傍聴に行ってきました【高島市新ごみ処理施設建設事業に係る用地の取得について】


令和6年3月13日高島市議会産業建設常任委員会にて審査された
「財産の取得につき議決を求めることについて」
を傍聴に行ってきました。
これは、高島市の新ごみ処理施設を建設する為の土地を市が地権者から購入する手続きを進めるための審議です。
土地取得価格は128,013,025円
(ごみ焼却施設建設費用は約81億円、リサイクル施設建設費用は約32億円、
搬入路建設費用は約3億円~22億円を予定されています。※新ごみ処理施設整備基本計画と搬入計画資料2-4より)

今回の審議で討論発言をしたのは藤田議員1名のみでした。
藤田議員の許可を得て、討論内容を載せさせていただきます。



産業建設常任委員会のメンバーは福井議員(委員長)/高木議員(副員長)/廣部議員/澤本議員/藤田議員/藍原議員の6名です。
賛成:廣部議員・澤本議員・藍原議員の3名/反対:高木議員・藤田議員の2名→結果は採択となり3月25日の本会議にかけられることとなりました。


反対討論5つの理由

①泰山寺野は高島市の貴重な環境観光資源である事
②合意形成できていない周辺住民に対して丁寧な説明がなされていない事
③搬入路がいまだ決定していない事
 ・「搬入路問題」と「用地の取得」が切り離されている
 ・決定ルートによって莫大な費用が発生する可能性がある
④搬入路も工事車両の経路も決まっていない中での拙速な用地取得に
周辺地域は納得できないのではないか
⑤新ごみ処理施設を防災拠点と考えている事

感想

この問題に関しては、2022年9月28日に泰山寺地区が候補地として発表されて以降、嘆願書・請願書それに伴う署名、隣接3地区からの意見書や他隣接地区からの要望書などが継続的に提出され続けています。
一度建設してしまえば約20年は稼働する事になる施設を、何処にどのようなシステムでどのようなビジョンで運営するかの話です。
「ごみ処理について考える」事の重要性は多くの関係者が認識しているところでしょう。同時に、「地域の価値を考える」「財政的に将来の負担にならない様に考える」事の重要性を今一度市民とともに確認し、問題解決に向けて前進してほしいと思います。

藤田議員反対討論全文

只今、審議に付されている財産の取得につき議決を求める事について反対の立場から討論します。
新ごみ処理施設整備事業に係る用地の取得として、安曇川町田中野地先における計22筆、43,250.41平方メートルが取得価格128,013,025円で上程され、本日の産業建設常任委員会で審議されました。

私はそもそも泰山寺野で計画されている「新ごみ処理施設整備計画」そのものに反対であります。

 その第一点目の理由は、泰山寺野が牧歌的な農村であり現在の雰囲気を極力損なわず、さらにはそれらを活かした高島市を代表する観光地になり得ると思いますし、現況地形である高台を活かした琵琶湖を眺望する観光地に変貌する可能性を大いに秘めていると感じます。泰山寺野の地域づくりの方向性は「泰山寺野地域周辺整備構想」、「高島市都市計画マスタープラン」、「高島市農畜産業・水産業振興戦略プラン」などで示されています。このうち、「泰山寺野における肥沃な土壌や気候風土、高原景観を生かしたグリーン・ツーリズムの拠点としての機運を一層高め、農業生産性の向上及び耕作放棄地の解消に努める」ことも可能であります。

そのような将来の展望が持てる地域にわざわざ「新ごみ処理施設」を建設する必要性は全く感じられません。地元要望による誘致と我々始め周辺地域では聞かされていますが、なかなか納得できるものではありません。

確かに泰山寺区が置かれている現状は理解が出来ますし、人口減少を始めとした地域課題が多くあることも理解できます。がしかしだからと言って今回の「新ごみ処理施設建設」問題は泰山寺区だけの問題ではないと私は感じてしまいます。今後は市の施策として将来の泰山寺地域全体を考えて行く必要があります。

 第二点目の理由は、令和4年7月に「市ごみ処理施設建設検討委員会」からの答申を受けて公募3カ所を「不適」と判断しているが、その答申書そのものには記されなかった、「周辺地域との合意形成」問題であります。

検討委員長の「周辺地域も含めた合意形成に向けて、市が主体となり誘導していくことが不可欠」と指摘され周辺住民の声の重要性を考慮しており、この時市長は「今後の対応については、当該地だけではなく周辺の区・自治会とも情報を共有し、あらかじめ説明させていただくという配慮は考えたい」と述べたことを受けて「もっとも重要で丁寧な説明と情報公開が市に求められている」と京都新聞の記事は伝えています。

至極当然なことであり、市民にとって大変重要なことでもあると考えますが、私が知りうる限りにおいて、住民説明会などで市は果たしてそのような真摯な対応を反対自治会や反対区に対して取ってきたのだろうかと危惧しております。

