外は寒いし、部屋は散らかっているし、楽屋はつまらないし、便所は臭いし、しばらくはここにいようか。腑抜けの虫は毛布にくるまり、この冬を無事に乗り越えられたら、もうそれで良いと思っている。愛おしいものや人がいるから、幸せな虫。あとは穏やかに日常を過ごそう。や。出来れば何か、もうひとつくらい、何か、やろうかな。誰かの期待を裏切るような、ロマンチックで阿呆なこと。

昔、「ナンバーワンの煌き」というライヴをしたことがあったが、やはりナンバーワンの煌きとは、刹那の煌きであり、それは儚く呆気無いものに違いない。まるで無意味、まるで無慈悲。それでいて眩い光である。線香花火のような情緒も要らぬ。熱く燃えたぎる情熱も鬱陶しい。たとえるならば…、ボンバーマンというゲームで、始まった瞬間に爆弾を置いちゃって、あっけなく自爆する、あの感じ。自分はあれが好きだった。いつも笑っていた。

ふ。と、わるだくみをして、腑抜けの虫は欠伸をする。

何もいりません。舞台に来てください。