2月です

オーイ、もう2月だぞォ。1月は、何となく長く感じた。年明けからずっと、自分は基本的に寝ていたのだが、それでもきちんと耳鼻科へ行き、実家の法事へ行き、ライヴにも出た。我ながら偉いと思う。今日は昼3時まで寝ていたけど、まだレトルトカレーしか食ってないけど、ファミレス呆然欠伸で夜になったけど、良いんだ。ぼくは、やるときにはやる男。それはきみも知っているはずだ。まるでちくわのヘナヘナ野郎に見えるかもしれないが、実は驚くほどに完全無敵な私だ。誰よりも強い信念を持つ男なのだ。安心したまえ。今はまだ毛布。けれども、やがて春。きっとうまくいきます。

相変わらず世間は騒がしい。ファミレスへ行けばおっさん同士の怒号が飛び交い、子供たちがそこら中の地べたで泣き喚いている。鼓膜が破れ狂うほどにうるさい店内、すぐに出れば良いのに、ドリンクバーを頼んでしまったから、せめて四杯は珈琲を飲んでからと我慢する、惨めな男。インターネットを覗いてみれば、様々な情報と身勝手な意見がミサイルの如く飛び交っていて、うんざりする。子供が真横で号泣してやがる、ブサイクな餓鬼だ、あまりにうるさく泣き止まないので、自分は凶悪な表情でその子を睨みつけた。目が合ったので、ゆっくりと口を動かして、し、ば、く、ぞ。子供は一瞬、ア…、という顔をした後、大号泣で親の元へと走って行った。さて。戦場で絵本を読むような気分。珈琲を啜って、素敵なアイデアをノートに書き留めた。あぁ、静かに暮らしたい。

自分という人間は、まったく単純に出来ているので、たとえば、ふと河豚のことを考えると、もう、ひたすら河豚のことばかりを考えてしまう。料理をしても、散歩をしても、頭の中ではずっと河豚が泳いでいて、そのまま一日が終わることもしばしば。難しい顔で何やら考えごとをしているネ、と時折言われることがあるが、別に何も難しいことを考えているわけでは無い。河豚のことを考えていただけである。河豚はどこにいるのだろうか、河豚は何を食べているのだろうか、と、河豚への想いは膨らみ続けて、そのうち身体中に毒が回り、河豚のこと以外は何も考えられなくなる。恋する盲目乙女のようだが、しかし不埒な自分は、やがて少しずつ河豚を忘れてしまう。あれだけ夢中だった河豚が、すっかりどこかに消え失せてしまうのだ。そんな自分がつくづく嫌になる。

大阪は、滅多に雪が降らない。自分は良い歳こいて、雪が大好きなのである。雪の花びらが空から降ると、普通にはしゃいで、普通に食べる。今年は雪を見られるだろうか。2月。あれだけ文句を言っていた冬も、そのうち終わる。終わったら終わったで、無性に寂しくなって、早くまた冬来い、と勝手なことばかり言うのだろう。うさぎ餅やないねんから。

アーア、あたしゃ、あしたも暇だよ。何するかな。自慰でもするかな。夜、毛布にくるまり、ストーブに当たりながら、煙草を吸う。春が来れば、またきみに会えるような気がしている。きみ、とは、不特定多数の一人、という意味では無い。きみ、のことだ。

何もいりません。舞台に来てください。