パソコン

自分の持っているノートパソコンは10年ほど前に友達から不用品を譲り受けたもので、とてつもなくボロい機種である。ウィンドウズvistaという古い型は、もはや誰も使っていないらしい。セキュリティサポート的なものも受けられず、おそらく様々な、ありとあらゆるウイルスに感染しているのだろう、インターネットに繋ぐと訳の分からぬエロ・グロな広告が画面上を網羅し、また、キーボードを素早く打ち込んだりマウスクリックを素早く行うと、すぐさまフリーズして、画面が真っ白になり、矢鱈と自動シャットダウンを繰り返す。

そんなボロパソコンを、自分は未だに愛用している。ライヴの際のチラシ作成(イラストレーター)、映像編集(プレミアエレメンツ)、音の編集、CD作成、物書き、最近ではパワーポイントなども覚えて、とにかく沢山の作業をこのパソコンでやってきた。特に映像編集などは、容量を食い、動きも遅いために、死ぬほど時間が掛かる。フリーズ、再起動、を100回以上繰り返しながら、何時間と作業をした果てに、ようやく5分ほどの映像が出来るといった始末である。それでも我慢しながらやってきた。愛着などは、一切無い。単に新しいものを買う財力と気力が無いだけの話である。

このパソコンの中には、10年間のデータも入っている。それこそ過去の漫才やライヴ映像、音源、写真、文書、その他個人的なものやエロなど、様々なデータでもはや容量はパンク寸前である。最近では、作業しているとブゥゥーンと謎の悲鳴を上げるようにまでなってしまった。

そろそろお陀仏になるような、そんな気がしてならない。早いところ新しいものを購入するべきなのは分かっている。もう二、三年前から周りにも言われているが、吝嗇コアラの自分は、まだ動くから、と言って聞かない。そしていつか壊れて、全てのデータがおジャンになったそのとき初めて、あぁ…と悲しみに暮れるのだろう。以前使っていた携帯もそうだった。大切な写真もメールも全て消え失せてしまった。もう二度とは戻らない愛のメモリー、さよなら消しゴム頭。

近い未来に待ち受ける完全消失を、何故かは分からぬが、どこかで望む自分がいることも確かである。

何もいりません。舞台に来てください。