現役探偵に、浮気調査ではなく推しのイメージカクテルを依頼する
■早急にサイトの修正を提案したい
池袋にある探偵バー。
ここは、本物の探偵が働いているバーで、浮気調査の報告書を見れたり、指紋調査キットの体験ができたり...
と、サイトには書いてあったので「探偵体験」をしに池袋に行こうと思っていました。
思っていたんですけれども、実態は全然違ったんです...
■わしはサイゼリヤに来たんか?
席に着いたらまずはマスターからのメニュー紹介。
メニュー紹介って、おすすめのメニューを言うくらいかなと思っていた。
思っていたんですけど、
5分ほどかけて本当にほぼ全部のメニュー紹介をされたわけです。
でもこれ、「長いなー」とは感じず、なんなら「メニュー紹介」というより、
営業だった。
あれは営業だった。
だって、頼まないと思っていたワニ肉を頼んでいたし、1杯だけ飲んだら帰ろうと思っていたのに気づいたら飲み放題を頼んでいた。
とんでもない営業トーク...
そしてもう一つ気になったのが、「食べ物メニューの多さ」。
ここはあくまでバーなので、オープン当初はお酒とおつまみしかなかったそう。
それが今では、
ラーメン、つけ麺、油麺、オムライス、パスタ...
ここファミレス?
なぜこんなにメニューしたのかというと、「お客さんが食べたいと言ったから」だそうです。
お客さんが食べたいから作る
→他の人も匂いにつられて食べたいって言い出す
→最終的にメニューになる
という流れで、メニューの量が膨れ上がったと。
■推しが幸せなら私は黙ってATMとして生きる
「オタクの街」と聞くとどこを思い浮かべるでしょうか?
秋葉原でしょうか。
秋葉原は確かにオタクの街です。
しかし、池袋も間違いなくオタクの街です。
何より「女子オタク」が多い。
そしてこの探偵バー、なんとこのニーズに適応しているのです。
このバーに来るお客さんの9割は女性。
そして8割はオタク。
このニーズを的確に捉えたのか、とにかくマスターがアニメに詳しい。
詳しいだけじゃなくて、ここではアニメのキャラクターの「イメージカクテル」まで作ってくれるというのです。
ん?今日私アニメバーに来たんか?
もはや本来の目的を完全に忘れ、
人生初のイメージカクテルを頼む私。
「すみません、コードギアスのルルーシュとスザクのイメージカクテルをください。今日ルルーシュの誕生日なので(満面の笑み)」
そして出てきたのがこちら。
あ
あああ
ああルルーシュ...
色合いが完全に各キャラの色合いなのですが、使用しているカクテルの「カクテル言葉」まで各キャラをイメージしたものになっているという徹底のしよう。
そしてマドラーも、分かる人には分かるそのキャラを彷彿とさせるデザイン。
このマドラー、市販のものがない場合は「自分で作る」そうです。
なんという徹底ぶり...
「ルルーシュおめでとう」と言いながら酒を飲む自分は最高に気持ち悪かったけど、値段も聞かずにイメージカクテル頼むくらいには興奮してました。
■まぁ、私は浮気されるリスク0なんですけどね!!(吐血)
探偵っぽさはどこに行ったの??
今のところ探偵らしさないけど大丈夫?
探偵ならではのコンテンツもありました。
それが、「男女の違い講座」。
探偵業というと、その多くが浮気調査になるらしく、その長年の経験から、「恋愛における男女の違い」に着いての知見がかなり溜まっているとのこと。
ということで、楽しくお酒を飲んでいる最中、マスターがいきなり
「じゃあ僕喋っちゃおうかな!」
と全員の視線を集めます。
ここからはクイズ形式で
男性が許せない「浮気」と、女性が許せない「浮気」の違い
喧嘩したときに男性が女性に勝てない理由
相手の好みを知るための魔法の質問
などなど、恋愛にまつわる小噺が展開されます。
前述した通りマスターは「営業トーク」が非常に得意なわけで、この話も、「私はこの話を聞くためにお金払ったのかな??」と思うレベルで面白かったし非常に勉強になりました。。
浮気に話が特に面白かったんですけど、浮気してくれる相手すらいないので泣きたいです。
■えげつのない最適化
どうしてバーをやろうと思ったんですか?
とマスターに聞いたら、
「探偵って怪しいでしょ?親しみやすさを持ってもらおうと思ってはじめたの」
とのこと。
てことは、このバーのお客さんが本業の依頼をしてくれるケースも多いのか?と思ったら、
「月に1件あるくらいでほぼない」
とのこと。
探偵業とバーはほぼ別物扱い。
本業に繋がるかもしれないということも頭にはあったと思うんですが、それ以上に「ニーズに合わせて変化すること」を全力で行ってきたのが、この探偵バーの形であることは明らかです。
池袋という土地柄、女性顧客の趣味嗜好、あらゆることを考慮して今の形に変化し、多くのリピーターを生んでいる。
今回、「アニメの話」を通じてカウンター席にて新たな友達ができた2人も目にしましたが、こうして常連同士が繋がっていき、「探偵バー」きっかけの交流やコミュニティが増えていく。
そして常連はまた新しい友達を連れてきてファンが増えていく。
彼女たちは今後、探偵に依頼するようなことがあれば間違いなくマスターに相談するでしょうし、そんな悩みとは生涯無縁でも、このバーに来続けるでしょう。
本業のためにはじめたバーが、それとは別の価値を生み出し、そして時々本業にも貢献する。
最悪片方が潰れてもやっていけるのではないかと思えるような手法でした。
■市場を見つつ、我が道を行く
代理店もコンサルタントも、少なからず怪しさはありますよね、きっと。
BtoBである以上、「バーをやりましょう!」というのは効果的ではないと思うのですが、本業以外で信頼感を得ることはできます。
現状だとセミナーやインハウス支援などがこれに該当しますが、探偵バーを見る限り、もっとトンチキな、尖った個性も押し出していっていいのかもしれないと思いました。
会社全体の方針としてというよりは、コンサルタントごとに、
この人は異常なPPCオタク、
この人はとにかく新しいもの好き、
みたいなコンセプトを決めて、そのキャラでSNSを更新するとか。
そしてそれぞれの個性に対しての反応を見て市場のニーズを確認し、当たりそうなキャラやコンテンツで記事を書いたりYouTubeアップしたりするとか。
あとは、今回の恋愛小噺のように、「突き詰めた先に見つけたもの」はそれそのものが価値だとも感じたので、やっぱり研究してその結果を社内と社外に発信する動きは突き詰めようと気持ちを新たにしました。