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吾輩もエンドユーザーである

■はじめてのインタビュー

「猫の飼育・給餌に関するインタビューをさせていただけないでしょうか...?」

曰く、猫向けの商品に開発のために、猫の飼い主にインタビューをしているとのこと。

Twitter経由でメッセージをもらった私は、メッセージを確認した直後に、承諾しました。

いわゆる社員インタビューを受けたことはありますが、商品開発のため、商品のターゲットとしてインタビューを受けるのはこれがはじめてです。

直近で、「エンドユーザーの調査も、代理店が請け負えるプランがあれば...」と考えていた私にとって、逆に立場でインタビューされるという経験は、むしろ待ち望んでいたことでもあるように思いました。


■インタビューしか勝たん

時間になり、ZOOMにてインタビュー開始です。

猫を飼ったきっかけ、

普段どんな餌をどのくらいあげているのか、

日頃困っていることはないか。

1時間ほどのインタビューを受けてみて、

最終的に私が思ったことは、

「エンドユーザーの声を聞く場合、アンケートもいいけど、インタビューは必須だな」です。


■猫砂事件

私が猫を飼っていて困っていることのダントツ1位は、

布団におしっこをすることです。

我が家の猫が布団でおしっこをするようになったきっかけは、猫砂を変えたことが原因です。

当時、初めて猫を飼った私は、ベストな猫砂を見つけることに必死でした。

もっとよく固まって、

消臭効果もあって、

多くの飼い主がおすすめするもの...

とにかく、「私にとって」のベスト猫砂を見つけたかったのです。

そして毎回違うものを買っては試し買っては試し...

猫砂を変えるという環境の変化が、猫にストレスを与える行為だとも気づかず、買っては試し買っては試し...

そして4種類目の猫砂で、ついに猫の苛立ちがピークを迎えます

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「お前の寝床、今日から私の便所だから」

という顔で、私の布団におしっこをした猫。

そこから先、猫砂を戻そうが、布団を一式買い換えておしっこの匂いを消そうが、私の寝床はいつまで経っても猫のトイレ...

という話を今回もしたのですが、例えばアンケートで「困っていることはなんですか?」という質問があったら、同じように「布団におしっこすること」と回答するでしょう。

しかし、「なぜ猫が布団でおしっこをするようになったのか?」は、アンケートからはわかりまでん。

私のように猫砂を変えたことが原因のパターンもあれば、

そもそも最初のトイレトレーニングがうまくいかなかったパターンも考えられます。

原因には、個人差があるのですが、この個人差こそ、知るべき重要なポイントです。

エンドユーザーやターゲットとなる人の情報を集める手段としてアンケートは確かに優秀ですし、お互いの工数も少なくて済みます。

しかし、アンケートの結果を見て、そこから推測していく必要があります。

生の声に一歩近付いたけれど、これでは生の声を聞いたとは言えません。

エンドユーザーやターゲットとなる人と対峙して、その場で質問を深掘りする。

ここまで来てはじめて、生の声になります。


■Twitterの力を信じたい

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ここまでを踏まえて、「代理店がエンドユーザーの声を聞く」というプランを形にします。

①第一段階:オンラインオフ会の開催

代理店・クライアント・複数のエンドユーザーにて、商品や、エンドユーザーの抱えている悩みなどについてざっくばらんに話し合うオフ会のようなものを、オンライン上で開催します。

参加するエンドユーザーに関して、

実際に商品を購入してくれた人に対しては、DMを送るなどして参加を募ることもできますが、

主にはTwitter上で参加者を探し、声をかけます

ハッシュタグで検索したり、プロフィールや名前を見たりして、何人かに声をかけていきます。

日程の調整ができたら、ZOOMを発行して当日を迎えます。

そして、今回私が受けたようなインタビューを行い、エンドユーザーからの声を集めます。

②第二段階:ペルソナの選定と深掘り

オフ会からも十分データは集まりますが、まだまだ深ぼることができるはずです。

そこで第二段階では、「ペルソナを絞り、追加インタビュー」を行います。

オフ会に参加してくれた人の中から、

「この人に買って欲しい」と思えるような、ペルソナになる人を2〜3人選びます

そしてこの選ばれた方には、個別で追加のインタビューを行なったり、それこそ実際に使ってみてのレビューを聞いたりしていきます。

これを行うことで、エンドユーザーについてよりはっきりと知ることができますし、

エンドユーザーの顔を思い浮かべながら広告を作ったりできるという利点もあります。

「この商品を買う人って、どんな訴求なら響くのかなー」

ではなく、

「〇〇さんだったら、今何を言ったら喜んでくれるかなー」

と、かなり具体的に考えることができるようになるのです。


■顔の見える広告

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生産者の顔が見える野菜

というものが、数年前から増えています。

スーパーに並んでいる野菜は、基本的に誰が作ったものかが明確ではないですが、

そこに生産者の顔写真や名前を載せることで、消費者を安心させる効果があり、購入につながるというものです。

また、「結局、身近な人がおすすめしてくれたものを買っちゃう」という声もよく聞きます。

いつもコミュニケーションをとっている人の意見が一番信じられるということを表していますね。

エンドユーザーの意見を直接聞くことは、もちろん商品の改良のためにも重要ですが、

お互いの顔や声を知っている

お互いの顔を思い出すことができる

相互にコミュニケーションを取れている

といった、「人と人の関わりから生まれる購買意欲」にも大きく影響を与えるものだと思います。

作り手と買い手、そしてそのふたつをつなぐ代理店の連携が進めば進むほど、

「かけがえのない商品」が生まれると感じたインタビュー体験でした。