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パンケーキを食べる私の脳内は、漬物でいっぱいだった

■いつ食べるか、・・・今です?

毎週1つ、新しいことにチャレンジする。

もしもこの決まりを自分に課さなかったら、一生やらなかったであろうことがいくつもあります。

ネイル、まつエク、ピアス。

1人でメイドカフェに行って、オムライスに美味しくなる魔法をかける...

他に何かあるだろうか?

そう考える私の脳内に浮かんだのが、

パンケーキでした。

パンケーキ。

甘いものは好きだし、特にパンケーキを嫌う理由はありません。

しかしパンケーキ専門店に足を踏み入れようと思ったことはないのです。

なぜならパンケーキというやつは、

1日のうち、どのタイミングで食べたくなるのかが分からないから、です。

朝ごはん?朝ごはんにしては甘すぎるし量多いよね?

昼ごはん?昼ごはんにしては甘すぎるし甘すぎるよね?

3時のおやつ?おやつにしては量多すぎるよね?

夜ごはん?論外。

パンケーキって、食事においてどのポジショニングをとってるんです??

ちなみに、「パンケーキ いつ食べる」で検索をかけると、同じ悩みを持った人の声がちらほら。

10年前に同じ疑問を持っていた人もいる。

回答見る限り、ちょっと遅めの朝ごはんとか、3時のおやつとか、が多いようです。

なるほど...よくわからん...


■甘さが渋滞起こしてる

結局お昼のタイミングでパンケーキ専門店を訪れた私は、メニュー表を見ながら、とてつもなく悩んでいました。

「お食事パンケーキ」と書かれた、オムレツとサラダと甘くないパンケーキのセットがあるではありませんか。

ここには甘さなど存在しない。

これがいい...これが食べたい...

でもこれを選んだら今回の目的が達成されない...ただの食事になる...

水を飲み干すほど悩んだ挙句、私は結局、甘いパンケーキを注文しました。

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うん、間違いない。

間違いないよ。

めちゃめちゃおいしい。

パンケーキって美味しいんだなぁって心から思ったよ。

でも私は今無性に漬物が食べたい。

メープルシロップじゃなくて、漬物液が恋しい。

自分で漬けたことないから漬物液だけ渡されても困るけど、でも今漬物のことしか考えられない。


■パンケーキは私を求めていない

パンケーキを一口食べた時に思ったことは、

「あぁ、私はこの店のターゲットではないな」

ということです。

店内にはいろんな人がいました。

カップル、女性二人組、親子、女性一人、男性一人。

年代もバラバラで、おそらく20〜40代。

こんなにいろんな人がいるのに、あの空間の中で、唯一私だけが、あの店のターゲットから外れていました

毎週いろいろな体験をしてきましたが、このように思ったのは初めてです。

パンケーキ専門店の想定するターゲットに、

「20代後半女性」

が入っていないとは考えにくいです。

しかし私はターゲットではない。

年齢も性別も、ターゲットを決める上では大切な要素ですが、一番大切なのはここではありません。

なぜなら、年齢も性別も、ニーズの起点にはならないから。

経済を動かすのは人ですが、その人を動かすのは感情です。

26歳の女性だからパンケーキを食べに行きたくなるわけではありません。

日曜日の午後に、甘いものを目一杯頬張ることに幸せを感じる嗜好性だからパンケーキを食べに行くのです。

それはそう。

そうなんだけど、問題はここからです。

「日曜日の午後に、甘いものを目一杯頬張ることに幸せを感じる嗜好性」の人って、他に何が好きで、何をしたらお店に来てくれるんでしょう?

現時点だと、「少なくとも私はターゲットではない」くらいしか断言できるものがありません。


■パンケーキからのお題です

前回・前々回と、「エンドユーザーの生の声を聞いてサービス改善に活かすのは必須。そしてこれ自体を、代理店が提供するサービスの一つにしてしまうのはどうだろう?」という話をしてきました。

私がパンケーキから投げかけられた、

「日曜日の午後に、甘いものを目一杯頬張ることに幸せを感じる嗜好性」の人って、他に何が好きで、何をしたらお店に来てくれるんでしょう?

という疑問の答えを持っているのは、エンドユーザー本人しかいません。

エンドユーザーの声こそすべて。

それでは具体的に、この声をどのようにして集め、サービス改善や訴求に活かせばいいのでしょうか?


