【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】11

1月24日

事故が起きてからちょうど一週間
水を飲んで感動してからというもの
順調な回復をみせ
翌日に一般病棟に移ることが決定した
正直なところいろいろあったこともあったし
居心地は良くなかった…
また一般病棟に移ることで
ようやく前に進めているような
そんな感覚になれたことが何よりも嬉しかった


1月25日

いよいよ一般病棟に移る
だが僕はまだ身動き一つとれない…
そのため担当医と看護師が身動き一つとれない僕の身体を丁寧にストレッチャーに乗せる


「痛っ!」


ストレッチャーに移る際の衝撃に身体が痛む


「情けない…」


虚しさが溢れ出てくる…
一般病棟に無事到着したらすぐに看護師に


『リハビリしましょう』

『まずは身体をゆっくり起こしましょう』


と、言われた僕は


「何を言ってるんだこの人は??そんな簡単なことがリハビリとかわけわからないよ」


事故の前と同じように
スッと身体を起こした瞬間
目の前がグルグル回る…
その直後吐き気と動悸が襲ってきた

あまりのつらさにすぐにベットに横たわる
気持ち悪さと動悸は一向に治らない
息遣いは100メートルを全力で駆け抜けたくらい荒い…
…あまりの出来事に愕然とした
何がなんだか理解ができなかった


『ダメです、そんな急に起き上がっては』


すべてを理解するのに時間がかかった…
こんなこともできないのか、というショックが大きすぎたからだ…


休息を得て再度身体を起こす
今度は慎重すぎるくらい慎重に…


「ゼーハー、ゼーハー…」


身体を起こすだけで息が切れる
身体を起こすことがこんなにもたいへんだったとは夢にも思わなかった


「こんなこともできないなんて…」


絶望感しかない
希望などどこにもない


一般病棟に移った初日は前日の嬉しさを忘れてしまうくらい
絶望感しか持てない一日となった…



つづく


#ボクシニ

#小説

#20年のキセキ

#第11話

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