 第三点目の理由は、搬入路の問題であります。令和4年11月6日に開催された、第6回高島市ごみ処理施設建設検討委員会の議事録から、事務局が建設候補地の評価資料の確認説明を行っています。この中で搬入道路について委員は「搬入道路整備というところ、これが困難であればということであるが、既に2車線道路が整備されているということで、問題なしで、これも要審議事項にあたらないということになる」との意見が記載されています。さらに検討委員による現地視察後の評価検討・意見交換で委員から道路に関して、「一般的に通行するには支障がないかもしれないが、坂の傾斜や、冬の除雪を考えると、道路整備を検討していただきたいと思った」や別委員からも「道路改良の話もされていたが、将来的な計画として盛り込んでいただいて、余熱を使って消雪やロードヒーティングをして、冬場も対策できるようにしていただけたらよいのではないかと思う」など、さらに別委員は「搬入路の問題、少し直す必要があるのかと思う」やまた、「やはり搬入路のところはハード的に今後どう仕上げていくか、車が今後どう通行していけばよいのかという所、そういう問題、両方考えて行かなければいけないと思う」など、この時点から既にごみ処理施設建設検討委員会の重要な問題として搬入路問題はとらまえられています。このようなことからこの時点で事務局サイドがこうした建設検討委員会委員からの問題提起を受けているにも関わらず、令和6年2月12日の高島市ごみ処理施設の建設等について(答申)を受けた際の趣旨では「施設への搬入道路の敷設については、あくまで高島市として決定されるべき事項である。本委員会における議論を参考に、建設費用や環境影響、また施工性や防災等も勘案し、今後慎重に検討されたい」との記載があるが、何をいわんやであると感じるのは、果たして私だけであろうか?

令和4年11月時点で搬入路問題は既に委員間では共通認識され、個々の意見が出されており、事務局が検討を開始しないはずがないとはどうしても考えられません。それが証拠に今回の「答申」には搬入路について現道活用案や別線比較表による比較ルート平面図が添付されており、各ルート案が示されています。本来、こうしたごみ処理施設建設検討委員会であれば、建設に密接に関わる搬入路問題を置き去りにして答申を出すなど、私はあり得ないと考えます。

さらに言えば市の執行部サイドではこの搬入路問題は既に検討されつくされていて、結論が出ているのではないかと私は思わざるを得ません。市の事務局担当者として普通に考えれば1年3ヶ月もの間に一定結論が出せないなど、あり得ないと思います。執行部には何かしらの事情があると判断するのが妥当であり、搬入路問題の争点化を嫌っているのではないでしょうか?こうしたことから最大の重要案件である「搬入路問題」と「新ごみ処理施設整備事業に係る用地の取得」は密接に関わっていることから、わざわざ「答申」から外しているとしか私には思えないのです。

以前に市は馬場区民や、南古賀区民からの意見に対する市の回答、あるいは三田区アンケート調査の質問に対する市の回答として、搬入ルートについて言及され施設整備基本計画策定の中で検討をしていくとの回答をされています。さらに「新ごみ処理施設整備基本計画(素案)」に関するパブリックコメントでの市民の方から意見として、泰山寺地区の中で現在のエリアに決定した経緯として主要道路に面していて建設費が抑えられるからとの説明を受けたとあります。こうしたことを踏まえ、現在ではその前提が崩れていると考えます。

さらにこの搬入路問題は、決定ルートによって莫大な費用が発生する可能性があります。こうした市説明の道路整備案については市民合意を得て決定すべきであると考えます。

 第四点目の理由として、施設建設に反対されている周辺自治会などの存在です。先程も述べたとおり令和5年12月25日から令和6年1月24日にかけて実施されたパブリックコメントでの市民意見に対する市の考え方を通読すれば、市は丁寧に答えているとは言い難い部分が数多く見受けられます。令和4年12月議会の市長挨拶発言でありますが、「周辺地域に配慮すべき課題点と必要な対策を丁寧に洗い出し、その結果を一つ一つ今後の施設整備に反映させることによりまして、市民の皆様のご懸念にしっかりとお答えしてまいりたいと考えているところであります」との発言がありながら、このような中でもっと時間をかけて市民の理解が得られるように何故出来ないのか全く理解できません。また、施設建設時に必要となる工事車両の進入路問題などを置き去りにして、見切り発車をしているように感じます。

「ごみ処理施設搬入路」をどの様に計画するのか?また、施設建設時における工事車両の進入口をどの様に計画するのかなど、現時点では未確定な部分が大変多くある中で、「新ごみ処理施設整備事業に係る用地の取得」をするのは拙速であると考えます。先に施設の建設予定地ありきで用地さえ取得してしまえばと言った考え方は周辺地域の市民の皆様には到底「納得」して頂けないでしょう。

 第五点目の理由は、新ごみ処理施設を防災拠点と考えている事です。令和4年11月6日開催の検討委員会での委員からの「単にごみ処理施設と言うだけでなく、防災拠点等の今求められているごみ処理施設としての位置づけみたいなものを考えれば、やはりなかなか見つけられない適地かと思う」との発言があります。この委員がどの様な意図を持って発言されているのか判読できませんが、市もこれらの発言を受けて各地域の説明会で防災拠点機能としての施設として、災害の緊急避難場所としても活用すると説明していますが、そもそも施設建設場所である泰山寺区は平成25年4月28日に開催された高島市防災会議で高島市地域防災計画の原子力災害対策編が協議され同計画に基づいたUPZ(原子力災害対策重点区域)に新たに編入されています。20年間という半恒久的なごみ処理施設をUPZ圏内に設置する意味をどの様に考えているのか?或いは「ごみ処理建設検討委員会は原子力災害に関する議論を全く行っていないし、遡上にも上げていないとしか考えられません。今議会でも同僚議員から同様の質問がでましたが、執行部からは通り一辺倒の答弁しかなく、原子力災害が発生した時には緊急防護措置を準備する区域であることから果たして災害避難場所として機能出来ないのでは無いですか?

 以上の観点および理由から、議第4号財産の取得につき議決を求める事について反対であり、議員各位のご賢察を賜りご賛同いただきどうか反対いただきたいとお願いして討論とします。

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