こら!

まあ何とかなるやろ、が口癖で、そのとおり、今までは何とかなってきた。死なずに、大病もせずに、生きている。貧乏ではあっても、珈琲を飲んだり寿司を食べたりして、暮らしている。それなりに仲の良い人もいる。好きな女性もいる。好きなライヴを好きなときに演っている。誰にも怒られないのを良いことに、日々を、すこぶる怠けて過ごしている。

好きなことだけして、一生ふざけて暮らしたい。それは、あくまで逃げの姿勢であり、嫌なことから逃げ続けて来た果ての暮らしかもしれない。非難されたこともあった。だが、ある種の決意表明でもある。そう簡単にはいかないことくらい、知っている。いつまでも続くと思うな。どこかで、歯を食いしばって、脳を働かせて、覚悟を決めて、先の道を見据えた一歩を踏まなければ、事態は何も良くならず、悪化を繰り返す。そして、そのうち破滅に辿り着く。そんなことは、おれも分かっている。

本当は、悩みは尽きない。いつも不安でめそめそしている。ヤバいヤバいと冷や汗かいて、布団に潜れば悪夢ばかり見る。小銭を数えてため息をついている。黒く巨大なモヤモヤが常に頭上に浮遊している。それらを振り払うかの如く、ふざけた調子で鼻歌、引きつった笑顔で。それでは駄目だ。鼻歌を歌っても、何も変わらないことは、分かっているのに。

けれども日々は続く。おれは分かっている。流れに身を任せているだけでは、何も続かない。何とかなるやろぉ、とは言いつつ、怠けてまぁす、とは言いつつ、実のところは真剣なおれだ。欠伸ばかりしているけれど、放屁ばかりしているけれど、真剣なおれなのだよ。分かってくれ。そして、叱ってくれ。

何もいりません。舞台に来てください。