創作における「涙」とは?

お疲れ様です。
しめさばです🐟

唐突ですが、みなさん、涙はどんな時に出ますか?
私は、(物理的に)痛いときと、めちゃくちゃ怒ってる時と、ほんとにどうしたらよいか分からない時に出ます。それ以外にも、「あれ、なんで今泣いてるんだろう」という時もあります。

このように、涙って人によって出るタイミングとか、その意味合いとかって変わってきますよね。
小学生の時は、「女子ってすぐ泣くからうぜーよな」と男子が言っているのを聞いて、私も同じく、すぐ泣く人はずるいなぁと思ったりしていたのですが、よくよく考えれば涙の出るタイミングなんて自分で制御できないことの方が多いよなぁと思うわけです。

そんな「涙」ですが、この前、Twitterで自著「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4」についての感想を送ってくださった方がおりまして、その中に「沙優(該当書のヒロインキャラ)が泣きすぎ」というものがありました。

まず最初に、このnoteは上記の「沙優が泣きすぎ」という感想を発端に私が考えたことを書きますが、その感想を批判する内容ではありません。いただいた感想は、どんなものであっても嬉しいと思っていますし、私の書いた物語を誰がどんな受け取り方をしても私は自由だと感じております。
それをご理解いただいた上で続きを読んでいただけると幸いです。

さて、続けますが、
いただいた感想に書いてあった内容を要約すると、「沙優が4巻の間に5回も泣いていて、これだけ泣かれると物語の起伏が大きくならなくて残念」というものでした。

この感想をいただいて、私が最初に漏らしたのは「なるほど、そうか……」というつぶやきでした。
というのも、私は「物語の起伏」なんてものをまったく考えずにこの本を書いていたので、この感想に対して素直に「そうか、確かにそうだ……」と思ってしまったのです。

私の中では沙優というキャラは「大人ぶっているが、非常に泣き虫」という人物だったので、完全にそのキャラ性のみを加味して「こいつはこのシチュエーションならまあ泣くわな」と、沙優が泣くであろうタイミングでは毎回泣かせてしまっていました。
ちなみに、私も4巻については「沙優、めちゃくちゃ泣いてるなぁ」とは思っていたのです。しかし、それを悪いことだと思っていなかった。だって、沙優はそういうヤツなので……。

実際、私はその感想をいただいた上で、「沙優は泣き虫だからあれで良いのだ」と未だに思っています。しかし、それと同時に、「たしかに、キャラクターの涙っていうのは物語の上ではめちゃくちゃ『起伏』にあたる部分なんだよな……」ということを再確認したのです。
映画などを見ていても、私が思わず泣いてしまうようなシーンは、映画の中でもキャラクターが泣いていることが多いです。その心中を理解できて、その感情の結晶としてキャラクターから出力された『涙』が、こちらの心の琴線に触れてくるわけです。

しかし、その理論で行くと、最高に面白いエンタメ作品を作ろうとして、物語の山場を上手に配置していこうとしたら、「泣き虫なキャラクター」は、定期的に涙を歯を食いしばってこらえなければいけなくなりませんか?
めちゃくちゃ泣き虫で、涙を我慢できない子で、しかも特に涙を我慢する理由もないのに、物語の起伏のために涙は流させない。
それって、もはや『物語の装置』では……?
キャラが泣いている時の気持ちがわかるから私たちは感動するのに、物語の起伏を意識してキャラの気持ちを殺した演出をすることになるのだとしたら、それはめちゃくちゃ本末転倒だなと思うわけです。

と、そんなことを考えたわけなのですが。
じゃあ物語の起伏を意識しなくてよいのかと言われると絶対そんなことはなく。なぜなら、先ほども書いたように、こっちもボロボロに泣いちゃうような映画はやっぱり爆発的な『巨大感情の発露シーン』が、ちゃんと物語の後半に用意されているからです。
面白い話は書きたい、でもそのためにキャラクター性を殺すのもなんだか私としては違う気がする、という感じで、ぐるぐると考えが巡ってしまい、バグを起こし、気付けばお布団に入り、天井を見つめながらぼーっとしていたわけです(その描写いる?)

これについての結論が出たわけじゃないので、このnote記事はふわっと着地点を見つけないまま終わりに向かっているのですが……。
いただいた感想から、作家としてこれから活動していくうえで、創作における『涙』の位置づけについては、“常に考えながら書いていこう”という意識が生まれました。
感想を送ってくださり、ありがとうございました。気が引き締まりました。

グダグダでしたが、悩みながらもちょっと面白いとも思ったのでnoteに書いてみました。
みなさんは、キャラクターの『涙』について、どう思いますか?

それでは、また次回の記事にて。
しめさばでした🐟

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