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【国連人権理事会】

英語名称Human Rights Council。人権と基本的自由の促進と擁護に責任を持つ国連の主要な政府間機関。

理事会は、60年間にわたって活動してきた「人権委員会(Commission on Human Rights)」に代わる機関として2006年に総会によって設置された。理事会は人権侵害に取り組み、それに対応する勧告を行う。理事会は人権の緊急事態に対処し、人権侵害を防止し、総合的な政策ガイダンスを提供し、新しい国際規範を発展させ、世界のいたるところで人権順守を監視し、加盟国が人権に関する義務を果たせるように支援する。また、国家(加盟国やオブザーバー国)や政府間組織、国内の人権機関、NGOが人権についての関心事項について発言できるようにする場を提供する。

人権理事会の47理事国は、総会が秘密投票によって直接かつ個々に選出する。総会の193票の過半数を得なければならない。任期は3年で再選は可能であるが、連続して2期以上は務めることができない。理事国は公平な地理的配分に基づいて選出される。アフリカ・グループとアジア・グループがそれぞれ13議席、ラテンアメリカとカリブ海域が8議席、西欧およびその他が7議席、東欧が6議席である。(国連広報センターHPより)

国連人権理事会ではチャイナやロシアも理事国に選出され、先進諸国から人権問題があると批判されることの多いチャイナ式の統治手法を支持する権威主義国家は実は多い。米国は国連人権理事会からトランプ政権時に離脱し、バイデン政権で復帰した。人権問題について決を取ればチャイナを支持する票数の方が多いという現実がある(例えば、2020年6月末の香港版国家安全維持法に対しての投票では、懸念派28ヶ国、支持派54の国と地域という状況)。

日本で語られることの多い「国際社会」の人権問題批判については、何をもって国際的な合意形成なのかについて世論戦が繰り広げられているが、少なくとも技術的にも国連人権理事会でのチャイナに関する採決では、民主主義的な決議を経ると権威主義国家が多数を締めてしまうという捻じれ現象が生じている。「人権外交」に本格的に取り組むにあたっては、国際発言力を高めるために国際機関における多数派工作も重要となっている。

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