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ブランド名も読めないまま、お値段10倍のファンデーションを買ったわけですが

■帰りたいし帰りたい。あと帰りたい。

帰りたい。

帰りたい帰りたい。

本当に無理帰りたい帰りたい帰りたい。

キラキラしたフロアの端っこで、それだけを思い壁に向き合っていました。

遡ること1時間前、「今週はコスメカウンターとやらに行ってみよう」と思い、家を出ました。

伊勢丹に入り、エレベーターを登ったら一面化粧品売り場。

白いしなんか、全体的に発光してる...?

緊張しながら、まずは1周してみよう!と足を踏み出します。

やばい、別世界すぎてどうやってここに存在すればいいのかがわからない。

コスメカウンターらしきものは確かにいくつかあった。

そこに座っている人もいた。

え、どうやってあの椅子に座るの...?

とりあえずもう1周、いや、でも何周もするのはキモいから、この2周目で決めよう!

そう思っていたのに、気づいたら4周していました

そして冒頭です。

フロアを回り続けるだけの時間、

心が折れそうです。


■顔は100円でも作れる

そもそも、こんな思いをしてまで、なぜコスメカウンターに行く必要があるのか?

動機を思い出してみましょう。

私は先週、高級な下着を買いに行きました。

そこで、「自分がエンドユーザーになってみる」ことの価値を思い知ったのです。

もっともっとエンドユーザーの気持ちを知らなければならない。

今、私が広告を出している商材は、女性をターゲットとした商材が多いです。

化粧品、サプリ、などですね。

そうなると、女性の

「綺麗になりたい」

「もっといいものを使いたい」

という欲求にもっと向き合っておくべきだと思ったのです。

女性が毎日必ず触れるもの。

安価なものから高価なものまで幅広く存在していて、いつだって女性の興味関心を引くもの。

...化粧品だ。

今や100均でも化粧品が買える世の中。

そんな中で、コスメカウンターに足を運び、スキンケア商品からコスメまで買おうとする心理とは何か?

そこには一体どんな対価があるのか?

さぁ、経験してみましょう!


■座れればあとはどうでもいい

フロアを回り始めて5周目。

とりあえず化粧品を見てみようと思って立ち止まった私に、店員さんが声をかけてくれます。

店員さん「何かお探しですか?」

ここで私は気づいたのです。

探しものはないですな、と。

コスメカウンターに来ることが目的だったので、特に欲しいものがあるわけではないのです。

とりあえず目の前に肌色の瓶が置いてあったので、

「ファ、ファンデーションを...」

と言い、この瞬間から私の欲しいものは、ファンデーション(仮)になりました。


■待って待って階段飛び越えすぎてる

ブランド名さえまともに読めなかったので、なんというブランドなのかはわかりませんが、ついにコスメカウンターに座ることに成功しました。

まずは最近出たというスキンケア商品の説明をされます。

手に乗せられていく液体と半液体。

一緒に広げられたパンフレット。

店員さん「最後に蓋をするためにこのクリームを塗ります」

そういって指差したパンフレットの右側。

クリームの写真。

33,000円の文字。

え?

え?!!?!!

ちょっと待って私多分入るブランドの価格帯間違ってるな?!


■終わった後、手が白くてキラキラしてたことは覚えてる

動揺を隠せないまま、いよいよファンデーションの説明に入ります。

これから乾燥するからクリームタイプのこの商品がおすすめだとか、

夕方にくすんでくるのが気になるならこっちのピンクベースがおすすめだとか、

いろんな説明を受けながら、肌に乗せられていくファンデーション。

正直私には、あまり違いもわからなかったので、最初に提案されたものを買うことを決めました。

そこで裏から出てきたブラシ。

このブラシで塗ると、ムラなく塗れて厚塗りも防げるそうです。

正直私には、あまり違いもわからなかったので、とりあえず購入しました。

ファンデーション、11,000円

ブラシ、5,000円

今使っているBBクリームが確か1,100円くらいだった気がするし、ブラシとか持ってない。

あれ、ファンデーションって、そのまま顔に塗っていいんだっけな、なんかその前につけなきゃいけなかった気がする...下地?下地...

などと思いながらお店を後にしました。


■紙袋チラつかせながら歩いた

(でも着ているTシャツには大々的にウルトラマン怪獣ダダがプリントされていた)

入る前からドキドキしっぱなしだったわけですが、白いフロアをでるころ、なんだか自信がついていることに気づいたのです。

モノとして、いつも使っているものよりいいのか?はまだ分からなくても(値段は確実にいいですが)、まずは「手に入れた」ということに対して得られる満足感と自信。

これは、実際にエンドユーザーになってみないと分からないものです。

しかし、エンドユーザーの体験というのは、ここでは終わりません。


■今日も明日も生きている

エンドユーザーの体験は、購入では終わりません。

むしろ、ここから先の体験こそ、商品に還元されるべきものです。

私が明日の朝、このファンデーションを使ってみる。

そしていままでの商品との違いを感じる(もしくは感じない)。

1週間、2週間と使ってみる。

そして他の商品も見てみたりして、今使っている商品と比べる。

SNSの普及もあり、「使ってみてどうだったか」という意見を目にする機会は格段に増えました。

体験は自分の中だけにとどまらず、人に伝えることにも及びます。

まず、手に入れたことに喜びを感じる

次に、使うことによって喜びを感じる

そして最後に、「人におすすめする喜び」を感じるというのも含めて、エンドユーザーが感じる喜びなのではないでしょうか。

確かに私も、こんな高いファンデーション使ってみて、「これはいい!」と思ったら人にすすめるかもしれません。

というか、人にすすめても恥ずかしくない商品だと、買った時点で思えました。

誰かに商品をお勧めして、それを認めてもらえるというのは、ある種の承認欲求です。

商品を買うという行動の中に、承認欲求も含まれているとするならば、商品を使ってみて、それを判断するためには、「他の人にすすめたいか」という指標にももっと注目すべきです。

今まで、エンドユーザー本人が満足するか、本人がどう思うかにばかり注目していましたが、エンドユーザーにも「交流」があります。

この人は、誰に認めてもらいたいんだろう?

誰から承認をもらえたら嬉しいんだろう?

この商品のことを、まず誰に伝えるんだろう?

自らがエンドユーザーとなることで、

「その後」まで体験し、商品と広告を改善させることができます。

まずは大前提として、無理にでもエンドユーザーになること。

そしてエンドユーザーになったら、「購入まで」ではなく、「購入後の感情や行動まで追体験する」こと。

今まで見落としていた感情に気づけた、デパコス体験でした。