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足立区生物園が守りたいもの

足立区保木間エリアにある「足立区生物園」。
元渕江公園内に建つ施設で、哺乳類から昆虫まで多種多様な生き物たちを飼育・展示している。
今回は、園長をはじめとするスタッフの皆さんご協力のもと、足立区生物園が目指す姿を取材した。

一種でも多くの生き物を絶滅から救う
足立区生物園(以下「生物園」)は、1993年の設立当初から掲げてきた基本理念である「生きものの魅力や自然環境の大切さを感じてもらう」という軸の部分はそのままに、足立区の「生物多様性保全の拠点」となるべく様々な努力を続けている。
また、公共施設として地元に根差した活動において、浮き彫りとなった地域の課題にも直面したという。
生物園では、それらに取り組む3つのプロジェクトを活動の柱として現在取り組んでいる。

1つ目の柱が、「絶滅危惧種を救うプロジェクト」だ。
現在、生物園は、計4種の生き物の保全活動に携わっている。
人間活動の影響で、絶滅の危機にある生き物がどんどん増えているなか、生物園は、環境省や他の大型施設と連携を取りながら、国内全体に関わるような大規模な保全活動に注力している。
園長の関根さんは、保全活動の苦労を示唆した上で、力強く語ってくれた。
『我々が持つ飼育技術を駆使して、絶滅の危機に瀕する生き物たちを保護・保全していくことが絶対的に必要な責務だと思っている。』

区民の方々に誇りに感じてもらえるよう、生物園が取り組んでいる活動について、しっかりとPRしていきたいという。(↓写真:園長・関根雅史さん)

生物園園長

実体験を通して、生き物の魅力や自然環境の大切さを感じてもらいたい
「生き物の魅力や自然環境の大切さを感覚的に感じてもらう」というコンセプトは、実体験-生き物とのふれあい-を意味している。
頭で考えるのではなく、実際に生き物とふれあうことで、自然環境の魅力や重要性を感じ取ってもらいたいのだ。

これに付随した2つ目の柱が、「環境教育の推進」だ。
生物園の利用者は、未就学~小学校低学年の子どもたちと保護者が多い。また、近隣の小学校や幼稚園等が遠足として利用することもあるという。

『子どもたちには、単に生き物とふれあうのではなく、生き物に与える影響や生き物との適切な距離の取り方・付き合い方などを学んでもらいたい。』
生き物とのふれあいがもたらす教育的要素について熱く語る園長。その姿から、環境教育に懸ける強い思いが窺えた。

実体験を伴う環境教育を一層進めていくために、今後は「小さいながらもリピーターが多い」という、生物園ならではの特長を活かした工夫を取り込んでいく方針だ。

生物園モルモット

子どもたちの居場所になれる施設を目指して
足立区が抱える問題の1つに、貧困家庭率の高さがある。
これは、生物園が建つ保木間エリアも例外ではなく、学校や家庭に居場所のない子どもたちも少なくないという。

この現状を受け、生物園は、3つ目の柱に「子どもの居場所」を挙げている。
夏休みになると、毎日のように生物園に来て、園内で1日を過ごす子ども。
園内に入ることができず、園内と元渕江公園を往復するスタッフと話す子ども。
このような居場所を見出せずにいる子どもたちに、光を当てることを大切にしている。

『園内の生き物や公園の自然環境を活用して、子どもたちの自己肯定感を高めながら、子どもたちの居場所になれる施設を目指していきたい。』

子どもたちの居場所となり、その成長を手助けする。ある種、この取り組みも、生物園が推し進める環境教育の1つと言えるのではないだろうか。

生物園子ども

お客様と生き物との距離を近づけられるようになれば
「今後の目標や展望は?」という問いに対し、園長は次のように答えた。
『一日も早くコロナの影響が落ち着いて、以前のようにお客様と生き物との距離を近づけられるようになれば、という思いがある。』

続けて、このようにも語った。
『最終的なコンセプトをちゃんと具現化していくために、3つの柱を着実に実践していくこと、そして、確実に成果を挙げていきたいと思う。』

生き物を飼育していることや子どもたちの利用が多いというところから、娯楽性の側面が強いことを想像していた。
しかし実際のところ、生物園では、絶滅危惧種の保全活動や実体験を通した学びを非常に重視しており、その取り組みはエンターテインメントの枠に収まるものではなかった。
今後、生物園が進める数々の素晴らしい取り組みが、地域内外へと浸透していくことに期待したい。

生物園では、コロナ禍における新たな取り組みとして、昨年よりYouTubeチャンネルを開設している。
本チャンネルでは、飼育員の仕事に密着した動画からモルモットのライブ配信まで、バラエティに富んだ映像を発信している。
ぜひ、この機会にチャンネル登録を!

足立区生物園
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