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【第29週】中京記念「Forever 18」

すべての喜怒哀楽を涙と拍手で表現しなければならないのは、想像以上に厳しい試練だった。「核とゴキブリと浦和レッズ」。FC東京の本拠地・味の素スタジアムで実に16年もの長きに渡り勝てなかった怨敵。理屈でなく、もはやその存在自体に得も言われぬ拒絶感を示してしまうゴキ、否、赤い彼奴ら。田中マルクス闘莉王がいるうちに勝ちたかった、ミハイロ・ペトロヴィッチがいるうちに勝ちたかった、森脇良太がいるうちに勝ちたかった。人生年表の三分の一近くを屈辱の色に染められた後の、悲願。しかし哀しいかな、歓喜の声をあげることも仲間たちと抱擁を交わすことも認められず、スタンド二階の席に座ったまま、ただ静かに涙を浮かべ感慨に耽ることしか許されなかった。コロナが憎い、せっかくの大一番に出場しなかった槙野智章も憎いが、やはりコロナが憎い。

湿りっぱなしの視線の先にはロシアリーグのFCロストフへの移籍が決まった橋本拳人の姿があった。声援も、チャントも鳴り響かない、4,705人の拍手だけに包まれた惜別の時間。クラブの象徴であった石川直宏から承継した背番号「18」は、下部組織から日本代表にまで成り上がったコモドドラゴン型ボランチの海外挑戦によって、再び主を失うこととなった。

この機に呑まずいつ呑むのか。ビールと焼酎で肝臓を浸した翌朝、二日酔いの頭痛も記念であり勲章なのであった。しかし、当然ながら競馬の予想などできるわけなく、痛み止めだけ服用して、あとはだらしなく昼過ぎまで横たわっていた。人はこのような局面でゲン担ぎや語呂合わせに走るのが常である。推理や予想に充てる気力も時間も持ち合わせていないが、なんとなく人生に追風が吹いているのを感じるのだ。それも16年ぶりの強風である。ここで運試ししておかねば必ず後悔する。一切の迷いなく指名に踏み切ったのが「9」「15」だった。橋本拳人惜別の夜に、浦和からゴールを奪ったブラジル人FW両名、ディエゴ・オリヴェイラとアダイウトンの背番号である。それだけか?それだけなのだ。函館記念、そして阪神競馬場で行われた中京記念、いずれもこの二頭を軸に、アシストを決めた室屋成の「2」そして主役の「18」を絡めた三連複を買った。組み合わせによっては数万倍にもなるとんでもないオッズも混在していた。そりゃそうだ、馬名も覚えていなければ、予想家の印も見ていないのだから。ファインダーを覗かず適当にシャッターを切る、そのくらいの度量がなければUFOは撮れないのである。

はたして。三場開催のメインレースのうち、唯一のフルゲート「18」頭が走った中京記念で「18」番人気、単勝163倍のメイケイダイハードが大波乱を演出した。なるほど「18」である。しかしそんな捻りに捻ったサインには気づけるわけがない。シャレやウケ狙いで買う馬券が当たることはない、そんな戒めを改めて胸に刻みながら、再び酷くなってきた頭痛を和らげるための錠剤を水で流し込んだ。スパシーバ。

【マイレージ残高】69,010円

加算マイレージ=1,050円
7月13日(月)ジムで筋トレ 200円
7月18日(月)ジムで筋トレ 200円
ジョグ 13.5km 650円 [50円/km]

今週の馬券収支=-1,400円
函館記念 中京記念 2 9 15 18

予想らくがき帳
・時間をかけて入念に予想した馬券以外は買わないと決めたはずなのに、自制できなかった己を責める。浦和が悪い。
【マイレージポイント条件】
・ジョグ距離(km)あたり50円
・バイク距離(km)あたり20円
・スイム距離(km)あたり200円
・読書(図書館活用)完読した本の定価相当
・健康(駅まで徒歩)=片道200円
・健康(休肝日達成)=一日200円
・健康(ジム筋トレ)=フルセット200円
・健康(自宅筋トレ)=腕立て腹筋スクワット一回1円

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