったのです。
■仲裁役と見せかけて、さらに関係こじらせる友人A
「プロダクトアウトではなくマーケットインで...」
よく聞く言葉ですが、
それにしては、私はあまりにも「プロダクト側」の情報ばかり集めてしまっているように思います。
得る情報がプロダクト側からのものに偏れば偏るほど、マーケットは見えなくなってしまいます。
さらに危険なのは、クライアントさんから「マーケットの情報」を共有してもらうことで、エンドユーザーについて知った気になってしまうことです。
これ、カップルがケンカしたとき、彼女側から聞いた情報のみを鵜呑みにして彼氏を責め立てる友人のようですね。
この友人は友達思いのいい奴ですが、なかなかの確率で2人の関係をこじらせるきっかけになります。
せっかく第三者という立場を得たのですから、彼女の話を30分聞いた後、彼氏の話も30分聞くべきです。
■恋は盲目、もうあなたしか見えない
「クライアントさんやその商品についてより深く知る」というのは、大切なことです。
しかし、知れば知るほど、フィルターがかかってしまうことも理解しておかねばなりません。
そしてこのフィルター、防げる手段があるなら防ぐべきです。
問題は、「片方の意見しか聞いていない」ことにあるわけですから、
「同じだけもう片方の意見も聞く」
ことができれば、解決します。
クライアントさんと1時間打ち合わせをするのではなく、
30分エンドユーザーと話して、残りの30分でクライアントさんと打ち合わせをする。
恋は盲目が如く、クライアントさんに盲目になっていては、どんどんエンドユーザーとの心の距離が離れていき、どんどんどんどん商品は売れなくなっていきます。
■画力は放っておいてほしい
クライアントさんを通してや、Twitterを使って、エンドユーザーと直接話す機会をつくる。
(具体的な方法は先週書いたので割愛します)
商品にまつわる質問だけでなく、その人たちの興味関心、日常について深く聞いていく。
それらの情報の中にある「共通項」こそが、ペルソナを決める決定打になるはずです。
イメージはこんな感じ。
今、私をはじめとした現場では、なかなかに分厚いフィルターをかけて業務に当たっているように思います。
そのためまずは私が、フィルターを外し、中立の立場で広告を出せるよう、エンドユーザーと話せる機会をつくってみます。