■5ステップで改善

実際に改善させていくためには、全部で5つの工程があります。

①ターゲットの確認

まずは、今想定しているターゲットや、実際に購入してくれているのはこういう層だろう、といった、ターゲット像を洗い出します。

この時点ではエンドユーザーの実際の声を聞いてはいないので、でてきたものは主観に基づいた意見となります。


②エンドユーザーへのアンケート

次に、実際に今商品を使用しているユーザーへのアンケートを実施します。

ここでのアンケートの目的は、「エンドユーザーの生の声を集める」ことではありません。

あくまで、①で想定していたターゲットと、実際のエンドユーザーに大きなズレがないかを確認するためのものです。

例えば美容液を売っている場合、①で「シワを気にする40代女性」を想定していたとします。

このときアンケートで、「この商品に対して、お肌のどのような悩みの解決を期待していますか?」という設問をのせ、シワと答えるユーザーが本当に一番多いのか、といったことを調査します。

設問は、代理店とクライアントさんで相談して決めて、最終的には代理店側が完成させます。


③ついに生の声を聞く

ここにきてついに、個別(もしくは座談会式)で実際の声を聞いていきます。

最初の対象は、すでに商品を使用しているユーザー

アンケートの設問の中に、「直接話を聞いてもよいか」というものを設け、許可してくれた人に話を聞きます。

可能であれば顔が見えた方が良いので、電話ではなくZOOMなどのツールを使用します。

このインタビューに参加するのは、代理店・エンドユーザーの二者です。

エンドユーザーにとって、「作っている人の顔が見える」というのは安心と愛着につながるので、代理店だけではなくクライアントさんが参加するのは、一見すると確かにメリットです。

しかしこのインタビューでは、「商品に対する不満」も聞き出して改善に役立てたいという狙いもあります。

良くないことは、本人には言いづらい。

だからこそ、第三者である代理店がインタビューをするのです。

ちなみに、①と②の間にズレがあってもなくても、③は実施します。

しかし、質問する内容は変わってきます。

ズレがある場合、「想定していたのはこれなのですが、」とこちら側が想定していた内容をエンドユーザーに伝え、何がズレの原因になっているのか?も明らかにしていく必要があります。


④商品を使ったことのない人の声も聞く

売上を伸ばすには、新規顧客の獲得が必須。

まだ商品を使ったことのない人へもアプローチしなければなりません。

そこで、まだ商品を使ったことのない人へのインタビューも実施します。

ここで登場するのがTwitterです。

①〜③で集めたデータと、Twitterのプロフィールや投稿内容を参考にして、「ターゲットになりうる人」を探し出します

見つけたらDM。

個別でのZOOMインタビューを打診します。

今どんな商品を使っているのか、

困っていることは何か、

好きなものや嫌いなものは何か。

Twitterのプロフィールや投稿という事前情報もあるので、例え初対面であったとしても、相手の趣味嗜好に関しての質問はしやすいかと思います。

このインタビューに関しては、クライアントさんの参加不参加は自由です。


④データ分析と改善提案

ここまでで集まったローデータたちを、分析していきます。

もともと想定していたターゲットとのズレは何か?

エンドユーザーのもつ悩みは何か?

エンドユーザーの趣味嗜好は何か?

分析結果に基づいて、ペルソナの再設定を行い、商品の改良や新たな訴求軸でのプロモーション展開を実施します。


⑤もう一度声を集める

エンドユーザーの生の声によって改善したものを世に出したら、もう一度①〜④を実施しましょう。

というか、こうした調査と改善は、一度やったら終わりというものではなく、市場は変化するものという前提のもと、半永久的に繰り返す必要があります。

こうした変化の連続によって、「ずっと愛される商品」を作り上げていくのです。


■代理店は恋のキューピット

代理店は、主役ではありません。

どれだけクライアントさんを愛し、その商品を愛していたとしても、主役にはなれません。

だからこそ狙いにいくのは、主演女優賞ではなく助演女優賞です。

クライアントさんとエンドユーザーという、くっつきそうでくっつかないW主演2名をハッピーエンドに導くべく、

時には良き相談役の友人に、

時にはお節介な喫茶店のマスターに、

時には「あいつなんだかんだいいヤツだな」と言われるタイプの当て馬になりながら、

両者にとってのベストな助演女優でありたい

本当に必要な情報や本音というのは、

たいがい本人ではなく第三者が先に耳にするものです。

その役割を代理店が果たせれば、最高のハッピーエンドを演出できるのではないか?

そんなふうに考えながら、塩っけを求めて店を出るのでした。