春ですヨ

いつまでも、しみったれた顔をしてるでない。もう4月だぞ。ほら見ろ、桜が満開。子供たちがはしゃぎ倒している。風。砂埃。薄い満月。どこからか漂う、晩飯の匂い。

2月、3月と、私はひたすら眠くて、ずっとふらふらしていた。頭が上手く働かず呆けていた。冬が終わったことにも気付かずにセーターとコートを着込んでいたら、春ですヨ、と耳元で小鳥が囁いた。そんで、私は目覚めた。

もう止そう。そんな顔をするでない。春は嘘でも笑え。何もかもを脱ぎ去って、朗らかに歩く私だ。




何もいりません。舞台に来てください。