リスティング広告に骨を埋める
書籍『リスティング広告プロの思考回路』
著者:佐藤康夫・杉原剛・有園雄一・岡田吉弘・高崎青史・来田貴弘・西原元一
■リスティング広告でもう一度戦う
今回は体験レポートではなく、読書レポートを書きます。
今回選んだ本は『リスティング広告プロの思考回路』で、リスティング広告について書かれている本です。
リスティング広告に関わって4年が経ちますが、まだまだ攻略できているとは言えず、さらに新しい機能も続々と出てきています。
そして私がリスティング広告と出会った4年前、もっと言うとそれ以前と比べると
「リスティング広告だけで売上を上げるのは難しい」
「CPCも高くなって、これじゃ戦えない」
「リスティング広告をやめてしまって、他の広告に切り替えた方がいいんじゃないか?」
というネガティブな声を聞くことも多くなってきているかと思います。
確かに、これまでと同じ戦い方では即負けてしまうのは事実です。
しかし、「もうダメだ」と諦めるほど、やり尽くしたのかと聞かれると、やっていないことだらけです。
そこで今回は、リスティング広告再起のためにやっていくことを、一つの決意としてまとめます。
■プロってなにをする人?
読書レポートというと私はこれまで、各章を要約する形でまとめて、最後に自分の考えを書く形式を取っていたのですが、今回はその形式では進めません。
本書は、個別の事例に触れて考え方や技術面のノウハウを記載している本なので、そこは割愛し、リスティング広告全体に対しての考えを、自分の意見も混ぜながらまとめます。
まず本書の冒頭で書かれているのが、
リスティング広告のプロってどんな人?
ということ。
プロってどんななにを大事にして運用しているの?という疑問。
クリック率、広告スコア、コンバージョン、LPO...
テクニックは数あれど、結局一番大事なのは
①自社を知る
②競合を知る
③お客さまを知る
の3点。
そんなの当たり前だしリスティング広告以外にも当てはまるのでは??
と思ってしまいそうな3点ですが、これを疎かにすると効率が悪く誰にためにもならない広告によって構成される「なんとなく運用しているアカウント」が出来上がってしまうのです。
著者が「リスティング広告のプロだな」と思う人たちが実践しているのは、
①「お客さまは必ず自社(広告主)と競合他社を比較している」ことを念頭におく
②「比較されたときに勝てる武器は何か」を理解している
の2点とのこと。
これ、自分がお客さま側のときは確実に意識していることですよね。
■選択しないという選択肢ない
①「お客さまは必ず自社(広告主)と競合他社を比較している」ことを念頭におく
②「比較されたときに勝てる武器は何か」を理解している
という2点について。
体験レポートを書くにあたり、ネイルサロン、美容院、アイブロウサロンなどなど、自分で選んだことのない店舗を探すことを迫られていました。
とにかくホットペッパービューティ見ればいっか...と思い、ホットペッパービューティーを開く。
数え切れないほどの店舗が載っているため、ネイルサロン・新宿で絞り込みをかける。
そして、
絞り込んだ意味ある?
ってくらいの数の店舗が出てくる。
あとはもう、ほぼ流し見で気になる店舗を絞り込んでいくことになるわけです。
例えどれだけ私の美容意識が低かろうが、低い形にめちゃめちゃ選んでるな、と思うと、
もはや何の比較もせずにモノを選ぶなんてこと、起こり得ないのではないでしょうか。
■ディスプレイ広告も優秀
「リスティング広告は非常に強力なマーケティングツール」
という著者の意見には首を大きく振って賛同します。
お客さまがどんなキーワードで調べ、どんな広告分に反応したのか?
年代、性別、収入、などあらゆるデータを管理画面から取得できます。
しかし、どんな会社のどんなサービスでも検索エンジン経由でお客さまを呼び込めるかというと、そうも言えません。
非常にニッチな商品やサービス、新興産業などの認知度が低いサービスは、検索エンジンからに流入が見込みにくいです。
そんなときに活躍するのが、ディスプレイ広告です。
獲得確度はリスティング広告に劣りますが、リスティング広告のみに頼らず、商品やサービスの特徴を理解した上で適材適所使い分けることで、データを貯めつつ獲得につなげていくことができます。
■追いかけて深掘りして追い越す
今後より注力していくべきなのは、
①最新情報の取得
②分析力の強化
という2点です。
①に関しては、新広告フォーマットへの対応などもありますが、GoogleやYahooといった媒体の動きを追うことも求められます。
特にGoogle。
ブログやセミナーなどからGoogleの動きを察知し、どのような方向性で進むのか、最新の状態を頭に入れて動かないと、即取り残されます。
②に関して、今までのリスティング広告では、ターゲットとするユーザーの検索行動を中心に仮説を立てた上でキャンペーンを設計してきました。
今後は、それをさらに広げ、リスティング広告以外の施策を含むマーケティング全体の中で、ユーザーがどのようなステップを踏んで情報に到達するのかを測定、分析をしながら仮説を立て、キャンペーンに落とし込む必要があります。
そのため運用者は、今まで以上に分析能力が求められます。
広告主のビジネスや課題を理解した上で、適した効果測定環境や、分析のためのアトリビューションモデルが何かを判断できる能力が最重要となります。
もはや「どれにでも当てはまる成功法則」はなく、実践の中でスキルやノウハウを蓄積し、ひとつひとつのケースから学び、独自のノウハウを蓄積する以外に、リスティング広告再興の道はありません。
■努力は夢中に勝てないという話
先日、6人ほどで、「社内のリスティング運用スキルを上げるにはどうしたらいいのか」について話し合いました。
そこで出てきたのが、
「結局、そこまでの熱意があるかどうかだよね」
ということです。
もっと運用スキルを高めたい、運用者の地位をあげたい、リスティング広告のイメージを変えたい。
心からそう思えているかどうか。
本書を読みながら、この言葉が頭の中で何度も出てきました。
どうやって最適なCPCを見つけるか、自動入稿でなにができるか、など技術面についても多く書かれていましたが、それを支えるのは、著者たちの熱意で、各章からそれを強く感じました。
■無理に夢中を作ることから
正直、ここまでの熱意を持てているかと聞かれると、まだまだだと反省しています。
しかし、私はやっぱりリスティング広告が好きで、極めるならこいつがいい。
ということで先週から再始動させたのが、朝活です。
朝の6時から、特定のアカウントを分析し、改善案を出して議論する。
これは、リスティング広告再興に向けた動きでもありますが、半ば無理やり「夢中」を作り出した結果であるとも言えます。
夢中であれば、時間を使うことも惜しくない。
開始から2回目で、今は人数も少なく、かつアカウント分析(と、媒体についての議論)におさまっていますが、会社全体に発信できるようなコンテンツを作れるように、今週も議論を重ねて、方向性を導き出していきます。