ぽろぽろ

釈然としない日々を過ごして、家に帰れば一人。それとなく飾った部屋は誰かが遊びに来るわけでも無く、虚しいばかりの1DK。最近買った格安アロマを焚いて、携帯で何となく動画とか見ながら、レンジで温めた夕飯を食べる。ちょっと髪色落ちてきたし、毛先も傷んできたし、また美容室行かなあかんけど、あそこの美容師の笑顔と声質がちょっと苦手なんよな、かといって新しい店に行くのも運試し、そもそも休み無しやし、彼氏欲し、なんつって。あぁ、お風呂に入るのが死ぬほど面倒臭い。どうしてこんなに億劫なのだろう。早くお風呂入りや、って毎日言ってくれるだけの人、誰か私と一緒に住んでくれませんか。小さな溜め息。いつか誰かと本気のロマンスに溺れてみたい、けれど、まあ無理っすよ、私みたいなもんは。所詮しがないOL稼業ですわ。化粧水で保湿するだけの人生ですわ。ふと、窓の外に目をやると、カーテンの隙間に人影があり、誰かがこちらを覗いていた。突然の出来事に鳥肌が立つ。ここはマンションの5階、どういうこと?あぁ、人生終了ですお母さん、今までありがとう、ありがとうございました、私の人生は不審者に殺られてジ・エンドとなりました、明日のニュース、せめて綺麗に映ってる写真を使ってください、お風呂入るの死ぬほど面倒臭いと思ったけどやっぱり死ぬのはこわい、こわい、と一通り発狂したのだが、よく見たらベランダには誰もいなかった。カーテンの向こうには闇が広がっているだけだった。だいぶ疲れているのだと思う。手首で瞼をごしごし擦ったら、あ、何か目にゴミ入ったし。いっ。そうして朝が来るまで私の涙たちは、ぽろぽろと、ぽろぽろと、いつまでも溢れ続けるのでした。

何もいりません。舞台に来てください。