アパレルの人達

十年以上前の話になりますが、ネット通販の会社でコンサルをやっていた時の事。

アパレルを自社生産する話があり、MD,アパレル生産担当を雇ったのです。

その会社は、ワンマンで社長が権限をかなり持ち、事業を進めていました。アパレル事業も社長の肝いりだったのですが、忙しい人でアイディアだけを出し、具体的なコンセプト、数字の計画、採用には、タッチせずなのです。

さて、ある程度、人員も揃い、具体的に事業を進めていく事になり、キックオフをやろうという事になりました。ちなみに、新しく雇われた方たちは、大手セレクトショップ、大手アパレルで経験のある人達でした。

また、その方たちは、店頭で商品を売る事をベースに仕事をしてきた人たちでした。

MDより、その場で売り上げ予算、生産計画、仕掛り金額等が発表され、商品の企画だしから製品があがるまで、半年かかる等の説明がありました。

アパレルの仕組み等、全く知識のない社長からMDに質問

社長:”半年先の製品を生産するにあたり、何を基準に売れる?売れない?を判断するの?また、その数量をどうやって決めるの?”

MD: "そうですねぇ。今の流行を鑑み、アパレルで長年で培った勘でしょうか?”

社長:戸惑いつつ “勘なの??でも 過去の流行のデーターベース、現状の顧客の年齢分析、地域分析、とかを参考に分析してるんだよね?”

MD: こちらも戸惑いつつ ”いえ、得には。一応 パリコレで人気のあった商品等は参考にしていますが。。。”

社長:怒気を含みつつ ”たくさんのお金を使い MDの勘だけで生産するんですか?”

MD: ”そう言われても、今まで、そういうやり方でやってきたんですけど。。”

そのあと、事業部責任者から、ページビュー予測、メルマガ配信枚数等 フォローの説明はあったのですが、なぜ、この製品を作るのか?等の説明はできず。

ま、今はアパレルの生産も生産サイクルを短くするとか?ある程度の係数を参考に生産をしていると思いますが、当時は、

”これ、売れそうだよね?”の言葉で生産する会社が多かったと思います。

ちなみに通販会社の社長は、バリバリの理系で数字に基づいて判断をする人でした。また、当時のアパレルは、感性重視、生産は、割とザル、中国生産がかなり拡大していた時期でもありました。ネットで洋服も、そこそこは売れていましたが、まだまだ、店で買う事が一般的な時代でもありました。

社長からみたら、半年先の天候もわからない、何が売れるか?わからない状態で、半年先の製品を作る事が許せなかったのでしょう。

因みに、私がコンサルなので、本来は、こういうズレを解消していくのが私の仕事であるのですが。私の読みが甘く、ここまでお互いの思考のズレがあることがキックオフまでわからなかったのです。。。

数週間後、社長の命令で、この事業は、ストップしてしまいました。。。

今思っても止めて正解だとは思うんです。やっていたら、大量の在庫を抱え責任のなすりあいになっていたと思います。

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