チラシ

家を掃除していたら、押入れから大量のチラシが出てきた。自分が書いたライヴのチラシである。過去、主催ライヴをやるときには必ずチラシを作って、ばら撒いていた。最近では、ライヴの詳細などもインターネットを見れば大体のことが載っているため、お客側からしても、インターネットさえチェックしていれば、情報が手に入る。チラシなど作らずとも集客は可能であり、自分もそれに甘えて、滅多に作らなくなってしまった。

とはいえ、過去のチラシを見れば、そのときのライヴのことが鮮明に思い出される。こんなこともありました、あんなこともありました、平成ももうすぐ終わります…。自分はもはや老後の隠居であった。ひとしきり感傷に浸り、さあ全部捨てよう、と思ったけれど、ケチンボ根性と自意識ロマンが有り余る自分は、捨てたいけど捨てたくない、と思ってしまった。

つまり、家に置いておくのはスペース的に邪魔なので、捨てたい。チラシとはいえ、ただの紙である。しかしその一方では、自分の作った物たちであるので、捨てたくない。ならば、チラシを展示して、欲しい人には持って帰って貰えば良いのではないか。自分で作った物を、誰かが所有している、ということは、なかなか面白い。自分の勝手な思い出たちが、様々な人の家で保管されて、共有して貰えたら、とても嬉しい。

展示で余ったものに関しては、全て捨ててしまおう。所詮はチラシ。チラシはばら撒くものである。過去のライヴチラシもばら撒けば良いではないか。保管するも良し、尻を拭くも良し、燃やすも良し。もしかすると、ライヴ自体は見ていないけれど、チラシを見ることで、少しくらいはそのライヴを体感することが出来るかもしれない…。

そんなことを思いながら、またひとつ、新しいチラシを作ってしまった。

何もいりません。舞台に来てください。