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【エスパルス】2021年J1第33節 vs川崎(A)【Review】

備忘録として、箇条書きで簡潔に残しておきます。

1.スタメン

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・前節、警告の累積で出場停止だった松岡がスタメンに復帰
・右SHは西澤→コロリ(この狙いは後述)

2.スタッツ

スタッツ

・意外とボール支配率は低くない。枠内シュートは同数、CK数も肉薄。
・走行距離を見ると、やはり守備で走らされた感は否めないか

【監督コメント】
・川崎がボールを持ったときは、要求されたことを実行していくことが重要で、そのあと疲れているなかで、自分たちが攻撃でやるべきことをやっていくというのは、選手たちにとって簡単ではない
・我々のアタッキングサイドのプレーの質を強く要求して、集中力を上げていく必要がある

3.ボール保持時の狙い

・川崎は、相手からビルドアップの時間を奪うべく、高い位置からプレッシングを敢行するのが特徴
・川崎は両WGが外を切りながらプレスをかけてくることが多いが、この試合ではダミアンがヴァウドに、家長が井林にプレッシャーをかけることで、エスパルスの攻撃を右に誘導
・ダミアンと家長に連動して、川崎の両IHもエスパルスのCHに対して強くプレッシャーをかけてくる

・一方、エスパルスは、相手がヴァウドを狙ってくることも、川崎のIHが前掛かりになることも織り込み済
・川崎のプレッシングの特徴を踏まえ、構造的に優位性を得ることができる以下のスペースを活用してボールを前進させる

①右サイド奥(コロリと登里のミスマッチを活用)
②アンカー橘田の両脇(藤本・カルリーニョスが入り込む)
③前に出てくる家長の後方(片山がフリー)

・以下は前半開始直後、ヴァウド→井林のパス交換で相手をしっかりと引きつけてハイプレスをいなし、浮いた藤本へロングパスを届けた場面
・ポイントは、コロリが高い位置を取って登里をピン留めし、藤本がボールを受けるスペースを創出していること

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・以下は、井林が浮き球で家長の後方にパスを通したケース
・サイドにボールが出た場合はIH(脇坂)がヘルプに行くこともあるが、ホナウドが中央にとどまって相手を引きつけている
・右SB(山根)は、カルリーニョスが気になり前に出られない

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・前半だけで4回ほど出現したのが、松岡からカルリーニョスへ斜めのパスを通す下図の場面
・相手の第1プレッシャーラインを越えて、川崎の中盤を撤退させることができれば、松岡・ホナウドは比較的時間を得ることができる
・川崎のIHは撤退守備でも前に出てくる傾向があるため、その後方はスペースができがち。サンタナが前線で駆け引きをしているため、CBも前に出て迎撃することができない

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・総じて、ビルドアップ(敵陣への侵入)は、川崎のやり方を逆手に取って上手くやれていた印象。残りの3分の1、「崩し」のフェーズに移行する際にミスが目立つ

4.ボール非保持時の陣形

・川崎はピッチを広く使いつつ、アンカーやIHがボールサイドに寄って三角形を作り、ボールの前進をサポート
・エスパルスは、まず相手のボールをサイドに誘導。アンカーはFWが、IHはCHがスライドして対応し、逆サイドのSHは中央に絞って3CH気味の構えを作る

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・それでも川崎は、逆サイドのIHも使いながら巧みに前進
・エスパルスは、撤退を余儀なくされた場合、縦横にコンパクトな守備ブロックを形成。ライン間への縦パスを防ぐことを最優先とし、左右の揺さぶりには素早いスライドで対応(下図)
・ボロノイ図で見ると、ブロックの密度の高さがよくわかる

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(失点シーンを検証)
・コンパクトな陣形はできていたが、流れの中でカルリーニョスとホナウドが横並びになったことでボールにプレッシャーがかからなくなり、2人の間を通されてしまう
・ボールサイドに圧縮した守備陣形のため、ファーサイドへの対応はどうしても遅れてしまう。ペナルティエリアに侵入されてしまうと対処は難しい
・ライン間にパスを通されてしまった時点で、こちらの狙いは瓦解

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・ホナウドが家長に正対し、ボールにプレッシャーをかけることができていれば、防ぐ余地はあったと思われる(下図)

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・失点シーンが、唯一といっていいライン間を使われた場面。大半の時間はチームとして穴を空けない守備ができていたが、数少ない決定機を得点に結びつける川崎はさすが
・時間の経過とともに運動量が落ちたことで、前線から制限がかからなくなり、徐々にプレスラインが下がってしまった。この守り方をする以上は仕方ないが、それならやはりボールを握る時間を増やすことが必要

5.所感

・自陣からのボール運びの「仕組み」が確立されてきて、ビルドアップが再現性を伴う形になっているのは良い傾向
・ただ、やや攻撃が縦に急ぎがちで、ビルドアップに成功しても、崩しのフェーズに移行する前に安易なボールロストが目立ったのは気になる
・とくに前半はビルドアップがスムーズにできていただけに、相手の出方を見ながら慌てずボールを握って守備の時間を減らし、攻撃の余力を残したい

・川崎も追加点を取りきれなかったソリッドな守備は、自信にしてもいいと思う。どの相手にもこれができれば、そうそう失点はしない。これをベースに、さらに積み上げていける

・セットプレーやクロスが重要な得点源なのは、データも証明している。「攻撃の形が見えない」とは思わない。原くんの速いクロスやサンタナの高さ、ヴァウドの強さは大きな武器だし、今できることを突き詰めたい

・残り5試合、自力で残留を勝ち取れる位置にいるし、サッカーの内容としても悲観的になる必要はない。次の試合に向けて良い準備をして、できることをしっかりやれば、必ず結果はついてくる。自信を持って、やり切ろう!

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