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【片想い】

埼玉県へ出稼ぎに出かけたときの、いつもの通り道に佇む、一軒のラーメン屋さん。

いつか食べよう食べようと思って居てずっとスルーしてたけれど、ついに、先月そのラーメン屋さんへ寄ってみました。

しかし、15時から17時はお昼休憩とのことで、その日、15時30分にお店に着いたわたしは、敢えなく撤退。
まぁね、お店の基本情報だからね、下調べをしなかったわたしが悪い。
次こそは、と期待を持って、罰として、お昼抜きでその日一日を過ごす。

そんなこんなで、昨日、また埼玉県某所へ出稼ぎの案件。

今度こそ、食べるんだ。

Q.まず定休日を調べよう?

A.よし、火曜日は、やってる。

Q.お昼の営業時間に間に合う?

A.よし、道も空いてそうだ。間に合う。

Q.お腹は減ってるかい?

A.ペコペコや!伊藤忠テクノソリューションズや!

諸々のロールプレイを終え、目指すはあの黄色い看板のラーメン屋さん。

どんなラーメンかはだいたい調べてあるし、口コミもまあまあ悪くはない。


ラーメンの美味い美味くないは、個人個人の主観に依るところが大きいのが面白い。

例えば、お刺身をスーパーで買ったモノと漁港で水揚げしたてのモノとを二皿、眼の前に出されたとしたら、みんながみんな美味しいと感じるお刺身のお皿が一致するだろう。

しかし、ラーメンの場合は、時として、材料から調理工程から店構えからなにから拘っていそうなお店のラーメンに、スーパーで売っているカップラーメンが勝つこともある。

実に奥が深いスポーツ。それが、ラーメンだ。

そんなことを考えつつ、高速道路を降りて幹線道路へ。

いや、いつもよりちょっと混んでるなぁ、間に合うかなぁ。
いやいや、流石に高速降りてから1時間はかかんないだろう。

程なくして、14時15分に黄色い看板のラーメン屋さんへ到着。きい着。

駐車場には、一台も車が停まっておらずガランとしていた。
まぁお昼どき過ぎてるしね。わかるよ。
もうみんな、美味しいラーメンに舌鼓(したつづみ)を打って午後の仕事に向かったんだ。

むしろ空いてて、ラッキー!

早速、お店のドアに手をかけて開く。

1ヶ月越しの、食べたかったあのラーメンはもうそこだ。

お店のドアに手をかけて開く。

替え玉何回しようかな?でも、食べ過ぎると眠くなっちゃうな。

お店のドアに手をかけて開く。

まず、ラーメンを頼んだら、手を洗いに行こう。
こう見えて意外と綺麗好きなスタイル。

お店のドアに手をかけて開く。


お店のドアに手をかけて開く。


お店のドアがいつまでたっても開かない。


お店のドアがいつまでたっても開かない。


ドアに貼られていた白い紙が目に入る。

『19日 店主都合の為 臨時休業』

と、申し訳無さそうな小さな字で書かれたソレを。


全く大阪人じゃない、東京生まれカリフォルニア州育ちのわたしから貴方へ、心からの、

『なんでやねん!』


こんばんは、しみやんです。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

両想い、と、片想い。

なれたら幸せなんだろうけどみんながみんななれるとは限らないのが、両想い。

自分の気持ちひとつでどうにでもなれる可能性を秘めているのが、片想い。

黄色い看板のラーメン屋さんへの片想いは、2度も失敗に終わってしまった。

けれど、片想いだからって、今が駄目だからって、これから先はどうなるかなんてわからない。
今、自分に、やれる事を一つずつやっていこう。

そうすればこの先きっとチャンスが巡ってくるはず。

準備をしていこう。焦らず、欲張らず、驕(おご)らずに。

チャンスが来る、その時の為にね。

いつか、両想いになれる日を夢見て、今日もわたしは、近所のスーパーで買った118円の美味くないカップラーメンを啜(すす)り、黄色い缶の安いビールで流し込む。

今日も一日おつかれさまでした、おやすみなさい。


『ラストチャンス』
〜give me a chance
無くしたものを取り戻すよ
once more chance
このままじゃ終われないんだ
答えなんて本当は何処にもないけど
give me a chance
この声が君に届くように〜
sing by Something ELse

(この投稿は全てフィクションです。)

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