海老の死

海老3匹のうち、2匹が死んでしまった。チビ海老と、中海老である。タッパーの外に飛び出して、そのまま床で干からびているのを発見した。チビ海老の亡骸、髭が長く伸びていて、腰が曲がっているのを見ると、何とも言えぬ空虚な気持ちと、蓋をきちんと閉めなかった後悔が押し寄せた。

100均で大きめのラックを買って、夜中に公園で石を拾った。自分は、今、自分自身のことで、やらなければならないことが、山積みである。あれもこれもやらなければならないのに、こうして蟹と海老の世話で手一杯になってしまっている。自分のこういう所が、本当にどうしようも無く、終わっているような気がする。親が見ればきっと呆れるに違いない。

次の日には、ペットショップで底石と水草と小さな土管を買った。残された大海老は、水草をつついて、喜んでいるように見える。カタワの蟹は餌を食べようとせず、土管に入ろうともせず、ひたすら脱走を企んでいる。ハムの切れ端などを、そら、とあげても、ビクリと身体を動かして逃げ回る。こちらの愛情が全く伝わっておらず、ひたすらに悲しい。そうして蟹は、深夜になっても、やはり、カタカタ…と音を立てている。臆病でシャイな蟹である。おれは決してお前の敵ではない。おれはお前のことを大切に想っている。逃げないでくれ。そばにいてくれ。

何もいりません。舞台に来てください。